推しの子/赤坂アカ・横槍メンゴ
初めてYOASOBIの「アイドル」を聴いた時、すごい!と思った。すごい。
Ayaseさんがまたやってくれたと思った。
Ayaseさんの作る曲のセンスはえげつなくて、メロディーラインは美しく、中毒性が非常に高い。
この曲は「推しの子」というアニメの主題歌らしく、私はOPから原作が気になった。
前に1巻が試し読みができるので読んだのだが
なかなかに1巻の展開がものすごい。
まず、物語の主人公かと思われた医師が早々と殺され
主題歌や原作表紙で目立っているアイドルのアイも
1巻のラストで殺されるのである。
おいおいおいおい!?
ツッコミどころ満載である。
アイドルの話かと思いきや、「ママを殺したのは誰か?」という犯人捜しの要素も大きいのである。
アイの子ども(推しの子)として生まれ変わったアクア(元医師)とその双子の妹ルビー(元医師の患者)は、前世の記憶を持ちつつ
芸能活動をして上を目指しつつ、犯人捜しも行う。
アイドルの裏側やテレビの裏側等がよく描かれているし
誰が父親で誰が犯人かを探り合う展開が面白い。
最初に1巻を読んでから今回一気読みするまでに数年の時が過ぎた。
その間に連載が終わり、賛否両論なラストだったことで話題になっていて
一気読みするかしばらく悩んだが
お盆休み中に一気読みをしてみようという気持ちが高まり
今回一気に一日で読んだ。
読み終わってみると、なるほど賛否両論なラストで
うーん…
と、私は唸った。
終わりよければ全てよし、という言葉があるが
小説も漫画も映画も
中盤や設定は面白いのだが
終わりがキレイにまとまっている作品は意外にも少ない。
いくつか、気になった点があった。
①医師ゴローは何故殺されたのか?また16年も発見されなかったのは何故か?何故意識を失った場所と骨が見つかった場所が違うのか?
父親や犯人が分かってからも、殺されるほどのことをしたのか分からない。
あの売れている女優にしても、わざわざ殺す必要はあっただろうか。
手を下さない割に現場にいたのは何故か?実行犯が殺した後に近づいた?
現場にいると証拠が残ったり、見られるリスクが高いのだが。
②アイドルを目指す+犯人捜しの二本柱でよかったのでは?
何故ここに、神様の化身みたいなエピソードを途中から入れてきたんだろうか?これではファンタジー要素が強まってしまう。
生まれ変わりもだいぶご都合主義だったが、最後に何故生まれ変わったかをアクアは悟っているのだし、化身エピソードは蛇足のように感じた。
③DVDの中身。
結局ルビーは見たのか?見たとしたら内容は?
その辺はご想像にお任せします、なのかもしれないが
説明不足感もやや否めない。
④アイの魅力。
16巻中アイが生きて出ていたのが1巻だけであり、絶対的なアイドル感が伝説や口コミ要素が強く、魅力が十分には伝わらなかった。
映画も部分部分しか漫画で描かれなかったり、アクアの創作や想像部分もあるため、「多分アイはこうだったのではないか?」で話が進んで説明不足感を感じた。
もう少し映画エピソードを丁寧に描いたり、心情を深掘りしてほしかった。
逆に、演技のエピソードなんかは主人公以外に対してもものすごーく丁寧に描いてあるんだよね。恋愛番組にしてもコアでニッチで読んでて面白かった。
あの熱量がアイに対しては感じなかった。
嘘つきだから本心はわからない、亡くなった今となってはわからない、というニュアンスなのだろうか。
あと、B小町でアイドルとして活動しているわりに、アイドルの歌やダンスのエピソードはサラッとしていた気がする。
だから読んでいると、演技のエピソードのが印象深い。
⑤父親。
なんかいきなりアクアが父親と接触してんだけど。何故?唐突すぎない?
そして2回目の接触、あれはなんだ?なんでまたあんな場所で会ってあんな展開になるんだ?
やはり唐突すぎる。
ルビー偽物が刺されたエピソードもそうだが、相手を確認しないで扉を開けるのは不用心過ぎる。
あんなに売れっ子なら、オートロックのマンションとかに住むのでは?
そして、刺されたのが体以外ならどうしたんだあれ。
⑥生まれてきた理由。
アクアは生まれ変わった理由がいいかもしれないが、ルビーにとって生まれ変わった意味は一体………
命は守られたし、夢は叶ったけど、大好きな人がみんな殺されるか殺人犯って地獄じゃないか?
前の人生も今回の人生もひどすぎないか?
神様の化身は二人が好きで生まれ変わらせたわけではないのか?こんな思いさせるためにわざわざ双子にしたの?
はたまた、あの化身は生まれ変わりを見守っていただけ?その割に辛辣だし、やけに絡んでくるよな。
いやもう、生まれ変わらせないで安らかに眠らせてやってくれよ。
病気で早死にして家族から愛されずに死んで
生まれ変わったらみんなに愛されたけど
身近で愛を教えてくれた人はみんな死にましたエンドって地獄じゃないか?
それなのに
オチがキレイすぎる。リアルが足りない。
うつ病か発狂か自殺パターンだよ。あんな風に立ち上がれないって。
心壊れるって。
オチもオチだったが
ルビーが不憫過ぎる。
ルビーみたいな人生嫌過ぎる。
せめてルビーに親友や彼氏でもいたらまたちがかったのに
B小町のみんなと特別仲良い感じもしないしなぁ…普通に仲良い、というか。
もう闇落ちエンドなら双子で闇落ちして
そうじゃないなら、普通に前向いて生きようエンドにしてほしかった。
社会的な制裁エンドと性加害について問題提起エンドでとどめてもよかった気がする。
いやもう有馬もビンタくらいしたくなるよ。
それをビンタしたミヤコさんもグッジョブだったけど
アクアの選択は好きな人からしたらビンタくらいしたくなる。
元カノが泣き崩れて、私も悪に手を染めたのにって悔いて
好きな人がビンタして、この選択を怒るって対比はすごくよかった。
ここあたりが、本命になれるかなれないかの差って感じでよかった。
どうでもいい作品ならこんなに長く語ったりはしない。
語りたいだけの魅力があった。
主人公の双子の片割れがアイドルを目指す話だが
どちらかというとアイドルをしていたり、ドルオタの人よりも
子役経験がある人や演劇畑の人
ミステリー要素が好きな一人の方が
よりこの作品を楽しめる気がする。
しかし改めて一気読みすると
YOASOBIの「アイドル」ほど「推しの子」主題歌に相応しい曲はない。
やはりAyaseさんは天才だ。
