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個人的に多大な影響を受けた/強烈な印象を残したバンド紹介 #37 DEVILOOF

前回の記事で取り上げたが、V系メタルシーンからDIR EN GREYフォロワーバンドを淘汰し本格派のメタルコア/デスコアバンドを呼び寄せるきっかけとなった偉大なるゲームチェンジャーNOCTURNAL BLOODLUST。文字通りシーンそのものがひっくり返り数多くのV系メタルコアバンドが躍進する契機となったが、本日はそんなV系メタルコア/デスコアバンドの中でもブルータルさにかけては他の追随を許さない凶悪極まりない大物を紹介したい。

2015年に大阪で結成されたV系デスコアバンドDEVILOOF。多彩なスクリームを操るシンガーでありコンポーザーでもある桂佑、ベーシストでありバンドのリーダーでもある太輝が今もバンドに存続しているオリジナルメンバーである。2015年に突如としてシーンに登場し名刺代わりとなる初のシングル/MV『Ruin』を配信。その凄まじい完成度の高さ、そしてV系然としたクリーンVoを完全排除しグロウル/スクリームのみで狂気を演出するそのサウンドがたちまち話題を呼ぶ。

翌年2016年にドイツで毎年夏に開催される世界最大のメタルフェスWacken Open Airへの出場権を賭けたMetal Battle Japanに参加。惜しくも決勝で敗れるが同年の初のEPとなる『PURGE』をリリース。『Ruin』同様クリーンVo完全排除のガチ過ぎるデスコア/ブルデス/グラインドコアサウンドがシーンに衝撃を与え、オリコンインディーズチャートにおいて12位を記録する事となる。

2017年には一旦活動休止を挟みその間にメンバーチェンジを慣行。そしてついに初のフルアルバムとなる『Devil's Proof』をリリースするのだが、ここに来てこれまで使用しなかったクリーンVoを大々的に解禁。音楽的にも大分メロディーを導入した路線にシフトしており「デスコアからメタルコアになった!」と賛否両論分かれたのも記憶に新しい(厳密には2016年にリリースされたオムニバスに提供し後に2ndでリメイクされる『アイシテクダサイ』でクリーンVoを既に導入していた)。

2018年にはデンジャークルー・レコード傘下の9thRecordsと契約、シングル『開花』をリリースするが、再びメンバーチェンジを挟んだりで1stの賛否両論っぷりも相まって少々勢いを削がれた印象を見せた。翌年2019年に突如として和風路線にシフト。シングルとして配信された『拷訊惨獄』はデスコアの凶暴性とV系の狂気、そして適度な和のテイストが絶妙にマッチしたバンドを代表するキラーチューンとして今なお凄みを放ち続けている。その後リリースされた2ndフルアルバム『鬼』は和風要素が大分目立っており再び賛否両論となる。

余談になるがこの和風路線は当時の国内エクストリームメタルバンドにとって一種のトレンドであり、他にも数多くのバンドが半端に和風路線に日和った姿を見せていた。安易に海外ウケを狙って失敗したというか何と言うか…!俺に「絶対和風の曲は作らねぇ!」と決心を固くさせたトレンドであった。

2020年は世界中がコロナ禍に包まれた事によりEUツアーや国内ツアーが中止となり、苦肉の策として配信ライヴを行う。この配信は俺も当時リアルタイムで観ており「オラつく系が多いV系メタルなのに意外とMCが丁寧」「演奏は化け物」という印象を抱かせた。さらに通販限定の2曲入りシングル『Devil's Calling/Angel's Cry』もリリース。前者はデスコアではないブルデス路線だったが、後者はバンドカラーに似合わな過ぎる何故かのパワーメタル路線であり、ハイトーンVoも出来るギターのRayが『Dusky-Vision』に続いてクリーンVoを披露している。

2021年には地上波のバラエティー番組に出演しお茶の間にスクリーム/グロウルを披露した他、3rdアルバム『DYSTOPIA』をリリース。クリーンVoを取り入れメタルコア化し賛否分かれた1st、和風路線に走り再び賛否分かれた2ndの反省を踏まえたのか、1stEP『PURGE』をアップデートさせたようなクリーンVo皆無のガチ過ぎるアンダーグラウンドデスコア/デスメタル路線に回帰する。

2023年に徳間ジャパンコミュニケーションズからメジャーデビューするが、桂佑が慢性咽頭炎となりEP『DAMNED』の発売を延期する事となる。その後は現代的な配信の時代に合わせてかフルアルバムではなくシングルやEPがメインの活動となっていく。音楽的にもデスコア/ブルデスからニューメタルコア路線に進み始めグルーヴィーなヘヴィネスとデジタルサウンドを取り入れ始める。

そして2025年、バンドは結成10周年を迎え最新シングル『因習』のMVに俳優の浅野忠信が特別出演し話題を呼ぶ。さらにシンガー桂佑が大ベテランバンドTHE ALFEEの新曲『丁寧言葉Death!』にゲストVoとして参加。「THE ALFEEがデスコア/デスメタルをやる!」とこれまた大いに話題を呼ぶ事となった。ちなみに楽曲に関しては全然デスメタル/デスコアじゃない上にグロウルも掛け声程度に過ぎなかったが…!

