「近畿地方のある場所について」どうすればよかったか
こんにちは、大豆柴です。
普段はSpotifyプレイリスト自慢を主なコンテンツとするnoteです。
が、このところ複数の掲載予告を挙げているのにどれも進んでいないですねぇ…
にも関わらず、また全然別の話を挙げようとしています汗
表題のとおり映画「近畿地方のある場所について」を観てきまして、どうしても自分の感想をどこかに残しておきたいと思い、筆を走らせています。
記事の味付け
読まれた方の快・不快を左右すると思うので先に宣言しておきます。
総合評価★★☆☆☆、ぐらいで書いてます。
#ネタバレ も含みますので、回避されたい方はここまでで、またどこかでお会いしましょう。
↓読んでくださるとのことで、ありがとうございます。
筆者の立ち位置
原作は【カクヨム】【文庫版】を読んだ
漫画版もWebの連載で追ってる
白石晃士監督の映像作品は一切観たことがない
フェイクドキュメンタリー・モキュメンタリーというジャンルにハマり、直近で以下の作品群やイベントを鑑賞した
Aマッソの頑張れ奥様ッソ
このテープ持ってないですか?
SIX HACK
行方不明展
TXQ FICTION「イシナガキクエを探しています」「飯沼一家に謝罪します」「魔法少女山田」
梨×闇「つねにすでに」
映画「ミッシング・チャイルド・ビデオテープ」
映画「◯◯式」
恐怖心展
1999展〜存在しないあの日の記憶〜
率直な感想
星っ、ふたつですっ。5段階評価の。
他者様の感想として「前半二億点、後半二点」というのを読んだと家族から共有を貰ったのですが、それにリアクションしたら「その心、前半二点、後半二点だねw」と見透かされました笑
要因はいろいろある
没入感がなかった
賛否の分かれる中でも低評価を下した方々が唯一褒めている点に「前半のPOV映像群が良かった」という感想が揃ってるんですが…
確かに画質や音質は「その当時の映像」を再現してるんですが、映像の中で起こってることが台本通りすぎるというか…
例として、事前公開された本編の一部に「林間学校での映像」があるんですが、劇団の演技だなぁという感が拭えず。
怪異発生、駆けつけるとみんな集まってる
↓(既にカメラが回っている)
声だけの怪異と会話する生徒が現れる
↓(がっつり生徒を撮る)
怪異の攻撃を受けて生徒が倒れる
↓(がっつり生徒を撮る)
現場は大混乱、先生らしき人「みんな落ち着いて!」と連呼
↓(救急車とか保健士さんとか呼ばない)
「(窓の外に)なにかいる!」と叫ぶ生徒
↓(暗闇に浮かぶ怪異にピントを合わせてズーム)
…撮ってるお前は誰だよ、スタッフかよ笑
他の映像も同様な感じで、ホームビデオで窓の外をボーッと見つめる母親をずっと映しますし、家の外から怪異に発見された大学生も震え声を上げつつちゃっかり外に立ってる怪異にフォーカスして動画撮影。
なんでこんなにすべて克明に事象を残してるんだと思ってしまって、モキュメンタリーを感じられなかったんですよね。
この点、前述したリストのフェイクドキュメンタリー作品は素材のホンモノ感が徹底されていました。
Jホラーにおけるフェイクドキュメンタリーの旗手が白石監督ならば、時代はもう次の世代のものだ、という感想を抱かずにはいられませんでした。
空々しかった
そんな前半は、失踪した前編集者の映像素材を順に眺めながら、ドラマパートとして主役二人が情報整理に努めるというターンを繰り返すんですが、このドラマパートについても予告が公開されて思ってた不安が当たってしまい、残念でした。
とにかく全員の演技が空々しい印象で…。
これも予告編で観られるシーンで菅野美穂の「何その繋がり!?すごいね!」ていう台詞があるんですけど、特に「すごいね!」が言霊まるごと宙に浮いてたというか…
これまず「すごいね」ていう台本がダメじゃないですか?
日常会話で「すごいね」て口にする時って、言ってる人は「すごい」とは思ってないだろっていう。
聞き役として感嘆してあげるボキャブラリーのひとつじゃんかと。
で、どうもパンフなんかを読むと、あくまで一般人のコンビがミステリーハンター的な立ち回りで物語をドライブしていく為に「上手い」演技を外していったみたいなことが述べられてて。
うーーーーん、わざとかー。。。
まあ物語的には、この前半で特に菅野美穂が空々しくしてるのにも理由はあるってのが観終えたら分かるんですが。
空々しさでいえば、感想で最も顕著なのが「一番怖かったのはニコ生配信者のパート!」というものなんですが、ネタバレすると、これを演じているのが九十九黄助さん。
もうね、その時点で個人的には、ここ笑うパートじゃんかと笑
というのも、既に普段のYouTubeでの取っつきやすいキャラクター(本格ホラー作品なども怖くないように紹介してくれる)には家族全員ファンになってまして。
それに「◯◯式」で見た朴訥でクールな演技も知っていた者でしたので、この迷惑系配信者の演技が、白っ々しくて仕方がありませんでした。
彼を元々知らなかったか、あるいは出演を知っていたら、別の見方が出来たのかな…
難しいですよね、作品の特性上、主役二人以外のクレジットは公表しにくかったと思いますので。
▼ファンとして最初に好きになった動画を貼り付けてお茶を濁します。
怖くなかった
結局これに尽きるんじゃないかと。。。
原作由来の「徐々にのしかかってくる不安を抱えながら進みたい欲」も起きず、かといって王道ホラー作品のような強い怪異にビビらされる場面も少なく…
原作だとしっかり膨大な被害者を出してる怪異なので、わりと身構えて観に来たんですけどね。
物理攻撃の効く怪異でしたし笑
後半に豹変する主人公を使いたくて菅野美穂だったのね!て納得できる名シーン(藤原竜也ばりに濁点で叫びながら怪異を轢く、バールで祠をぶっ壊す)は観てて楽しかったんですが、あれも一部は予告編で見ちゃってたのが残念ポイント。。。
実はホラーは呼び水で、人間ドラマの作品なんだよ!すべては「母の愛」で、ゆえに暴走もするんだよ!なんて説得が試みられたら、さすがに「違う原作でよろ」てなるし…
空気だった主題歌
主題歌が付いた!というニュースを聞いた時点でもガッカリ感があったのはぶっちゃけですが、椎名林檎についてはこのnoteでも複数回登場してますから、好きなアーティストに含まれます。
でも残念ながらこれも全く印象に残らず…
「歌詞を縦書きで右側に出す」は、彼女と契約すると履行必須の表現なんですかね?
