還暦ライブ
なあなあ,今年の誕生日って,なんか予定ある?
夜中に,バンドの練習から帰って来た夫が、突然聞いて来た。あら珍しい。確かに,私の誕生日は夏ですが。こういうことに疎い夫が,自分から私の誕生日の予定を聞くなんて。
「何もございませんが…」
速攻で答えた。ところが、
「ママの誕生日じゃなくて,わしの誕生日。」
なんですと?あなたの誕生日は秋ですよね?
「わし,次何歳になるか覚えてる?」
50から自分の年齢を数えるのをやめた私に聞く?
「やっぱりな。忘れとるやろ。」
そんな,忘れてはならない特別な誕生日、わたしたちの間にありましたっけ?
私は,頭の中で2026➖1966を引く。そう、夫の年齢を西暦で計算したのだ。
おお、60歳!還暦!
歳をとるはずだ。すると,私は…
60➖3=57
57さいになるのね?アラ還という自覚はあったが、四捨五入で60かと具体的な数字を久々に自覚した。
いやいや,私ではなく夫の話。
「あー還暦ねーなんかしてほしい?赤いちゃんちゃんこ着たいの?」
「そういうわけじゃなくて…」
なんでも、バンド仲間の中で、夫の還暦ライブをしようという話が持ち上がったらしい。そのながれで、家でも、嫁さんや娘たちが何か計画しているにちがいないと盛り上がったというのだ。
…
なんとも気まずい空気が流れた。別に,夫を蔑ろにしたいわけではない。しかし,夫以外男のいない女系家族の中で、夫の存在はやや薄い。誕生日はしっかり覚えている。だけど,年齢を忘れていた。しかも,記念日というものに関心のない私。
でも、夫の諦めと期待が入り混じった複雑な顔を見たら、これは何かしてやらねばならない!とヤル気が湧いて来た。
11月末までのミッションができた。
題して
夫の還暦を祝う会🎉
誕生日当日は何曜日?おー土曜日か。いいじゃないか。じゃあ、還暦祝いは誕生日当日。ちゃんちゃんこなんて無駄なものはやめて、赤いトレーナーか,セーターとか,普段使えるものをプレゼントするか。
ところで、ライブはいつだろう?
「ライブはいつしてもらうの?」
と聞いた私に,夫は嬉しそうに
「わしの誕生日当日!」
はあ?家族がサプライズしてくれるぞと焚き付けといて、誕生日の日にライブを入れるか?!
私のやる気がシューと音を立てて萎んでいくのが聞こえた。
こうなったら、ライブに乗りこんで乗っ取ってやる!
名前改め
還暦ライブ乗っ取り計画🥳
よし,やる気再始動!
