(お題ss)夏の修飾語
「なあ、ユーコ。アイデアくれよ」
「なに、いきなり。いま忙しいんだけど。……で、なに?」
「いや、今度の文芸誌の応募さ。テーマが片想いで、さすがにちょっと荷が重いっていうかさ。俺には縁がないっていうか──」
「へぇ!つまり、経験豊富な私に聞こうってのね。それは、アキラにしてはいい判断。教えてあげるよ、この私が」
「……なんか、変に嬉しそうだな。ま、いいや。で、ユーコはさ、片想いって──したことある?」
「そりゃ…あるわよ。いつだって両想いになれるとは限らないし──片想いでちょうどいいことも、あるのよ」
「ん?よく分からないけど。どういうこと?」
「──恋するって気持ちに恋しちゃうことも、あるのよ。鈍感なあんたには一生縁がないかもね」
「詩的だね。いつもガサツなのに」
「うるさい!そういうとこよ。ほんと。…なんでこんなヤツのことを、わたしは──」
「え、なんか言った?」
「なんでもない。……そうだ、いいこと思いついた。ちょっと片想いの気持ち、復唱してみてよ」
「お、いいね。なんか面白そう」
「私のこと、わかってよ」
「私のこと、わかってよ」
「私はいつだって想ってるよ」
「私はいつだって想ってるよ」
「嘘でもいいから──好きって言って」
「好きだよ」
「……なんて言った?」
「いや、好きって言えって言ったから」
「……どういう意味?」
「あまり、意味は、ないです」
「ほんとに?」
「……たぶん」
「…そう、だよね──バーカ!」
「ハァ〜〜〜」
ユーコのため息は深く、長く。
青空のように悲しく広がった。
蝉の声も、ため息のように、青空に溶けていく。
夏は、これから。
忘れられないまま、これから。
わたしも意外書けるじゃない!
と自画自賛。
お題、ありがとうございます!
