だれモビはマーケティング理論から外れている
だれモビはマーケティング理論から外れている
――それでも成立する理由、そして「失われた30年」との関係
「だれモビはマーケティング理論から外れている」
この指摘は、批判ではなく事実であり、むしろ最大の特徴だ。
なぜなら、だれモビ・だれスポ・だれサポは
マーケティングが成立する“前提条件”そのものが存在しない領域に踏み込んでいるからだ。
実は理由はとても簡単で、こう言い切れる。
もし、だれモビを“普通のマーケティング理論”で成立させられる人が、
すでにこの世に存在しているなら、
日本に「失われた30年」は起きていない。
これは挑発でも極論でもない。
構造的な話だ。
マーケティング理論は「成立している市場」しか扱えない
マーケティング理論とは何か。
端的に言えば、
需要がすでに存在している
顧客像が言語化できる
価格帯が想定できる
競合がいる
成功事例がある
この5点がそろって初めて機能する学問だ。
逆に言えば、
需要が可視化されていない
当事者自身が「欲しい」と言語化できない
お金を払う主体が本人とは限らない
比較対象が存在しない
成功モデルがない
この条件下では、マーケティング理論は使えない。
だれモビが立っているのは、まさにこの場所だ。
だれモビは「顧客」が誰かすら決まっていない
だれモビの利用者は誰か?
高齢者
障がい者
観光客
インバウンド
免許返納者
家族
自治体
医療・介護事業者
地域住民
答えは「全部」だが、
マーケティング理論的には「全部」は失敗のサインになる。
なぜなら、
マーケティングでは「ターゲットを絞れ」が正解だからだ。
しかし、だれモビは違う。
だれモビは
“誰か一人を選ばない”ことを前提に設計されている。
この時点で、既存の理論からは完全に外れる。
なぜ、最初からマーケティングできないのか
もう一歩踏み込む。
だれモビ・だれスポ・だれサポが最初から
完璧なマーケティング戦略を描けない理由は、
社会課題は「未経験者には理解できない」からだ。
外出できない不安
移動が怖くなる瞬間
人に迷惑をかけるという恐怖
視線や空気を読む疲労
「助けて」と言えない心理
これらは、
アンケートにも、データにも、ペルソナにも落ちてこない。
つまり、
市場調査以前の問題なのだ。
もし理論で解決できるなら、もう解決している
ここで、失われた30年の話になる。
日本はこの30年間、
高齢化
地方衰退
医療費増大
免許返納問題
観光の偏在
福祉と経済の分断
これらをずっと分かっていた。
それでも解決できなかった理由は一つ。
理論で説明できることしか、
「ビジネス」として扱わなかったからだ。
もし、
移動弱者
外出困難
社会参加の断絶
これらを
マーケティング理論で成立させられる人がいたなら、
大企業が参入し
全国展開され
国策になり
失われた30年は存在しなかった
でも、現実は違う。
だれモビは「スモール」であることが前提
だれモビは、最初から大きくならない。
利益率は高くない
爆発的な成長もしない
効率も悪い
手間がかかる
人が必要
これも、マーケティング的には「失敗条件」だ。
しかし、ここに重要な逆転がある。
ニッチは、社会課題において最強である
だれモビは、
誰もやりたがらない
数字が作りにくい
説明が難しい
共感に時間がかかる
だからこそ、競合が生まれない。
そして、
一度「地域に根づく」と、簡単には代替されない。
これは、
フランチャイズ
プラットフォーム
大規模投資
とは真逆の思想だ。
ビッグビジネスとは「数字」ではなく「不可逆性」
だれモビが目指しているのは、
売上規模
利用者数
全国シェア
ではない。
目指しているのは、
「これが無くなったら、
この地域は元に戻れない」
という状態だ。
この不可逆性こそが、
社会課題ビジネスにおける真のビッグだ。
マーケティング理論から外れることは、敗北ではない
だれモビは、
マーケティング理論から外れている。
でもそれは、
未熟だからでも
戦略がないからでも
勉強不足だからでもない
理論が届かない場所を、最初から選んでいるだけだ。
結論:だれモビは「思想先行型ビジネス」である
だれモビ・だれスポ・だれサポは、
需要を作る前に
市場を定義する前に
収益モデルを固める前に
「社会としてどうあるべきか」を先に置く。
それは不器用で、遠回りで、効率が悪い。
でも、
このやり方しか、
失われた30年の続きを終わらせる方法はない。
だれモビは、
マーケティングから始まらない。
だからこそ、
社会に残る。
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