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あの瞬間を、私は「挫折」と呼ぶことにした。

映像業界でやってきた7年のうち、正直しんどかったことは数え切れない。

けれど「これが挫折だったな」と自分の中でハッキリ言える瞬間は、たった一度だけ。それは、テレビ的な働き方に完全に置いていかれた時だった。

私はこれまで、映像配信とか、YouTubeとか、いわゆる“ネット側”の人間だった。少人数で、ある程度自由度もあって、何より「生活との両立」を前提にした働き方が多かったと思う。

テレビの働き方の凄さ

もちろん楽な仕事ではないけど、どこか人間らしさが残っていた。時は2025年。テレビ出身者が立ち上げたメディア企業に入った。これまでに経験していた働き方のすべてが変わった。

14時間労働、月25日稼働、寝ない・休まないのがデフォルトの現場。
声の大きさと体力がすべて。根性で映像をつくる世界。

「これが“本物の映像”か…」最初はそう思った。

悔しいけど、圧倒された。撮影時の演出力や構成力が何よりもすごい。とにかく頭が良いし、スピード感がすごい。
テレビを目指しているネットはこういうことなのだな、と納得もした。

入社してすぐにそう思ったが2週間経った時に気づく。

「あれ?まだ1ヶ月経っていない…」

凄まじいスピードでアウトプットをして、キャスティングもして編集も撮影も行っていた。まさに量をこなし、自分の身体と心がついていかないことを感じる。

深夜に帰り、風呂に入らずに寝て、起きたらまたすぐに仕事に向かう。
本当のテレビの現場は帰ることすらできないと聞くから、帰れているだけでも幸せなんだ、というイカれたマインドになっていた。

仕事の面白さ ✖︎ 体力 = テレビマン になれるわけだが。
私は「体力」がなかったのだと感じる。この仕事を1年以上やり続けられる体力は自分にはない。

仕事は楽しいけど、仕事が止まって人間の生活に戻った時「俺は今まで何をやっていたんだ」という気持ちに苛まれる。

人間の生活を考えると「映像を“つくりたい”って気持ち」だけじゃ、もう立っていられなかった。

そして何よりショックだったのは——
その働き方で作られた映像が本当に面白いものだなと心から感じていたこと。
それを自分の手で生み出すことができないのだ、体力的に。そう思った時、とても挫折感を感じた。

私はクリエイティブから離れようと。そう思える。
こだわればこだわるほどに、脳みそからはドーパミンを感じ高揚感に駆られ、とても楽しい。一方で人並みの生活がしたい。その生活とはかけ離れてしまう。クリエイティブは一般的な生活から離れた超人だけが作れるのだ。

そんな気持ちになった。

私は辞めた。違う部分で数字を追っかける仕事を目指そうと決めた。

無職の誕生

もちろん、「甘かった」と言われればそれまでだ。私よりずっと長くテレビの現場で頑張ってる人が山ほどいるのも知っている。
テレビ局で働いている人はもっと大変なことだったであろう。

私は週2〜3本を月25日、1日14時間稼働で動いていた。帰れない人よりかは帰れていたからまだ良いかも?
でも人間の生活ではない。

そしてなにより、映像が面白い以外にも「お金を稼ぐ」という気持ちも強かった。多分もらえている方だと思うが、もっと欲しかった。
映像も好きだし、ビジネスも好き。そんな私にはいつか映像から離れなければいけない瞬間があったんだと思う。

それが、僕にとっての「挫折」だった。今は、何者でもない29歳無職。(7月から会社員になった)

履歴書で言えるような肩書きはないし、正社員経験もない。ビジネスポジションへのキャリアチェンジを目指して、書類を出しては落ち、通っては落ち、を繰り返していた。

でも、あの「挫折」がなかったら、きっと今でも私は無理して映像業界で頑張っていたのだと思う。
特に挫折を感じたのは、この動画を見た時に心の中でポキっと折れた瞬間がある。

映像業界は専門職であり、みなさん頭が切れて、ハードワーカーで、マルチタスカー。とんでもなく有能。
しかし、ビジネスサイドへの転職も難しい。潰しが効かない仕事なのである。

映像を作るのは贅沢であり、面白くもあり、ただ難しくもある。
誰もが簡単に動画をアップできる時代だからこそ、必要なスキルになるかもしれないが、一生それで食べていくためには「体力」がとんでもなく必要なのた。

あれが、私の限界だった。体力の上限を知れてよかった。

限界を知れたからこそ、ようやく「スタート地点」に立てた気がする。

このnoteが誰かの心に届くかは分からない。でも、ひとつ言えるのは、「挫折」は、終わりじゃないってことだ。

むしろ、自分の人生のハンドルを取り戻すために、必要な一撃だったと思う。

次は、違う形で勝負する。身体も心も、もう一度立て直して。

ここからのことは、またnoteで書いていくつもりだ。

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