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曇り空と焼きりんご

 朝起きたら今にも降り出しそうな曇り空。空気も冷たくて、布団にもう一度潜り込みたくなる。寝坊した息子の機嫌が悪い。そして一悶着。朝からイライラ。連休明けで散らかった部屋。気持ちを立て直せない。こんな日に限って娘を自転車で迎えにいく日で、そのうえ子どもたちの歯医者もある。ごはんを食べれば機嫌がよくなる私も、それでも気分が上がらない日もある。でもこのままでは一日を乗り切れない。

 そうだ、焼きりんご。焼きりんごつくろう。そのために、ずっと欲しかったりんごの芯をくり抜く道具を買ったんだもの。芯をくり抜いて、バターを入れて、くるみとレーズンを入れる。それからシナモン。温めたオーブンで30分。

 きれいな色。アイスを添えたらおいしそう。生クリームもいいな。なくてもいいけど。温かいりんごとそれの組み合わせは魅惑的。やわらかくなったりんごは甘くて少し酸味がある。温かい紅茶も一緒に。りんごはやっぱり肌寒くなった季節がよく似合う。

 初めて焼きりんごを食べたのは、学生のときに行ったカフェだったと思う。薄暗い店内の記憶はあるけれど、どんな味だったのか、例えば何か添えられていたのかは何も覚えていない。でもとてもおいしかったのだと思う。本当はおいしかったどうかも覚えていないけれど、この季節になるたびにまた食べたいな、とふと思うから。あのお店は今はもうない。

 思い出は美化されるものだけれど、見事に記憶がないものだから、あのお店の方が美味しかったなとは思わない。またつくろう。今度はもう少し上手に芯をくり抜けるはず。くるみとレーズンはあってもなくてもどっちでもいいな。

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