元教員×凸凹男児父が実践している、「朝の支度」が劇的に変わる声かけ術
「早くしなさい!」
「いつまでパジャマのままなの!」
「もう置いていくからね!」
毎朝、時計を見ては焦り、怒鳴り声が響き渡るリビング。
お子さんは泣き出し、あるいはフリーズして全く動かなくなる。
そして家を出た後、一人になってから激しい自己嫌悪に襲われる。
「また怒鳴ってしまった…」
これ、以前の私の日常です。
教員として、学校では
あんなに子どもたちに優しく接することができていたのに。
発達支援のプロとして偉そうに語っているのに。
いざ自分の息子となると、
余裕がなくなって感情的に怒鳴り散らしてしまう。
息子の寝顔を見ながら、ごめんね、と何度泣いたかわかりません。
でも、ある日気づいたんです。
「早くして!」と100回怒鳴っても、
子どもは絶対に早く動けるようにはならない、
ということに。
必要なのは、怒ることではありませんでした。
親である自分の言葉を、
彼らの脳が理解できる言葉に「翻訳」することだったのです。
今日は、毎朝の修羅場を平和に変える、
ちょっとした「翻訳術」をお伝えします。
なぜ「早くして!」は通じないのか?
私たち大人にとって、「朝の支度」はひとつの簡単なタスクです。
しかし、発達凸凹(特にADHDやLDタイプ)のお子さんにとって、
「朝の支度」はひとつではありません。
着替える、
顔を洗う、
ご飯を食べる、
歯を磨く、
荷物の準備をする…。
彼らの脳内にあるワーキングメモリ(心のメモ帳)は、
とても小さなサイズです。
そこに「早く支度を全部終わらせなさい!」という
刺激が投げ込まれると、どうなるか。
処理しきれずにエラーを起こし、
フリーズして動けなくなるか、
現実逃避して別の遊びを始めてしまうのです。
反抗しているわけではありません。
情報量が多すぎて、
どこから手をつけていいか迷子になっているだけなのです。
「でっかい塊」を「一口サイズ」に翻訳する
だからこそ、
大きななタスクを彼らが飲み込める「一口サイズ」に
切り分けてあげる必要があります。
よく「スモールステップ」と言われることがありますが、
こういう毎日のタスクもその考えです。
明日から、この3つの翻訳を使ってみてください。
【翻訳その1】
×「早く着替えて!」
〇「まず、靴下を履こう」
「全部」を要求するのではなく、
今すぐできる「最初の1歩」だけを具体的に指示します。
靴下が履けたら、「次はズボンだよ」と次の1歩を渡してあげます。
【翻訳その2】
×「まだやってないの!」
〇「靴下が履けたら、お父さんに教えてね」
「やってないこと」を責めるのではなく、
「報告させる」ミッションを与えます。
「できたよ!」と言えたとき、
子どもは小さな達成感と自己肯定感を得ることができます。
【翻訳その3】
×「次はどうするの! 自分で考えなさい!」
〇「歯磨きが終わったね。次は顔を洗おうか」
次に何をすべきか、一つずつ順番にナビゲートしてあげてください。
見通しが立つと、子どもは驚くほど安心して動けるようになります。
イライラは、鏡のように伝染する
もう一つ、とても大切な話をします。
親が時計を見て焦り、
「早く早く!」と大声を出すと、子どもはどうなるでしょうか。
実は、親の焦りやイライラは、
子どもにそのまま伝染します。
心理学では「感情のミラーリング」と言ったりします。
親がパニックになっていると、
子どもも不安になり、
余計にパニックになって動けなくなるのです。
逆に言えば、親がゆっくり、低いトーンで、
落ち着いて話しかけるだけで、
子どもはスッと落ち着きを取り戻すことがあります。
完璧な親になんて、ならなくていい
ここまで偉そうに語ってきましたが、
頭で分かっていても、
どうしても余裕がなくて怒鳴ってしまう朝は絶対にあります。
人間だもの、当たり前です。
そんな時は、自分を責めないでください。
「さっきは焦って大声を出してごめんね。
次は『靴下履こう』って言うようにするね」と、
子どもに素直に謝ればいいんです。
(子どもには謝りなさいという割に、
自分は素直に謝れないのが私の悪いところです。)
親が失敗を認めてやり直す姿を見せることも、立派な教育です。
言葉の「翻訳」は、1日にしては成らず。
少しずつ、声かけの引き出しを増やしていきましょう。
親子で笑って「いってらっしゃい」と言える朝が、
1日でも多くなりますように。
【次回予告】
今回は、タスクが多すぎて動けなくなる子への
「スモールステップの翻訳」をお話ししました。
でも、発達凸凹キッズの中には、別の理由で動けなくなる子がいます。
「予定が少し変わっただけで大パニックになる」
「いつもと同じじゃないと絶対に動かない」
そんな、ASD(自閉スペクトラム症)タイプのお子さんたちです。
彼らには、また別の「専用の翻訳術」が必要です。
次回は、この【ASDバージョン】の声かけについて、
リアルな失敗談を交えて深くお話しします。
ぜひフォローして、次回の更新をお待ちくださいね。
