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5月の東京新店14軒——「小池シェフ、復活。」と聞いてざわついた人は行くべき

5月になって初めてのニューオープン速報です。4月末から5月半ばにかけての気になるお店を14軒、一気にご紹介します。

今回この中で私が一番うれしかったのは、門前仲町にオープンした「オステリア ヴェッキオ スタンポ」です。イタリア料理好きの間では熱狂的なファンを持つ、小池教之シェフが復活したというお店で、これは東京中のイタリアン好きがざわつくことになるはずです。

それから、西小山の「mici(ミチ)」も非常に面白い。元「リ・カーリカ」の伊藤和道シェフが昭和レトロな商店街の中に作ったイタリアンで、自家製たらこスパゲッティやイタリアンカツ煮など、料理の発想も面白いし、レストランの楽しさが詰まっています。

フランス料理好きには北千住の「Kairos(カイロス)」も見逃せない。名門「コート ドール」最後を知るシェフが北千住駅から徒歩15分の立地で独立したというお店です。

それでは早速!

mici(ミチ)|西小山 4月29日

西小山の昭和な雰囲気の商店街の中にあります。築70年以上の木造建物をリノベーションしているんですが、古い梁や建具は残したままで。なんとも素敵なレトロな雰囲気のイタリアンにしています。立ち飲みスペース、カウンター、テーブルと、あらゆる用途に対応できる構成です。

オーナーシェフは「リ・カーリカ」のシェフだった伊藤和道さん。自家製にこだわっているわけではないんですが、自分で作れるものは作った方がいいという考えで、アンチョビも自家製。その過程で出た魚醤を調味料として、山形のお日さま農園の野菜を使ったサラダに展開するなど、工夫が随所に光ります。たらこも自家製で、色は地味になるんですがたらこスパゲッティにするとこれが輝くんですねえ。「イタリアンカツ煮」は冷製で、冷たい方が味の輪郭がわかりやすいからだそうです。レストランを知り尽くしている人の仕掛けが随所にあるお店です。

自家製たらこスパゲッティ

オステリア ヴェッキオ スタンポ|門前仲町 5月1日

2018年からミシュランのビブグルマンを取り続けているご近所「トラットリア・ブカマッシモ」の3号店。シェフに小池教之さんが復活しています。

小池さんというのは、もともと広尾「インカント」を有名にしたシェフで、その後四谷三丁目に「オステリア デッロ スクード」を開かれました。イタリア全20州の郷土料理を3ヶ月半ごとにテーマとなる地域の料理と地酒に絞り込んで紹介していくというコンセプトで、私が編集する『東京最高のレストラン』でも大絶賛されたお店でした。閉店後は溜池山王の「PER TE(ペルテ)」で料理を作られていたんですが、そこをお辞めになって——東京中の小池ファンが「次はどこへ?」とざわついていたところでの復活です。

最新刊、絶賛発売中です。昨年12月の発売なので、こちらのお店は掲載されていません。念のため

先日行ってきましたが、すごく良かった。おまかせ前菜4皿・税込4,950円は必ず注文するルールで、その後にパスタやメインを追加するスタイル。お2人でワイン1本は必ず飲まなければいけない(持ち帰りも可)という縛りはあるんですが、このおまかせ前菜4皿がまさに小池ワールド全開。さらに定評のある小池さんの手打ちパスタも堪能できます。事前予約制でキアニーナ牛のフィレンツェ式ビステッカ1キロ29,900円という料理もあります。次は食べたい。
笑顔が素敵な女性のサービスも的確で、嬉しくなるイタリアンが誕生しました。

「パプリカのマレンマ風」、「トスカーナ風ズッキーニの卵焼き『スカルパッチャ』の厚底タイプ」、「キアンティ地方の豚肉で作るツナの鶏肉版 レンズ豆とサルサヴェルデ」

お粥マニア|渋谷 5月1日

「餃子マニア」「小籠包マニア」を手がけるマニアプロデュースの最新業態が渋谷アクシュ1階にオープン。面白いのが、朝と昼は「お粥マニア」、夜は「餃子マニア」に店名が変わるというスタイルです。

お粥は4種類あって、セットにすると揚げパン、よだれ鶏、ザーサイがついてくる。中国・東北地方の粒が残ったスタイルのお粥で食べ応えがあって、揚げパンが意外と合うんですよ。朝は台湾で人気の豆乳で作る「鹹豆漿(シェンドウジャン)」セットもおすすめです。最近のモーニングブームの流れにぴったりの業態だと思います。


帆立とアサリと海老の粥セット

french bistro Kairos(カイロス)|北千住 5月7日

シェフの荻野さんはフレンチ一筋23年。昨年惜しまれつつ閉店した名店「コート ドール」——斉須政雄シェフが長年率いてきた東京フレンチの聖地——で最後まで働いていらっしゃった方です。

メニューに牛テールの赤ワイン煮込みがあるんですが、コート ドール譲りの一皿なのでしょう。都内で唯一の水産物専門の中央卸売市場・足立市場の鮮魚の料理もある。そういうものが3,000円のランチや8,000円のディナーで食べられるというのは本当にすごいことだと思います。北千住駅から徒歩で10分以上かかるようですが、千代田線で一本ですから都心からも行けます。それにしても足立区の方が羨ましい。


