サーキットで走ろう その8 脱初心者を目指そう
第8章
教習所とは違う!サーキット走行で「脱初心者」するための技術と理論
自称「初心者卒業生」の私が、教習所の走り方とサーキット走行の違い、および脱初心者のためのポイントを解説します。
中上級者には当たり前かもしれませんので飛ばしてください
サーキットでの「正しい乗り方」
教習所で習う「正しい乗り方」は、安全に公道を走るためのものです。
しかし、強力なG(重力)がかかるサーキットでは、少し勝手が異なります。
・ブレーキの指の数
教習所では「4本指」と習いますが、サーキットでは1〜4本のどれでも構いません。私は、人差し指と中指の2本で操作しています。
・ステップに乗せる足の位置
土踏まずではなく「つま先の付け根(母指球)」あたりで踏みます。
その方が下半身に力が入りやすく、くるぶしで車体をホールドしやすくなります。
・ニーグリップが超重要
サーキットでは、公道では経験しないような加減速・旋回のGがかかります。
そのGに負けずに体を支えるのはハンドルではなく、ニーグリップです。
「膝の内側」でタンクをしっかり挟みましょう。内ももではなく、膝です。
Gに負けてハンドルを強く握ると操作性が落ちてしまいます。
【脱初心者むけニーグリップ習得エクササイズ】
1)スタンドを立てたバイクにまたがり、つま先でステップを踏み、ハンドルを握る。
2)その状態で、腕立て伏せをする。
3)次に「手を離して」同じ動作をする。
4)手を離して上半身を上下させるには、膝・くるぶし・ステップの3点で体を支え、背筋を使う必要があります。これがニーグリップの完成形です。
「ボトムスピード」がタイムを決める理由
「速く走る」ために最高速を上げることも大切ですが、実は「ボトムスピード(コーナーでの最低速度)」を下げないことの方が重要です。
例えば、最終コーナーを立ち上がってホームストレートに入る際、A君は100km/h、B君は85km/hだったとします。
エンジンのトルク(加速力)は回転数によって変化するため、この15km/hの差はストレートが進むにつれてどんどん開いていきます。
2秒後には「120:100」、4秒後には「145:120」、6秒後には「175:145」というように、ストレートへの進入速度の差が、そのままタイムの決定打になるのです。
カーブを「ストレート」の一部に変える考え方
教習所では「カーブの前に減速し、曲がり終えてから加速する」と教わります。しかし、サーキットの論理は違います。
・カーブの始まりは「減速区間」
カーブを曲がりながら減速することで、ストレートの全開区間をギリギリまで伸ばします。
・カーブの終わりは「加速区間」
サーキットではフルバンクして旋回し、向きが変わった瞬間から、そこを「ストレートの始まり」と考えて一気に加速します。
つまり、カーブの一部を減速と加速に割り振ることで、実質的なストレート区間を長く確保するのです。これを煮詰めていくと、最終的に「レコードライン」という答えに辿り着きます。
レコードラインを走るためのチェックリスト
まずは自分がコントロールできる速度で、理想のライン(レコードライン)をなぞる練習をしましょう。
「クリッピングポイント(コースの縁に最も近づく点)」にしっかり接することができれば、徐々に速度を上げていきます。
もしラインから外れてしまう場合は、まずは以下の項目を確認してみてください。(本当はもっと他にもたくさんのチェックポイントはあります!)
・腕に力が入りすぎていないか
・体重移動開始・カーブ進入のタイミングは適切か
・進入速度が速すぎないか、または遅すぎないか
・旋回中のブレーキや体重移動ができているか
【注意ポイント】
サーキットは陸上競技場ではありません。
インコースの縁に沿って走り続けるのは間違いです。
クリッピングポイントは、あくまで「一瞬だけ接する点」であることを意識しましょう。
旋回中の減速と加速の注意点
カーブへの進入速度は、そのままでは曲がりきれないほどのスピードです。
そこで重要になるのが、クリッピングポイントまでフロントブレーキを「優しく引きずる」感覚です。
そのままでは曲がりきれないカーブを、旋回しながら優しく減速し続けて曲がるのが1次旋回です。
慣れないうちは恐怖で強く握ってしまいがちですが、強くかけすぎるとバイクが起き上がってしまい、逆に曲がれなかったり、タイヤがロックして転倒してしまいます。タイヤには減速+遠心力がかかっていることを意識しましょう。
最初はギアを1段落としてエンジンブレーキを1次旋回中の減速にしてもいいと思います。
旋回開始からクリッピングポイントまでは「減速区間」です。
この区間でアクセルを開けてしまうのは、進入時に減速しすぎている証拠です。
逆に、立ち上がりでアクセルを急激に開けすぎると、後輪が滑って「ハイサイド」という大きな転倒に繋がります。
トラクションコントロール機能があるマシンなら最大設定にし、後輪の接地感と対話しながらアクセルは丁寧に開けていきましょう。
この時後輪には加速力+遠心力がかかっていますので、いつもなら大丈夫なアクセルワークでもスピンしてしまうことがあります。
最後に
まずはニーグリップを固め、レコードラインをなぞることから始めてみませんか?
無理なペースアップは禁物です。一つずつステップをクリアして、安全に「脱初心者」を目指しましょう!
