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84度33分のズレで、世界は壊れずに済んでいる | 完全ではないことの、意味


くっついているのに、同じじゃない。

日本式双晶を見たとき、ずっとその違和感が残っていた。

その84度33分のズレが、なぜか妙に引っかかっていたんだ。



1|くっついているのに、同じじゃない


日本式双晶と言われている水晶は、ハート型になっている。
下の方は繋がっているから、同じ水晶が途中で分岐しているのかと思っていた。

でも、それは少し違っていた。

日本式双晶は、2つの結晶が84度33分の角度で接合したもの。
V字型に見えるけれど、ハート型になっている…って言った方が、なんだか素敵だなと思う。
その形から、『平板式夫婦水晶』なんて言う呼ばれ方もある。
2つの結晶が、一番安定して丁度いい角度で接合している。

2|完全に一致したら、消える


もしも、それぞれが単結晶になれば、それはひとりぼっちの水晶になる。

双晶は二つの単結晶が最初から、あるいは途中でルールを守って合体したペアなんだ。
そのペアがハート型を形成するって、可愛らしくて愛しい…と思う。

3|ズレているから、存在できる


本来なら別々に育つはずだった二人が、ある時、特定の角度でぴったりと手を取り合った。
無理やりくっついたのではなく、原子レベルで、ここなら繋がれる!というポイントを見つけて、一つの形を作り上げている。
ズレているのに、外れない。

これ、人と人の関係にそっくりだと思った。

ズレやひねりが起きなければ、ハート型にならない。
なんだかすごく、ロマンチックだ。

4|人も、同じ構造をしている


これって、人も一緒だよね。
全く同じだったら、楽なのに…って思っていたとしても、そんなはずはないことも、どこかで分かってる。
似ていることと、同じことは違うんだから。

お互いが欠けたり、出っ張ったりしていることで、より深く理解したいと思う。
同じ場所が欠けているわけでもないし、同じ場所が出っ張ってる訳じゃない。

だからこそ、繋がる関係が生まれる。
ズレていることで、ピッタリ重なる。
ちゃんと繋がってしまう。

5|そのズレは、なぜ生まれるのか


人は生きていれば、色々なトラブルや悩みが生まれる。
関係性があれば、そこには必ず、摩擦や刺激が起きる。
ぶつかり合って、価値観が違うことを知って。
そうやってズレを認識しながら、関係を紡いでいく。

でもズレを認識しないまま、相手の要求を引き受け続けると、どこかで歪みが出てくる。
相手の要求する脚本の解釈だって、違うことだってある。
相手の書いた脚本を演じきれない自分が、生まれてしまう。

6|ここから先は、少し深い話になる


人は、ズレていることに気づいたとき、それを無かったことにしようとする。
見なかったことにして、その状態に合わせて、何も起きていないように振る舞う。

でも――
その瞬間から、どこかが、静かに歪みはじめる。

誰かに合わせた分だけ、自分の輪郭が、少しずつ曖昧になる。
苦しさは、突然やってくるんじゃない。
気づかないまま、ほんの少しずつ、積み重なっていく。

ここで言っているズレは、誰かとの距離のことじゃない。

自分の中で、少しだけ噛み合っていない、その感覚のこと。
……その見なかったことにした、自分の中のズレは、本当に無くしていいものなんだろうか。

この先で、少しだけ触れていこうと思う。



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