ビリヤニ・マスター|神田小川町 5月7日

予約の取れないことで有名な「ビリヤニ大澤」の2号店。大澤さんが「日常にビリヤニを」という思いから出されたお店で、予約不要・モバイルオーダー。チキンビリヤニが1,300円、マトンビリヤニもあります。店長はビリヤニ大澤で修業した三上さん。平日ランチタイムのみ・売り切れ次第終了です。


鳥泉(とりせん)|恵比寿 5月13日

「レストランよねむら」出身で「小泉料理店」を人気店に育てた小泉洋さんの新店。まさか焼鳥屋をやるとは、という感じなんですが、弟さんが以前焼鳥屋で修業していて、「食堂小泉」でも焼き鳥を出していたんですね。「焼鶏 松本」さんがあった場所に出店。ちなみに小泉料理店は2026年中に閉店予定とのこと。食堂小泉の小鉢やお刺身、締めのご飯もあるようです。
焼鳥戦国時代は続きますね。


И(エヌ)|銀座 5月11日

「タクボ」の田窪大祐さんが銀座に進出。シェフには名門「リストランテ山﨑」6代目料理長で代官山「タクボ」でも腕を振るっていた矢島直樹さんを起用。コースではなくアラカルトのみ、カウンター8席。完全予約制2時間・1人16,000円以上のミニマムチャージありというのがアラカルトと言えるのかどうかというところではありますが、大人が贅沢に楽しむ店ということでしょう。


つくし寿司|広尾 5月13日

「日本料理 佐々」「鮨 陸」を手がける佐々悠樹さんによる「地元に愛される町寿司」がコンセプトの新店。広尾商店街から横道に入った「ARISTO広尾」1階で、既存店とキッチンを共有しながら独立店舗として営業。サービス料込みで10,000円というのはすごい。昼の1回転目はOMAKASEでの予約制でほぼ取れませんが、2回転目からは前日予約制。夜はお好みも準備中とのことなので、チャンスはあるかもしれません。インスタを注視しましょう。

捨我(しゃが)|渋谷 5月15日
Shibuya Sakura Stage SHIBUYAタワー38階「FUSOU」の休業中に3ヶ月限定での出店。料理長は「日本料理 かんだ」と「明寂」というともに三ツ星店で修業し合田峻さん——1990年生まれです。カウンター8席、おまかせ33,000円(サービス料別)。今後大きくなっていかれる料理人だと思うので、今のうちに食べておきたいという人は多いのではないでしょうか。サイトを見る限り、予約はまだ取れるようです。


GRAND MAISON GYUDON|大森 5月1日

元広告プランナーが手がける「究極の牛丼」専門店だそうです。牛肉、米、卵、タレすべてにこだわり、口の中で完成させる「口内調理」を提唱しています。口内調理というのは日本人独特の食べ方で、複数の食材を口の中で混ぜながら味を完成させていくもの。グランド牛丼1,580円、金色牛丼980円。株式会社ムジャキフーズさんの開業支援サービス「トラナビ」を通じた3ヶ月限定出店ですので、気になる方はお急ぎください。


YEBISU YAOYA|恵比寿 5月1日

池尻大橋で始まったYAOYAグループが恵比寿に進出です。焼き鳥と炉端焼きをメインとした居酒屋で、個室完備。相変わらず楽しそうなメニューが揃っていて、ちょっと行ってみたいと思っています。


ONE GAI(ワンガイ)三田店|三田 4月30日

カオマンガイというのはご存じのようにタイの国民的料理で、茹でた鶏肉とその茹で汁で炊いたご飯を組み合わせた料理です。こちらは「罪悪感ゼロ」を掲げるヘルシーなカオマンガイ専門店で、ご飯はジャスミンライス、15穀米、カリフラジャスミン、カリフラワーライスから選べて、肉の部位もカスタマイズできる。実際にカリフラジャスミンと国産むね肉でいただきましたが、満足感がありながら、なんとわずか388カロリー。卓上の9種のソースをとっかえひっかえ楽しめるのもいいです。「三田店」と名乗るからにはきっと多店舗展開も見据えているのでしょう。


Bistrot 石箱(いしばこ)|本郷三丁目 5月14日

ベルギーのミシュラン2つ星フレンチでスーシェフまで務めた箱石和行さんの独立店——苗字を逆さにした店名ですね。本郷通り沿いに出店。箱石さんは麻布台ヒルズの「Gallery & Restaurant 舞台裏」でシェフを務めていた方で、そのオーナーが「Soup Stock Tokyo」の遠山正道さん。その縁で店名は遠山さんに書いてもらっているそうです。”ベルギービールとワインとパンと、ビストロ”がキャッチフレーズで、アラカルトで楽しめるというのも嬉しい。これも気になっています。


イル・ノーチェ|浅草 5月13日

お父様がフレンチの料理人で、「ホテル西洋銀座」のフレンチ「サロン・ラ・ロンド」からイタリアン「アカーチェ」、ホテルオークラ東京の宴会場やケータリングも担当した荒木康朗さんの独立店。奥様の荒木くるみさんはご実家が日本料理店で、「ホテルオークラ東京」から「日本料理 太月」、広尾「インカント」、浅草「ブラカリ」と経験を積んだ方です。ロゴはハヤシコウさんが手がけています。かっぱ橋本通りの16席。ご夫妻の二人三脚、地域に根づいていくお店になりそうです。

気になるお店はありましたでしょうか?
では、次回もお楽しみにしてください!

この記事は、ポッドキャスト「大木淳夫の いま行くべき店、死ぬまでに行くべき店」#009の内容をもとにしています。音声版もぜひお聴きください。


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