「また蓋が開いてる」と怒っていた僕が、妻に謝るまで
はじめに
「ねえ、また開いてるよ」
冷蔵庫から麦茶のペットボトルを取り出すと、案の定、蓋が半開きだった。今週だけで3回目だ。
妻は「ごめん!」と笑うけれど、こぼれたらどうするんだ。正直、イライラした。
でも今、僕はその理由を知っている。
34歳、会社員の僕が「妻の大人のADHD」と向き合うことになったのは、結婚3年目の春のことだった。
最初は「天然」で片付けていた
付き合っていた頃から、妻は少し変わっていた。
「説明書?読まないよ、意味分からないし」と言って、新しい家電を適当に使い始める。当然、機能の半分も使えていない。
「かわいいな」と思っていたのは、最初だけだった。
結婚してから、日常生活でのズレが目立ち始めた。
∙ ペットボトルの蓋が毎回半開き(なぜちゃんと閉めない?)
∙ 予定を組めない(「明日空いてる?」と聞いても「わかんない」)
∙ 報連相が壊滅的(義母が来る日を当日の朝に言う)
∙ 取扱説明書を一切読まない(読んでも意味分からないもん)
「ちゃんとして」と言うと、妻は必ず「ごめんね」と謝る。でも次の日にはまた同じことが起きる。
もう正直疲れる。そして僕は、「このままじゃダメだ」と思い始めていた。
転機は、妻の友人からの一言
ある日、妻の友人が家に遊びに来た。その友人は妻と話しているうちに、こう言った。
「ねえ、もしかしてだけど…大人のADHDって知ってる?」
妻も僕も「?」だった。ADHDって、子どものやつじゃないの?
友人が説明してくれた内容が、あまりにも妻に当てはまりすぎて、鳥肌が立った。
∙ 複数の手順を覚えられない(だから説明書が読めない)
∙ 細かい作業に注意が向かない(だから蓋が閉まらない)
∙ 時間感覚が弱い(だから予定が組めない)
∙ 優先順位がつけられない(だから報連相ができない)
「一度、専門医に診てもらった方がいいかも」
その言葉をきっかけに、妻は病院に行くことにした。
診断を受けて、すべてが変わった
診断結果は「ADHD(注意欠如・多動症)」。
医師から説明を受け、帰ってから僕に説明する時、妻は泣いていた。
「私、ずっと『ダメな嫁』だと思ってた…」
僕も胸が痛くなった。妻を責めてきた自分が恥ずかしかった。
これは「性格」じゃなく、「脳の特性」だったんだ。
医師は言った。「ADHDの方は、努力してもできないことがある。でも、工夫次第で生活はぐっと楽になります」
その日から、僕たち夫婦の戦いが始まった。いや、「共同作業」が始まったと言うべきか。
夫婦で見つけた「5つの工夫」
診断後、僕と妻で話し合いながら、生活をリデザインしていった。
1. ペットボトル問題→正直これはあきらめる!笑
きっと空いているだろうと、、、空いていたらやっぱりと思おうとした。
2. 説明書問題→「動画で一緒に見る」作戦
文字を追うのが苦手な妻には、YouTubeの使い方動画を一緒に見ることに。映像なら理解できるし、僕も復習になる。今では「新しい家電買ったら動画タイム」が夫婦の恒例行事
3. 予定問題→「共有カレンダーに僕が全部入れる」
妻に「予定を覚えて」は無理ゲー。僕がGoogleカレンダーに全部入れて、当日の朝にリマインド通知。
4. 報連相問題→「LINEで箇条書き」ルール
「義母が来る」「17時」「夕飯いらない」みたいに、超短く箇条書きで送ってもらう。長文は読めても書けないらしい。
5. 完璧を求めない
一番大事なのはこれ。妻は「できない」ことがある。それを責めても仕方ない。できることを一緒に探す。
今、伝えたいこと
もしあなたのパートナーが「なんでこんな簡単なことができないの?」と思うようなことを繰り返すなら、それは**「やる気がない」わけじゃないかもしれない**。
大人のADHDは、本人も気づいていないことが多い。
妻は今、診断を受けて「楽になった」と言う。僕も、妻を責めることがなくなって、夫婦関係がずっと良くなった。
ペットボトルの蓋は今も時々開いてるけど(笑)、もう怒らない。
「ああ、また開いてるね」「ごめん!」「いいよいいよ」
そんなやりとりが、今は愛おしい。
もし同じように悩んでいる夫婦がいたら、「ダメな嫁」「ダメな夫」なんていない。ただ、脳の特性があるだけ。
知ることで、変わることがたくさんある。
一緒に工夫していけば、案外うまくいくものだ。
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