NOCTURNAL BLOODLUST登場の衝撃は凄まじく、実際MEJIBRAY、JILUKA、DEXCOREらが出てきた時は遂にV系メタルシーンに変革の風が吹いたかと感慨深くなったものだが、DEVILOOFはよりデスコアやブルデスに近い残虐性/エクストリームさが際立っていた。クリーンVo皆無の『PURGE』が最たる例で、この時点でデスコアのみならずスラミングデスやグラインドコア/ゴアグラインド等の要素をも導入しアンダーグラウンドな瘴気を強烈に漂わせていた。代表曲となる『Ruin』はサビの繰り返しが多いナンバーだが、後半頭では敢えて2ステップ誘発リズムにしたりと工夫が見られる辺りも興味深い。

これ以降はアルバム毎にメタルコア化したり和風になったり、初期に立ち返ったかと思いきやニューメタルコアに寄せたりヒップホップやデジタル要素を取り入れたりと良く言えば常に試行錯誤している様子が伺えるが、悪く言えば作品毎に方向性がコロコロ変わるバンドと言えなくもない。それでも圧倒的な存在感があり完成度の高さが揺るぎないのはメンバーの力量の高さ故だろうか。

俺は一応スクリーマーの端くれなんでシンガー桂佑について語るが、NOCTURNAL BLOODLUSTの尋と同様に俺如きアマチュアが語るのはおこがましいレベルの高さを見せ付けている。デスコアを歌うに十分な密度の濃いグロウル、ガテラル、ピッグスクィール、トンネルスロート等基本的な部分で強度が凄まじい。特筆すべきはハイピッチのスクリームだ。フライスクリームからさらに甲高い声質を残し、ハイトーンシャウトとスクリームを混ぜたかのような特徴的なスクリームは海外で「イェールスクリーム」と称されている発声法だと思われる。Dani Filth(Cradle Of Filth)やFreddy Lim(ChthoniC)がやるようなスクリームであり、その難易度は凄まじく高い。俺自身このスクリームは一体どうやって発声すればいいのか判らん位だ…。

またそのハイピッチのスクリームにノイジーなホイッスル成分を混ぜ込むのも桂佑の持ち味だ。ホイッスルボイスと言えばDIR EN GREYの京がやるようになってからV系シンガーがこぞって真似をし始めたスクリームであるが、桂佑のそれは京とはまるで異なるスタイルだ。シンセの超高音を歪ませたようなブレのない声質が独自性を誇っており、またピッチも凄まじく高い。1stアルバム『Devil's Proof』からシングルカットされた『ESCAPE』では計測していないが恐らくD8かE8(hihihihiE)に辺りに到達するモスキートーンまで披露している。ここまで来ると最早Adam LopezやDimash Qudaibergenの領域である。とは言えこのテイクは恐らくスタジオでたまたま出せた偶然と思しく、それ以降披露される事は無い(ちなみに俺の最高音域はA7/hihihihiA。余程調子が良くないと出ないが)。

吐きのグロウルと吸いのしゃくり上げホイッスルを交互に連発する通称「オーホワ」も桂佑の十八番だろうか。ホイッスル自体の音域の低さもあり吸いでホイッスルが出せれば誰でも出来る比較的イージーな技だ。実は俺も出来るんだが桂佑のマネになってしまうのとDEVILOOFへのリスペクトの意味もあり今の所音源に収録する気は無い。

スクリーチの頭にホイッスルをねじ込むのも京やその他のシンガーがやらない桂佑特有のスキルだ。これは単純にカッコいいんで俺もたまにやる。『拷訊惨獄』ではブレス箇所皆無の早口スクリームに続いて8連発も披露。流石にライヴでは頭を端折ったり後半でホイッスルが出なくなったりするのだがこれは仕方ない。『拷訊惨獄』はカラオケ(DAM)にも入っており、コロナ禍前は俺もよくカラオケでこの曲を練習していたのが懐かしい(当然完コピは無理)。今は加齢もありさらに歌えないだろうな。

また『Devil's Proof』から本格解禁した通りクリーンVoもたまに使うんだが、これは普通と言えば普通でありハイトーンVoも出来るギターのRayのほうが上手である。『ESCAPE』のサビは大分投げやりな歌い回しだった。後はヒップホップ/ラップにも影響を受けているようで、ニューメタルコア路線以降の楽曲でそれっぽいスタイルを披露している。譜割り自体も他のデスメタルやデスコアにはない独特の早口/詰め込み感があり、日本語詞という事も含めこの辺りからはDIR EN GREYを下敷きとしたV系の狂気といったものが感じられるだろうか。

アルバムや音源こそ何気に迷走気味というかコロコロ路線が変わるバンドという印象だが、そのポテンシャルは総じて凄まじく高い。ライヴにおけるステージングや演奏スキル、パフォーマンスも相当に強烈である。X(Twitter)では触れなかったが実は先日Imperial Circus Dead Decadence(ICDD)との対バンを観に行っている。ICDD以上にDEVILOOFに喰らいまくってしまい今回この記事を書く大きな動機となった。マジでケツを蹴り上げられた気分だ。遥か格上過ぎて俺如きでは手も足も出ない雲の上の存在ではあるが、「俺も負けてられねぇ!やってやるぜ!」と闘志を燃やしまくっている。Voやサウンドでは流石に勝てないが楽曲では食らい付きたいものだ…!

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