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開業権がない?!

 理学療法士(PT)、作業療法士(OT)、ST(言語聴覚士)の人たちには「開業権」がないという。

PT:理学療法士(Physical Therapist)
役割: 寝返り、起き上がり、立つ、歩くなど、人間としての「基本動作」の回復・改善。
内容: 運動療法、マッサージ、物理療法(電気・温熱など)。
OT:作業療法士(Occupational Therapist)
役割:
食事、着替え、トイレ、入浴、調理など、日常生活の「応用動作(作業)」の改善。
内容: 手芸や工作などの作業、家事訓練、心のリハビリ。
ST:言語聴覚士(Speech-Language-Hearing Therapist)
役割: 話す、聞く、読む、書くなどの「言語コミュニケーション」や、食べ物を飲み込む「嚥下(えんげ)」の訓練・指導。
内容: 言語訓練、嚥下訓練。

 ぼくの妻は脳血管障害の後遺症による片麻痺のため、現在でもリハビリを続けている。(詳細は以下の記事)

 そこではPTやOTの方々にお世話になることも多いのだが、彼らには自らが主体となって施術施設や療法院といったものを開業する権利がないというのだ。
 少し調べてみると、PTやOTは「医師の指示の下に、理学療法(または作業療法)を行うことを業とする者」と定義されているため、医師の指示なしに患者を診療することができないという。
 そのこと自体は知っていたのだが、例えば診断書などがあれば療法士の開いた療法院などでリハビリを受けられるのではないかとも思っていた。

 だが、医療資源の集中と安全の担保という名目で彼らには自ら開業する権利自体が与えられていないのだ。

 どういうことかというと、
病院への集約: 病院でのリハビリテーション需要に対応するため、リハ職が自由に開業して地域に分散してしまうと、病院で必要なリハビリ人員が不足する恐れがあるため。
安全な提供: 医師が病態を管理し、リハ職が指示に基づきリハビリを行うことで、患者の安全を担保している。

 ということらしい。

 しかし、維持期に入った患者について医師が病態の管理をするといっても、血圧を測って「変わりはないですか?」と聞くぐらいのものだ。これではとても「患者の安全を担保している」とは言えないだろう。

 実際に患者を診て状態を把握しているのは現場で患者と接している療法士の方々なのだ。はっきり言えば、その段階では医師の介在はなくても何も変わらない。

 もちろん、急性期・回復期には質の高い集中的なリハビリが必要であることは十分承知している。

 今は高額な自費リハビリ施設も増えて、PTやOTは各所から引っ張りだことなり人員の確保が難しくなっていると聞く。
 地域の病院で質の高いリハビリができなければ地域医療の衰退に繋がってしまうという理屈もわかるが、問題は健康保険でのリハビリが180日ルール、150日ルールで終了した後は介護保険でのリハビリ以外に選択肢がないことだ。

 介護保険は若い人ならば重度の後遺症があって介護認定を受けている場合か、介護認定を受けている高齢者以外は利用できないのが現状だ。

 ところが、現役世代が脳血管疾患になって片麻痺などの後遺症が残っていても介護認定が非該当とされてしまえば、公的保険でのリハビリは継続できない。きちんとリハビリを続ければ仕事に復帰することができる人たちでも、受け皿が高額な自費リハビリしか選択肢がなければ仕事に復帰することが難しくなる。

 国の言う理屈もわかるし、社会保障費の高騰が叫ばれていることも分かった上で、あえて言いたいのは公的保険が利用できる「リハビリ難民」の受け皿を作ってほしいと言うことだ。「急性期・回復期は現行制度、維持期は開業権を認める」といったカタチでもいいのでなんとかならないものだろうか。

 以前のように、健康保険を使ってずっとリハビリを続けられればそれが一番いいのかもしれないが、その制度を見直した上での現行制度であるのは百も承知だ。 

 現在の高齢者と子育て世帯にしか優しくない、現役世代にはあまり恩恵が感じられない現代社会の構造自体を変えない限り難しいのかもしれないが、なんとか制度を変えて療法士の方々が開業権を得て、自分たちの経験や知識を活かした納得いくリハビリを行える施設を作ってほしいと切に願う。


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