深夜番組
今年は、ワールドカップやWBC、冬季オリンピックなど、スポーツの祭典が重なった年だった……らしい。結局どれも気づかない間に始まって終わっていた。何にも知らなかった。
もともとスポーツにはあまり興味がない方だ。だけど、これほど大きなイベントとなると、昔はぼくも周りの雰囲気につられて、それなりにテレビで観ていた。競技そのものを観ていなくても、ニュースで繰り返し流れるハイライトを見て、誰がメダルを獲得したとかくらいの近況は、なんとなく追えていたと思う。
数年前にテレビが壊れてから、世の中の出来事をなんとなく知る機会がなくなった感じがする。スポーツ関係のニュースもそうだし、特に国内で起こった事件とか本当に知らない。そこで初めて、テレビを見ていた頃は、毎日、自分の興味の外側にある情報にも自然とよく触れていたことに気がついた。
当時は退屈だなと思いながら、ほかに見るものもなく、なんとなく眺めていた様々な番組。もちろんテレビ局が選んだ情報に過ぎないし、今更、あの頃のようにテレビを見る生活に戻ることもないと思う。それでも、ネットのフィルターバブルに囲まれて、自分の興味のある情報しか流れてこなくなった今になってみると、自分では決して選ばなかった情報と自然に出会える環境は、案外豊かなものだったのかもしれないと思えるようになった。
思いがけない事故のような出会い
そんなふうに、こちらの意思とは関係なく、いろんな情報を次々と届けてくれるテレビは、ときどき、後々まで思い出すことになるような番組も運んでくることがあった。その中でも特に印象的だったのは、昔深夜に放送されていた番組の数々だ。まだ小学生のぼくが知らないような世界を見せてくれるものが多く、わくわくするような内容だった。
そういう番組との出会いは、いつも突然で、その場限りだった。SNSもない時代だし、見終わったあとに誰かの感想を探すことも出来なかった。ぼくの周りにも、そういう番組を見ていた友達はいなかったから、見た自分でさえ夢じゃないかと疑うほどだった。だから、「あれは何だったんだろう」と、授業中に思い出して、もやもやすることもよくあった。
そんなとき、新聞紙のテレビ欄に残る番組名だけが、「本当に放送されていたんだ」という唯一の証拠だった。この事実を残しておかないといけないと思って、番組名の載った部分だけを切り抜き、当時つけていた日記帳に貼り付けて、後からそれを眺めることでなんとなく心を落ち着かせていた。ぼくにとって深夜番組とはそういうものだったのである。
というわけで、今回はそんな少年時代に偶然出会い、今でも印象に残っているテレビ番組や映画などを、調べてわかった範囲で、(少ないけど)振り返ってみる。 そんな回です。
1.高城剛X(1994)
多くの人にとって、「ハイパーメディアクリエイターという肩書の謎の人」、あるいは、「沢尻エリカの元旦那」といった程度の認識かもしれない高城剛。そんな彼がメインパーソナリティとなって、世界の最新テクノロジーとかカルチャーとか紹介する番組。第一回では、屋台のおでん屋で未来ではISDNが普及し、パラボラアンテナで家が放送局になると熱く語っている。
パナソニックから発売されたゲーム機「3DO」のプロモーション番組として制作された側面もあったようだけど、それ以上のものがあった気がする。和製WIRED感があり、わくわくする番組構成。

2.新世紀エヴァンゲリオン再放送 (1997)
旧劇場版のプロモーションで、当時深夜にTV版を一挙放送していた。深夜にアニメが放送されていることへの違和感と、それがエヴァンゲリオンだったことは、ぼくの中で分かちがたく結びついていて、ぼくにとって、エヴァンゲリオンは夜にひっそり見るものだった。

3.ハイランダー 悪魔の戦士
深夜には知らない映画もたくさんやっていた。その中でも覚えているのが、この作品。不老不死の騎士が時代を超えて戦う話。ヒロインだけが年老いていき、老衰で途中退場するのが切ない。『トップをねらえ!』や『インターステラー』などウラシマ効果を扱った作品に弱いのだけど、この作品が原体験になっている気がする。こちらはなんとヘンリー・カヴィルでリブートされるという情報が。

4.怪奇の館 レイ・ブラッドベリ・シアター
80年代末のテレビシリーズで、93年から94年にかけて日本でも放映されていた「レイ・ブラッドベリシアター」の中の1本「恐竜ハンティング」
実は、この作品の最後のオチだけずっと覚えていて、それが何という作品なのか判明したのはつい最近のことだった。
そのオチとはこうだ。
物語の終盤。主人公たちはタイムスリップしていて、なんだかんだあって無事現代に戻ってくる。ところが、どこか様子がおかしい。 まるで別の世界に来てしまったような違和感がある。
一人の勘の鋭い仲間が別の仲間の足元に目をやる。すると、そこには小さな蝶が一匹踏み潰されていた。
仲間たちが顔を見合わせる中、そこで気味悪く物語が終わる。
たった一匹の小さな虫を踏み潰しただけでも、未来が変わってしまうというバタフライ効果を使った見事なオチ。
原作はレイ・ブラッドベリの短編小説で、タイトルは「雷のような音(A Sound of Thunder)」。雷のような音とは恐竜の咆哮のことらしい。
ぼくが昔みたのは、この作品の映像化だということまではすぐ判明したんだけど、調べてみると、「サウンド・オブ・サンダー」という別の映画ばかりが出てきた。こちらは2004年の映画で、主演はライアン・レイノルズ。そもそも年代が合わない。
それでも調べ続けて、最近ようやく、80年代末のテレビシリーズ『レイ・ブラッドベリ・シアター』の一編「恐竜ハンティング」にたどり着いた。
子どもの頃に見たあの不気味な作品の正体が、ようやくわかってすっきり。

5.テレビ局のクロージング映像
なんかこれも入れなきゃと思った。


番外 TV's TV(1987)
年代的にリアルタイムで見れなかったけど、これも入れておきたかった。
台湾の天気番組 見たこともない海外のゲーム、環境映像など、朝になるまで100個紹介するというもの。こちらは伝説化しているのか、比較的ネットで情報が入手しやすく、ぼくもずっと後年になってからニコニコ動画で見た。1987年のYouTubeと言われているらしい。
こんな番組たまたま深夜に見れたときは最高の体験だろうと思う。

