シニアライフを楽しもう!=【特別版】民事信託制度について知ろう=
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皆様、こんにちは。
私は、間もなく70歳になるチ~タラといいます。
お金に関するアドバイスや提案等を行うファイナンシャル・プランナー(FP)をしています。
本稿では、60歳以上の方々を「シニア」と呼ばせていただきますが、私は、自分自身がシニアであることもあり、シニア向けのライフプランニングなどを生きがいにしていこうかなと考えています。
今回は、「民事信託制度について知ろう」をテーマとし、信託の仕組みなどについてお話しします。
信託の仕組み
一般社団法人信託協会によると、信託は、自分の大切な財産を、信頼できる人に託し、自分が決めた目的に沿って大切な人や自分のために運用・管理してもらう制度です。
https://www.shintaku-kyokai.or.jp/trust/base/ (信託協会HP「信託の基本」)
詳しく言うと、信託とは、財産(信託財産)を有する人(委託者)が、信頼できる人(受託者)にその財産の名義と管理・処分権限を託し、信託契約で定めた目的に従って特定の人(受益者)のために財産を管理・承継させる仕組みです。
つまり、信託の登場人物としては、①財産の管理を信託する委託者、②財産を預かって管理・運用する受託者、③財産から生じる利益を得る受益者がいるのです。
民事信託と商事信託
今日、信託制度は、認知症対策や相続対策の手段としても活用されるようになっているのですが、大雑把に言うと、こうした信託の受託者には、(1)委託者の家族等が就任する場合と、(2)信託銀行等が就任する場合があります。
このうち、(1)は、委託者の家族等が受託者となって、信託法に基づき、信託契約で定めた目的に従い、受益者のために委託者の信託財産を管理・承継させる非営利の仕組みであると言ってよく、民事信託に分類されます。そのうち、委託者の家族が受託者となる場合は、“家族の間で行う民事信託”と言う意味で、特に「家族信託」と呼ばれることがあります。
これに対し、(2)は、金融庁の認可を受けた信託銀行や信託会社が、信託「業」法に基づき、信託報酬を得る目的で、「業」として(=反復継続して)行う信託であると言ってよく、商事信託に分類されます。
言い換えると、民事信託とは、商事信託(信託「業」法に基づき信託銀行などが営利目的で行う信託)以外の、非営利目的の信託の総称であり、委託者の家族が受託者になる場合も、家族以外の個人が受託者になる場合も、非営利目的であれば、民事信託と呼んでよいと思います。
ちなみに、「家族信託」という呼び名は、一般社団法人家族信託普及協会が商標登録した造語で、“信頼できる家族”に財産の管理処分を任せる信託であることをわかりやすく指すためのネーミングなのだそうです。
https://kazokushintaku.org/registered_trademark/

民事信託制度の活用例(注記1)
(注記1)本項の記載は、次のサイトの記事などを参考にしました。
https://www.shintaku-kyokai.or.jp/special/whats/about.html
民事信託制度の活用例は、次のとおりです。
〇 Pさんは、アパートの大家をしていますが、80歳になり、今のままアパートの賃貸業務を続けていけるか不安になりました。
〇 Pさんには55歳になる長男Qさんがいて、近所に住んでいます。
Pさんは、専門家に相談した結果、Pさんが委託者兼受益者、Qさんが受託者となる信託契約を結び、Qさんにアパートの管理・運用・売却権を与えるとともにアパートの所有権を移転することにしました。
〇 信託契約に基づき、Qさんは、受託者としてアパートの賃貸等を行います。
〇 Pさんは、受益者としてアパートの家賃を受け取ります。
〇 将来、Pさんが認知症等により判断能力がなくなっても、Qさんは、信託契約に基づき、工事業者との間でアパートの修繕工事契約を結んだり第三者にアパートを売却したりすることができます。
そして、アパートを売却した場合には、Pさんは受益者としてその売却代金をもらえます。
本稿の第12回でみたように、Pさんは認知症になると金銭の出金や不動産の売却などが難しくなるのですが、民事信託制度を活用すれば、財産管理をQさんに任せることによって、将来の不安に備えることができるわけです。
なぜ認知症対策や相続対策として民事信託が活用されるのか
現在、民事信託の仕組みは、次のようなケースで活用されています。
(1)上記のように、高齢の親が将来認知症になった場合に備え、子が親の財産を管理する仕組みとして使う。
(2)相続発生後の不動産の売却や分配をスムーズに行うための仕組みとして使う。
(3)財産の承継順序を細かく指定したい場合など、遺言では実現できない設計をする場合に使う。
以下、具体的にみていきましょう。
〇 ケース(1):判断能力の喪失・低下に備えることができる
民事信託は、生前のうちに財産の管理処分権限を家族などに信託する仕組みです。
前述のとおり、加齢により認知症を患い、意思能力(民法3条の2)を失ったり制限行為能力者(民法8条・12条・16条)となったりすると、本人は、単独では、預貯金を引き出す、自宅不動産を売却する、あるいは遺言をすることができなくなります。
しかし、民事信託の仕組みを用いれば、こうした財産が処分できなくなるリスクを減らせます。
〇 ケース(2):不動産等を柔軟に処分することが可能になる
相続開始後の遺産分割等の場面で特に困るのが、不動産や自社株式など「分けにくい財産」です。
本稿の第10回の<事例1>でみたとおり、不動産などは現金や預貯金のように公平かつ容易に分割することが難しいため、その分割を巡って相続人の間でトラブルとなることがあります。また、相続人の共有名義にしてしまうと、その管理処分について相続人全員の同意が必要になることがあるため、“塩漬け”になりがちです。
しかし、民事信託の仕組みを用いれば、信託契約であらかじめ売却や賃貸のルールを定め、受託者に権限を集中させることができるため、相続開始後も柔軟な管理処分が可能となります。
