私のくまもと
だれかのまなざしで熊本を歩きなおすと、気づかずにいた色や、匂いや、想い出に出会えるかもしれない。
「だれかのくまもと」は、熊本にゆかりのある“だれか”のまなざしを借り、熊本に出会いなおす企画です。
今回案内してくれたのは、友人と一緒にオーガニックのグラノーラを販売している彼女。
京都、アメリカ、オーストラリアでの生活を経て、8年前に帰熊。
まちでのつながりを重ねながら、今の暮らしをつくっている。
「くまもとって独特のゆるさがある。なんか決めきれない。
でもなんか、それが熊本っぽいか、って許せちゃう、不思議なゆるさ。」
手づくりの時間が流れる場所
1ヶ所目は、上之裏にある「BREAKERS(Z)」。

熊本に帰ってきたばかりの頃、近くのカフェで働いていた。
そのタイミングで、元は飲食店だったこの場所に、BREAKERS(Z)ができた。
仕事終わりに立ち寄って、釘を抜いたり壁を塗ったり、お店づくりを手伝っていた。
「何かを教えてもらったわけではないけれど。毎日一緒に作業して、飲んで、遊んで…熊本での居場所を一緒に作ってくれた。」
特別に何かを教わったわけではないけれど、一緒に遊んで、一緒に笑って過ごしてきた時間が、彼女の「くまもと」の輪郭を作っていった。

よくここにきて、ここに座って、ずっとおしゃべりしてた。
水の流れに癒される場所
2ヶ所目は、上江津湖。実家から歩いて来られる距離にあり、よく散歩に来る。
「少し落ち込むことがあると、ここに来て、猫と遊んだり、水の流れをぼーっと眺めたり、水に足を浸したり。なんか、それだけで穏やかな気持ちになれる。」

実家でも猫を2匹買っていて、猫の相手はお手のもの。
デートの定番コースでもある。
朝から近くにあるお店でサンドイッチを買い、ここにきて靴を脱ぎ、水に足を浸しながらサンドイッチを食べる。

ぼーっとしたり、サンドイッチを食べたり。
静かな上江津湖には、時間がゆっくりと流れている。
背の高い木々が生い茂り、影が涼しい。
その緑の深さが、心を落ち着かせてくれる。
リビングの延長
3ヶ所目は、健軍にあるお花屋さん、「Hymy.」。

帰国して間もない頃、このお花屋さんの2階を借りてヨガ教室をしていた。
その頃からの付き合いで、今もふらっと立ち寄る場所。
帰国してから、いろんな相談をここで話した。
ここのお花は、綺麗なだけじゃない。いろんな悩みも包み込んでくれる、そんなお花。
自分の冠婚葬祭はここで、と決めている。
「家から歩いて来れる距離にあって、ふらっと散歩にくる。同じ通りに並ぶお店でコーヒーとお菓子を買って、ここでお喋りして、お花を買って帰る。ここはほぼリビング!」

彼女のまなざしで歩いた「くまもと」
それぞれのペースで、交わりながら、前に進んでいける。
そんな不思議なやさしさが、このまちの空気にはある。
決めきれなくてもいい。寄り道してもいい。
「まあいっか」って思えるゆるさの中に、熊本で生きる人たちの、あたたかい強さを感じました。
