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自己紹介に代えて

2025年度の上半期、N H K連続テレビ小説では「あんぱん」が放映されていました。
漫画家であり、詩人であるやなせたかしさんの妻を主人公にして、「それゆけアンパンマン」が生まれるまでの時代背景や、ご夫婦の人柄、生き様が描かれたこの朝ドラは、子どもから大人まで人気があったようです。

なにがきみのしあわせ なにをしてよろこぶ
わからないままおわる そんなのはいやだ

子どもたちが口ずさむ声や、テレビから、おもちゃ売り場から、流れてくる聞き慣れたメロディ、アンパンマンマーチの歌詞と私が出会ったのは10年ほど前のことでした。
何度も歌ってみたり、詩を繰り返し読んでみたりしていると、少し「どきっ」とする言葉が並んでいます。

この歌詞を知ってからというもの、自分に自信がない時、こころが疲れている時、ふと口ずさんだり、自分に問いかけたりしてきました。
なにがきみのしあわせ? なにをしてよろこぶ?
美味しいものを食べること。温かいお風呂につかること。帰る家があること。お気に入りの服を着て出かけること。気のおけない友人とのおしゃべり。
簡単に答えられるようで、なかなか答えられないような、不思議な問いです。

最近になって、また新しい答えが見つかりました。

それは、人から信頼されることです。

「信頼」といえば、心理学の言葉では、エリクソンが提唱した「基本的信頼」という概念が思い浮かびます。基本的信頼は、人の健康な発達ラインにおいて、達成されることが望まれる一番最初の課題とされています。自分は生まれてきてよかった、価値のある存在なのだ、自分が生きているこの世界に肯定的に受け止められている、という信頼感のことで、赤ちゃんが言葉を獲得する前の漠然とした感覚です。これは、日々自分を世話して、不快な感覚を取り除き、快適な環境をつくり、喜びを与えてくれる大人が周囲にいることによって醸成される感覚だと言えるでしょう。もしこの基本的信頼がないままに成長していくと、その後の人生は非常に困難なものとなってしまいます。

さて、健康な心で生きていく上で生涯にわたり重要な意味を持っている「信頼」。
人から信頼されることは、一朝一夕にできることではありません。
では、そこに何が必要なのかと考えてみると、
自分も人を信頼していること、誠実であること、恐れが少ないこと、ものごとを決めつけないこと。
自分を欺かないこと、思いやりを持っていること、一貫していること。
実にたくさんの要素が関係しているようです。
これらは、口で言うは易し、実現することは並大抵ではありません。

誰かを信頼するということは、相手に対して不信と信頼の間を揺れ動き、信頼が少し勝っているような状態を言うのではないでしょうか。
不安、不信、疑い、恐れ、失望、悲しみ、といった心地よくない感情を何度も乗り越えて醸成される信頼は、次第に確かなものと感じられるようになり、一人では抱えきれない感情を支えてくれる器となります。
そして、のびのびと自分を表現したり、思い切って行動するエネルギーの源にもなります。

「信頼されている」という実感は、私にとってよろこびであり、かけがえのないのもです。

なにがきみのしあわせ なにをしてよろこぶ

「これだ!」と思った途端に、新しい疑問が湧いてくる。
そんな問いを大切に、自分との対話、他者との対話を楽しんでいきたいと思います。


団子坂こころのカウンセリングルーム-KIKU- カウンセラー
臨床心理士 髙橋あすか

文京区千駄木にある心理相談室です。
「こころ」にまつわるお悩みやお困りごとがありましたら
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https://dango-kokoro.com


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