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10分で帰る約束の外出

「炭酸を買いに行く」と夫が言う。
GWの始まりと同時に長女は体調を崩し、次女だけが元気だ。家の中の温度が、少しだけ歪んでいる。

私は外に出たかった。理由は特にない。強いて言えば、空気を変えたかっただけだ。
「炭酸、私が買いに行くよ」と手を挙げる。ほんの軽い提案のつもりだった。

すると夫は、「外に出たいの?」と確認してくる。
続けて、「10分以上かかるの?」とも聞く。

10分以上かかったら、なんなんだろう。
時間に線を引かれると、急にその外側が「いけないもの」になる。たった数分の違いで、許されるかどうかが変わるような言い方だ。私は「外に出たい」と言っているのに、その言葉は、どうも“要件”として処理されていない。

別に遠出したいわけじゃない。
ただ、家の外に出て、一人で歩いて、何も考えずに戻ってきたいだけだ。10分でもいいし、15分でもいい。数字の問題じゃない。

少しくらい、一人の時間をくれてもいいじゃないか。
そう思うのに、それを言葉にすると面倒な会話になりそうで、結局飲み込む。家庭の中では、ちょっとした希望ほど説明が必要になる。大きな用事は通るのに、小さな欲求は引っかかる。合理的ではあるけれど、あまり気持ちよくはない。

結局、私はコンビニまで行って、炭酸水を買って、10分以内に帰ってきた。
タイマーでもかけられているみたいに、無意識に急いでいた気がする。

ドアを開けた瞬間、特に何も変わっていない家の空気に戻る。
外に出た意味があったのかどうか、よくわからない。でも、外に出たかったという事実だけは、ちゃんと残っている。

たぶん私は、炭酸が欲しかったわけじゃない。
10分で終わる外出に、わざわざ理由をつけただけだ。

そして夫は、10分で帰るかどうかを確認しただけで、悪気はないのだと思う。
ただ、家庭の中では、その「悪気のなさ」が、たまに息苦しい。

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