エンドロールを眺めながら興味の無いサブストーリーがちらつく印象を受けました…
試しに表示を取ってみたらどうだったのか…
どうしてこうなったか考えた
「近畿地方」から離れたい背筋氏
原作「近畿地方のある場所について」は現在も「カクヨム」にてweb版を無料で読むことが可能です。
私がこの作品を知った時には既に完結していましたが、ちょうど大森時生・梨といったクリエイターのマルチメディア展開込みのホラー作品に興奮していた頃に読んで、文字だけでこんなに怖いものを…!とさらなる興奮に打たれたのを憶えています。
この原作は、作者が語り部となって読者に情報提供を求め、そのヒントとなる素材を羅列していくという形式で進みます。
掲載当時は正体不明だった背筋氏によるこのトリックで、読者自身が謎解きいわんや怪異伝搬の肩具を担ぐ構造を取られたことが、フェイクドキュメンタリー・モキュメンタリー作品として人気を築いた一因だと思います。
でも背筋氏のその後の作品や文章に触れると、この作風で売れていきたいという意思は感じません。
むしろ登場人物にフォーカスした物語を作っていきたいのかなと。
現に、単行本とは内容が違う!として話題になっている文庫版は、単行本までの構造から一歩目線を後ろにし、映画と同様に謎を追う編集者のバディを主役に立てて話が進みます。
憧れの監督作品なら断れない
背筋氏が白石監督「ノロイ」に強い影響を受けて「近畿地方〜」を執筆していたことは明言されており、10社もの実写化プレゼンから白石監督案が選ばれたのには、背筋氏自身の意向にも沿うものだったことでしょう。
素人ですが、今般では映画製作の現場でも原作者の意思を尊重するチームは多いんじゃないかというイメージを持っています。
原作者軽視・コミュニケーションの不足によって起こった悲劇を我々も知っていますし、原作を好きな消費者としても原作者の太鼓判は映画を観に行く強い動機になります。
この映画のチームはどうだったかというと、監督やプロデューサーから原作者に意見を求めるコミュニケーションが沢山あったそうですが、背筋氏曰く「ほとんどアイデアが固まってるので茶々入れただけ笑」と発言しており、憧れの監督チームにならどう料理されても構わない、好きに壊しちゃってください、という思いも垣間見えるように思いました。
我の強い映画監督も嫌いじゃない
原作ファンに不評、監督ファンには好評、という映画は別に珍しくないですよね。
原作ありきの映画は「翻案」なんですから、改変があるのも当然だし。
原作改変、で私が真っ先に思いつくのは紀里谷和明氏です。
映画デビュー作「CASSHERN」は昭和の同名マンガ・アニメを原作に置きながら、独自の世界観を詰め込んで原型を留めない完成品となったことで、多くの批判を浴びました。
ちょうど同時期に「デビルマン」も似た形の批判を集め、マンガアニメの実写化にネガティブなイメージを与える両雄となりました。
でも私はこのCASSHERNが本当に好きだったんですよね、原作を知らなかったからなのは大きいと思いますが…
舞台を思わせる大仰な演技、全編グリーンバックで「CGはこう使うんだ」という美学を突きつけるアクションと映像表現、そして映画の構造を犠牲にしてでも投げかけてくるメッセージ。
総じて「監督のワガママ」を随所に感じながら、その熱量の虜になる作品でした。
信じられるクリエイターの作品なら、喜んで浴びよう。
という基本姿勢を私に与えてくれた作品だと思っています。
これからは観客も「プロデューサー」に目を向けるべき?
なので、近畿地方の話に戻しますが、これが「白石晃士印」の映画作品だったんだとしたら、文句はここまでだよなぁ、とも思います。
しかし勿論、星ふたつっ!な作品を好んで観たいとは思いませんから、じゃあ私は今後どこに注意すれば面白い作品に出会えるのかと考えたとき、浮かぶのは「プロデューサー」に着目することなのかなと。
原案・原作を映画で表現するときに、それぞれの才能のパワーバランスも把握し、最適なチームを作れるプロデューサーが担当しているのかどうか。
ということで川村元気プロデューサー&監督の「8番出口」にすべての望みを託し、筆を止めます。
いろいろ話題が散漫するnoteで恐縮です。
引き続き、ご愛好のほど。
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まさかとは思いますが、もし戴けたのであれば、謹んで愛犬のおやつ代とします。笑
