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一杯の記録|第64話 會津宮泉 純米酒 無濾過生(福島・会津若松)

一杯の酒から、その土地をたどる。

福島・会津若松。
磐梯山を望む、盆地の町だ。

冬は深く雪に閉ざされ、
春になれば、
田には一斉に水が張られる。

厳しい季節が、
この土地の水を、研ぎ澄ませていく。

會津宮泉を醸す宮泉銘醸は、
ただ、真っ当な酒を造る。

奇をてらわない。
一切の隙を許さない。

米と水に向き合い、
「正解」を求めて、
酒の形を彫り出していく。

さて、本題。

立ち香は、瑞々しい。
ほのかな甘みを帯びた、
やさしい果実の気配。

口に含むと、
生酒らしい躍動が、喉を鳴らす。

果実味のあとに、
米の旨みが、ぐっと身を乗り出してくる。

甘み、旨み、酸。
その均衡に、迷いがない。

流れは素直だ。
濁らない。
崩れない。


余韻はどこまでも清らかだ。
けれど、
酒の芯は、凛として残る。

——うまい。

こういう酒が、いい。

研ぎ澄まされた正道。

この一杯は、
そんな記憶として、ここに残しておく。

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