〇 ケース(3):数世代にわたる承継順序等を設計することが可能となる
遺言や法定相続は、基本的に“一回切りの相続”を前提としているため、例えば、「最初に妻の生活を守るために信託財産を使い、妻が亡くなった後は長男又はその子(=孫)に信託財産の管理処分権を集中させる」というような承継順序を、遺言だけで決めることは困難です。
また、成年後見は、判断能力が落ちてから家庭裁判所が成年後見人等を選ぶ制度であって、被後見人等の財産の保護が主眼となるため、柔軟な承継順序等の設計はそもそもできません。
しかし、民事信託の仕組みを用いれば、受益者を連続させることによって、子の世代のみならず、それ以降の世代まで、あらかじめ承継順序等を設計することが可能となります。
信託契約のメリットとデメリット等
ここで、民事信託について、信託契約を締結するメリットとデメリットを整理しておきましょう。
〇 メリット
・ 委託者の判断能力が喪失・低下した場合でも、あらかじめ委託者が受託者との間で締結した信託契約に基づいて信託財産の管理処分を実行させることができ、委託者が元気だった時の意思を実現することができます。
・ 成年後見制度においては後見人等が被後見人の財産を運用して増やすことは原則として認められませんが、民事信託制度によれば、受託者に信託財産を運用させることができます。
・ 財産の管理処分について、あらかじめ信託契約で定めたルールに則り、複数世代にわたって承継させることが可能です。
〇 デメリットないし注意点
・ 信託契約の内容は複雑なものとなるため、専門家の関与が必要となる場合がほとんどです。
・ 税務上の取扱いを誤ると、想定外の課税リスクが生じるおそれがあるため、あらかじめ専門家のアドバイスを受ける必要があります。
・ 受託者の人選や監督方法を適切にしておかないと、受託者による財産の管理処分権限の乱用など、重大なトラブルが生ずるおそれがあります。
信託契約を作成するのは難しい
上述のとおり、信託契約については、専門家以外の方が作成するのはほぼ無理です。その理由をみてみましょう。
〇 個別事情に応じたオーダーメイドの契約となるため
民事信託においては、“親が子の生活を守るため”、“事業承継に使うため”など、ケースごとに信託の目的が異なることなどから、ほぼ毎回、一から契約書を作成することになると言われています。
契約書の作成に当たっては、信託の目的、委託者の家族構成、信託財産の種類などに応じて条項を臨機応変に設ける必要があり、専門家でなければどのような契約内容にするかを判断するのは困難です。
〇 契約書に多数の人物や財産が登場することが多いため
委託者、受託者、受益者、信託財産、信託目的など、誰が、誰のために、何を、どうやって管理するのかを、契約書の中で一つ一つ明確化する必要があります。
信託法上、民事信託の設計の自由度は大きいことから、関係者間でトラブルが生じないようにするためには、信託契約で必要事項を明確に定める必要があるのです。
〇 法律と税務を同時に考える必要があるため
信託契約は、民法上は書面によることを要さず、当事者の意思の合致だけで成立するのですが、実際には当事者の法律関係や相続税法・所得税法上の扱いを十分に考慮し、トラブルが生じないようにする必要があります。どのような条項を設けるかについては、専門的な判断が必要となるのです。
民事信託の利用を検討する際の留意点
以上を踏まえ、民事信託を利用するかどうかを検討する際には、次の諸点に留意しましょう。
〇 信託の目的(認知症対策・相続対策・事業承継など)を明確にする。
〇 家族のうちの1人を信託財産の管理処分権限を有する信託の受託者として指名することにより、他の家族が不満を抱くことがないか、指名した家族が受託者としての事務処理能力を有するかなどをあらかじめ十分に検討する。
〇 信託契約書の作成や税務上の取扱いの確認のため、適切な専門家(弁護士、司法書士、税理士など)を探し出して相談する。
なお、民事事件(注記2)については、原則として弁護士のみが訴訟代理人となることができるほか、家事事件(注記3)などについても、弁護士による代理が予定される場面が多いです。さらに、裁判外でも、弁護士は相手方との示談交渉や契約書作成・締結などを代理して行うことができます。
これに対し、司法書士や税理士は、相続人間で争いがある案件について、一方当事者を代理して交渉に当たることはできません。
このようなことから、例えば、委託者の相続に関して既に争いが起きている場合などには、弁護士に相談するようにしましょう。
(注記2)民事事件とは、金の貸し借り、土地の売買・賃貸借、損害賠償などの財産関係に関する紛争や、身分関係に関する紛争を、裁判などの手続で解決する事件を指します。
(注記3)家事事件とは、家庭裁判所が扱う、離婚・親権・相続・後見など家庭や親族に関する紛争の解決や身分関係の調整を図ることを目的とする事件を指します。その多くは非公開で、調停や審判など柔軟な手続で解決が図られます。
あなたの土地に合った利用方法を見つける方法
これまで述べたことに加えて、あなたが、受託者として、民事信託の仕組みを用いた土地利用により将来的に安定した収益を上げるためには、まずはその土地の価値を理解し、その土地にあった最適な活用方法を見つけることが重要です。
ここで、土地利用を総合的にサポートしてくれる専門業者として、次の業者がありますので、一度相談してみるのもよいでしょう。
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以上、信託の仕組みなどについてお話ししました。
ここまでお読みいただき、ありがとうございました。ご意見・ご感想がありましたら、コメントを付けていただければありがたいです。
次回も、今回に皆様から寄せられたご意見や近頃の巷(ちまた)の話題等を踏まえ、シニアライフを楽しむためのヒントなどについてお話しします。
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