4コマ無画③②
【4コマ無画:特命係見習い】
世の中には、豊かな知識で物事の真理を紐解く「天才」がいる。
テレビドラマの中の彼、杉下右京は、膨大な知識の海から最適解を掬い上げ、優雅に紅茶を注ぎながら「細かいことが気になる」と呟く。
だが、私に言わせれば、彼はまだ甘い。
真に細かいことが気になる人間は、知識を蓄える余裕などないのだ。
なぜなら、目の前の「垂直でない電柱」や「最後の一段だけ低い階段」に思考を完全占拠され、その他の情報は消え去ってしまう。
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右京さんの「気になる」は、解決のための手段だ。
しかし、私の「気になる」は、人生を停滞させるよう遺伝子に組み込まれているものである。
「中華料理専門店?天津飯て日本発祥じゃなかった?」
「ラーメン専門店?ギョウザあるけど…」
不毛な気付きは更なる問いを連れてくる。
知識量は足元にも及ばないが、その「無益な一点への没入感」において、私は彼に勝った気がしてならない。(無論、勝ってない)
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「細かいこと」に気づく能力とは、本来、世界を解像度高く捉えるためのギフトのはずだ。
だが、その解像度が高すぎると、世界はノイズの塊と化す。
他人のネクタイの結び目のわずかな歪み、居酒屋のメニューの「ポテトサラタ」という濁点の欠落。
そんな「どうでもいいバグ」に全神経が活性化され、食事の味も会話の内容も霧の向こうへ消えていく。
右京さんは解決してスッキリするが、私は解決できない違和感を引きずり、夜も眠れなくなるのだ。
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……リアルとは悲しいものだ。
私が気になる細かい事は、時間の消費だけで何も生まない。
答えも出ないので脳トレになっているかもあやしい。
「最後に一つだけ……」と問いかける相手もいない私は、さらに一つ自分への問いかけを増やす。
たくさんの知恵の輪をひとつの箱にぐしゃっとしまう感じ。
もう投げ出すべきだよね。
……「最後に、もう一つだけ」(笑)
