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日本をいまいちど洗濯したい人|桂浜の話

MOON side episode|旅の途中 No.10
高知県|桂浜

海の向こうを見ている人がいる。
何が見えるのだろう。
夕暮れの桂浜で、
そんなことを考える。

目の前には太平洋が広がっている。

波は絶え間なく岸へ打ち寄せ、
白い飛沫を残しては引いていく。

海から吹く風は思ったより強く、
缶コーヒーを持つ手にも潮の匂いが届いていた。



砂浜を歩く。

観光客らしき夫婦が、
波打ち際で立ち止まっている。
女性はスマートフォンを海へ向け、
男性は黙ったまま水平線を見ていた。

修学旅行生たちは、
さっきまで賑やかだったのに、
海の前へ来ると少し静かになる。

外国人観光客は、
何枚も写真を撮りながら坂を上っていく。

みんな同じ場所へ向かっていた。



坂の上には、
海を見つめる一人の男が立っている。

その姿を見上げながら、
人々は足を止める。

写真を撮る人。
説明板を読む人。
ただ黙って見上げる人。
みんな同じ像を見ている。

けれど、
見えているものは
少しずつ違うのかもしれない。

ある人は歴史を。
ある人は旅を。
ある人は挑戦する姿を。

私は缶コーヒーを口に運びながら、
その横顔を見上げていた。



海は広かった。
どこまでも続いているように見える。

風が吹く。
波が寄せる。
雲が流れる。
像はびくともしない。

だけど、
見ているこちらの方が少しそわそわする。

海の向こうには何があるのだろう。
そんなことを考えてしまう。



缶コーヒーは、
いつの間にか空になっていた。

夕日が少しずつ海へ近づいていく。
観光客たちは帰り始める。
修学旅行生の姿も見えなくなった。

けれど、
波の音だけは変わらない。

高知県桂浜。

海の向こうを見ている人がいる。

そして今日もまた、
その視線の先を見ようとする人たちが、
静かに足を止める。

何十年経っても。
何百万人が訪れても。
海は変わらずそこにある。

波の音だけが響いていた。

その先に何があったのかは分からない。
それでも人は、
誰かが見ていた未来を見ようとする。

桂浜の海は今日も、
誰かの「その先」へ続いてゆく。



🌙初めてMOONへ来られた方へ

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