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deluxe55
不思議な中華街
横浜の中華街を歩いていると、
ときどき自分がどこの国にいるのかわからなくなる。
赤い灯り。
香の煙。
中國語と日本語が混ざる声。
雨に濡れた石畳の匂い。
けれど、この街の不思議さは景色ではなく、
ここに流れている「人の心」なのかもしれない。
海を渡ってきた人々は、
異国の中で店を開き、家族を育て、文化を残してきた。
その逞しさは、声を荒げる強さではなく、
孤独を抱えながらも、静かに根を張る力だった。
今では、日本で育った華僑の家族、ハーフの子どもたち、昔から暮らす日本人、新しく来た移民たちが、この街を一緒に歩いている。
誰も完全に同じではない。
けれど、不思議と同じ空気の中で呼吸している。
エリクソンは、人は「自分は何者なのか」を探しながら成長すると語った。
中華街には、その問いを急いで答えにしない空気がある。
中國でも、日本でも、その間でもいい。
揺れながら、生きていていい。
關帝廟では、今日も香が静かに空へ昇っていく。
道教の「流れと共に生きる」という思想のように、
この街もまた、違いを無理に一つへ変えようとはしない。
少し歩けば、公園のベンチに人々が座っている。
観光客、地元の人、働く人。
皆、それぞれ違う人生を抱えながら、同じ赤い灯りを見ている。
中華街とは、文化の境界ではなく、
人と人の間に生まれる「余白」のような場所なのかもしれない。
だから、この街はどこか懐かしく、少し切なく、
そして不思議なのだと思う。
団子坂こころのカウンセリングルーム-KIKU-
臨床心理士 周梓瑩
文京区千駄木にある心理相談室です。
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