見出し画像

文学フリマ東京40/黄表紙のぞき進捗:「九界十年色地獄」チラ見せ

江戸時代の絵本『黄表紙』を現代語で蘇らせる『黄表紙のぞき』3冊目、ただいま製作中です。
さて5月11日開催の文学フリマ東京40に間に合ういますかどうか笑
現在の進捗状況や、今訳している山東京伝の吉原話をチラリお見せしますね◎

黄表紙を現代語訳して当時の人と同じく寝っ転がって気軽に読もう!というコンセプトでスタートした本「黄表紙のぞき」について、詳しくは下記をお読みください ↓


掲載する5作品を決定!ー江戸の名作ぞろい


3冊目の掲載作品を決定しました。

・十返舎一九「心学時計草」
その手があったか!人気遊女の手練手管が見事な作品。
・山東京伝「九界十年色地獄」
遊女を妻にした京伝が和尚姿で吉原遊郭のリアルを解説
・山東京伝「御存商売物」
赤本、青本、黒本など江戸の絵草子がまさかの擬人化!
・恋川春町「楠無益委記」
江戸時代にもSF小説があった? 春町の未来予想図
・恋川春町「鸚鵡返文武二道」
寛政の改革時の世相を批判し、春町が松平定信から出頭を命じられた作品

どれも面白そうでしょう?
安心してください。面白いから♪


製作途中ですがチラ見せしますー補正の裏側はこんな感じ

現状、すべての作品の紙面を明るくし、くずし字部分を取り去ったところ。
まずは…

山東京伝「九界十年色地獄」(国立国会図書館デジタルコレクションより)

これが元データ。約200年以上も昔の本なので、色も暗くなってシミや剥げなど劣化があります。これを…。

このように明るくして丁寧にシミなどを取り除いて綺麗にして…

くずし字部分をすべて消します。

そしてこのように、現代語訳をできるだけ元どおりにいれていきます。これで当時の人と同じく寝っ転がって、気軽に読める形式が完成します!


遊女を妻にした山東京伝の「九界十年色地獄」について

今日は山東京伝作「九界十年色地獄」をこんな感じで現代語訳しておりました。

京伝は、二度遊女を妻にしています。一度目の菊園(吉原の大見世・松葉屋の新造女郎)を迎えた翌年に書いたのが、この「九界十年色地獄」。上記の画像は、京伝が和尚姿で集まった聴衆に説法を始めるという冒頭シーンです。

「吉原がきらびやかな極楽だと思うのは客のほうだけ。実際の女郎の苦しみは地獄さながらじゃ。たいした奴ではない者ほど、通をきどって遊女に自腹を切らせ、だましたりして遊ぶ。実際はそんな奴こそ野暮なのだ。『おいらん上人』の教えは、ただ一心に野暮にならないよう、南無阿弥陀仏ならぬ、南無野暮陀仏(なむやぼだぶつ)、南無野暮陀仏と唱えよとのことじゃぞ」(要約)

「凡夫ほど通になりたがる」、とか、このような遊女の苦しみを知ってなお彼女たちを弄ぶものは「虎のふんどしを締めていないだけの鬼である」など、ユーモアたっぷり、思わず吹き出してしまう講釈ながら、京伝が妻の苦労を多くの人に伝え、少しでも遊女たちの苦しみを減らそうと一生懸命書いていると思うとなんだか涙がでてきそうです。

京伝和尚がいう「おいらん上人の教え」のおいらん上人とは、元遊女の妻、お菊さん(菊園)のことでしょう。つまり、奥さんの実体験を元に書かれた作品というわけです、

京伝は「遊女が遊女であることは彼女たちの責任ではない。単に貧しいから売られてきただけだ」という考えの持ち主だったようです。さすが当代きっての人気作家だけあって、時代の「常識」にとらわれない、本質を見抜く目を持っていたんですね。

冒頭の京伝和尚の講釈からページをめくると、女郎が小さいころに貧しい家から売られて来て、遊女屋でどのように過ごすか客をとらせられるか、遊女のリアルが描かれていきます。


『青楼美人合姿鏡』よりリアルな遊女の姿

NHKの大河ドラマ「べらぼう」では、今週末の第十回目には遊女が普段客前で見せない普段の姿を描いた「青楼美人合姿鏡」が出てくるようですね。

「青楼美人合姿鏡」(国立国会図書館デジタルコレクションより)

「青楼美人合姿鏡」は、遊女たちのオフの姿を描いた作品です。寝転んでくつろいでいたり、寒さにたくさん着物を着込んだり…。とはいえ、やはりそれはある程度客の視線を意識したしどけなくも美しいもの。男性客のファンタジーを壊さないように描かれています。

一方、こちらの「九界十年色地獄」には、ユーモアたっぷりながらも、遊女たちの大変さがあけすけにそのまま描かれます。

山東京伝「九界十年色地獄」(国立国会図書館デジタルコレクションより)

例えば、徳川家康が江戸に入府した8月1日は、八朔の日として大名諸侯が白帷子を来て将軍を待ち、将軍もまた白帷子で御目見する日。吉原でもこの日は遊女が白無垢を着て道中しました。

しかし旧暦とはいえ、まだまだ暑い時分。上記の絵のように、汗をつららのようにしたたらせて暑さに耐えながら道中をしている遊女の姿も、京伝はありのままに描いているのです。もっと大変なこともネ…。


おわりに

どうですか、読みたくなったでしょう?笑
なんとか無事、文学フリマ東京40に持って行けるよう仕上げられることを祈ってください。

文学フリマで手に取ってみたい人はフォローして進捗をチェックしてくださるとうれしいです♪

「金々先生栄華夢」が読める1冊目はこちら↓

◎悪玉善玉の元祖「心学早染草」が読める2冊目はこちら↓

それではまたー!


いいなと思ったら応援しよう!

大和愛 江戸の面白ネタを掘り起こして発信中。サポートしてもらえると、さらに楽しい記事をお届けできます!

この記事が参加している募集