一杯の記録|第146話 MIYASAKA 山田錦 純米吟醸(長野・諏訪)
一杯の酒から、その土地をたどる。
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寛文二年。
霧ヶ峰が育む、
清冽な伏流水。
澄み渡る、
湖畔の夏気。
三百有余年。
偉大な名という、
眩い看板。
その影に、
眠らない。
始まりの息吹、
その原点へ。
自らの姓を、
刃のように研ぎ直す。
宮坂醸造。
MIYASAKA
山田錦
純米吟醸。

開栓。
弾ける、気配。
舌をかすめる、
粒立ち。
みずみずしい、
走り。
ふくらみ、
重なる。
一筋の光が、
輪郭を、引き締める。
潔く、
立ち去る。
残る、
旨みの名残。
澄明の底、
脈打つ骨格。
この一杯は、
名門が放つ、一閃の刃。
ここに、記録しておく。

