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さよなら電動搾乳機、そして母になる。

「メデラだけが友達だったけど、大丈夫。ママ友に助けられ、ここまでやってこれたよ」

と12年前のわたしに伝えたい。

正式な名称は【シンフォニー】であると最近知る。失礼かとは思いますが、ここでは、昔呼んでいた愛称で呼ばせてください。

12年前、842gの小さな娘を出産、看護師さんに言われたひとことが

「メデラ、レンタルしておいてね」 

だった。

電動搾乳機。
もし、わたしが26週で出産しなければ、存在を知ることもなかったかもしれない。

【シンフォニー】の意味を調べると
【交響曲】のほかに【種々の構成物が渾然一体となっている世界】【調和】 とのこと。

搾乳音、あの「ジーコジーコ」というわたしの胸から溢れおちる音。シンフォニー。まさにメデラと一体となった時間は忘れることはできません。

メデラ(シンフォニー)

研究に基づいたSymphony(シンフォニー)電動さく乳器は、授乳期間を通してお母さまをサポートするために特別に開発されたさく乳器です。 母乳育児のスタート時から、十分な母乳量を確立し維持するまで、すべての過程をカバーします。 長期的に使用する場合や頻繁にさく乳が必要な場合に理想的なさく乳器です。ご家庭用にはレンタル専用品となります。退院後、まずは産科病棟で使っていた病院用のさく乳器を引き続きご家庭でも使用いただき、その間に個人用さく乳器をゆっくり選んで購入することもできます。 Medela (メデラ)のポンプセットと共にご利用ください。

Medela(メデラ)HP

なぜ母乳を搾乳するの?ミルクでいいのでは?という声も(空耳?)「小さな産まれた赤ちゃんは母乳を与えなければならない」ということを説明させてください。

1000グラム以下の極低出生体重児は壊死性腸炎と言って感染や血流不良が原因で腸が壊死してしまう病気にもかかりやすい。
簡単に言うと未熟な腸すぎて、ミルクの負担が大きいのですね。

母乳が出ない場合は、母乳バンクによりドナーミルクが提供されていることもあまり世の中に知られていないかもしれません。

話は戻り、3時間おきの搾乳が必要だが、手動の搾乳機では握力が最底辺のわたしの手がもたない。電動が必要だったのだ。

あいにく、わたしは母乳はピューピュー出る。
入院中「このおっぱいは間違いなくでるね」と褒められ褒められ褒められすぎて。胸が顔だったら北川景子といったところだろうか。

でもどんなに褒められても心は孤独。
夏産まれの予定が出産したのは5月。
北海道の桜は満開。

娘とは一緒に家に帰れない、わたしだけ退院日。夫は夜桜を見せてくれた。

綺麗と思う気力もなく、ただぼんやりと眺めて
ぼんやりと自分を責めた。

「なぜ、小さな赤ちゃんを産んでしまったのか」
「なぜ、わたしが?」

その日からやっぱりぼんやりと自分を責めながら毎日、新生児集中治療室(NICU)に母乳を届けました。入院している娘に対しわたしが唯一できることだったからだ。

しかもビールの景品の保冷バッグに母乳を詰めて。

きっとまことしやかに、エビスの母と呼ばれていたことでしょう。

三時間おきに母乳を絞り、保存袋に冷凍する。
ジーコージーコーという声にイラついたときもある。
自分が牛に思えた。
考えたら、メデラのホームページには搾乳機ではなく、さく乳機と書かれているのは牛のイメージ回避したいからですか?違う?そうですか。

ここに、我が子がいない。
そんな時もメデラは静かに鳴り響いていた。

しかしその単調さに救われたときもある。

いつ娘が退院するかわからないまま過ごす不安、夫と喧嘩して寂しさを爆発させたのだ。
「わたし、メデラだけが友達だから!」

泣きながら、なぜか爆笑。
メデラもきっと爆笑していたに違いない。ジーコジーコが少し震えていたようにも思える。

そしてメデラと過ごして1ヶ月くらい経過したときメデラの魔術師になった。

母になる前に魔術師になったのだ。

一般的に搾乳機は、搾乳している瓶を持ち、もうひとつの手を胸に手を添えて、当て方を調節して搾乳する。
「今日の母乳がよくでる場所」がありますから、初心者には、両手が塞がる仕組みだ。

付き合いが長くなるとメデラと胸が【調和】し、テーブルの間に瓶を挟むと両手が自由になったのだ。上記サンプル写真のようにハンズフリー。

手に胸を添えなくても、胸と対話でき、メデラとの仲介者になったわたし。

搾乳中、スマホだって余裕で使える。メデラ使い選手権さえあれば、ぶっちぎりで一位だ。

時は過ぎて10月。
季節は春から秋。
娘が退院する。
母乳ではなくでミルクも飲めるようになったからだ。

メデラとのお別れのとき。

わたしの母乳を娘の代わりに吸ってくれてありがとう。寂しさと孤独まで吸い上げてくれてありがとう。クールな横顔でしなっとした箱に入り、ヤマトのお兄さんの胸に抱かれわたしのもとを後にした。

そして娘との生活が始まり
少しずつ母になったのです。

娘は今小学校6年生で牛乳よりも、コーラが好きになった。

どんな産み方でも関係ない。
出産せず子どもを育てているとしても。
子ども心身ともに健康を守る。
それが母になるということだと思う。

産まれてすぐに母乳を出して届けることに専念したわたしは【子どもの生を守るシンプルな母であれ!】

この言葉を未来のわたしに伝えたい。



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