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個人的に多大な影響を受けた/強烈な印象を残したバンド紹介 #36 NOCTURNAL BLOODLUST

今でこそデスメタルやブラックメタル、グラインドコアやスラッシュメタル等ジャンル毎に音楽性を分けたプロジェクトを複数立ち上げているこの俺だが、DTMをやり始めた最初期は「デスコアやデスラッシュ、モダンデスメタルをベースにジャンルに囚われない多様な曲をやりたい!」と考えていた。当然ながら初心者なんで全てにおいて力量が足りずその理想を実現させる事は出来なかったんだが(ギターを打ち込みにしてからかなり改善はされた)、その頃の俺がリファレンスとしていたバンドの一つを紹介したい。余りにもレベル差があり過ぎて結局は全然吸収出来なかったんだが…!

2009年にデスコアバンドとして登場したNOCTURNAL BLOODLUST。シンガー尋が海外に留学していた頃にやっていたバンド名をそのまま流用し当初はV系要素の無いストレートなデスコアをプレイ。すぐに脱退したが著名ドラマー田浦楽が参加していたのはこの頃である。メンバーチェンジの末2011年にV系路線にシフトし翌年にEP『Ivy』をリリース。この時点で「本格派デスコアバンドがV系シーンに進出!」と早耳なリスナーの間で話題になっていたのをよく覚えている。そして2013年に初のフルアルバムとなる『GRIMOIRE』をリリース。この時点で既に凄まじいまでの完成度の高さを誇っており、俺自身当時リアルタイムで聴いて大いに驚かされたものだ。

また同年2013年に2ndEP、そして翌年2014年にライヴDVD『GEARS OF OMEGA』、さらにシングル3部作を立て続けにリリースする等バンドは波に乗りまくっていたと思われる。そして早くも2014年末には2ndアルバム『THE OMNIGOD』をリリースしている。その後もバンドはライヴ、ツアーに音源リリースと精力的に活動を続けていたが2018年に中心メンバーでありメインコンポーザーだったギタリストCazqui、そしてもう一人のギタリストであるDaichiが脱退。ここからバンドは暗礁に乗り上げる事となる…!

V系期における最強キラーチューン。このヘヴィネスとアグレッション、ドラマティックさがたまらない。

どうやらV系の素養が最も強かったのがCazquiだったようで、彼が抜けた後は一気に脱V系を図りバンドのアピアランスもメタルコアらしいスポーティーなストリート系ファッションにシフト。元々は細マッチョだったシンガー尋はこれを機にマッチョ道を邁進。今では当初からは考えられない位ビルドアップし、まるでプロレスラーが如き体躯を誇るようになった。

2019年にはabstractsのギタリストLinを加えシングルギターの4人体制で心機一転するも、このLinが最大のトラブルメーカーだった。EPこそかろうじてリリースされるもののすぐにマリファナ不法所持でパクられ速攻でクビになるというクソダサムーブを披露。件のEP『UNLEASH』もメインコンポーザー脱退の影響がモロに出た迷走しまくりの珍作であり、この不祥事と揃ってNOCTURNAL BLOODLUSTの黒歴史としてバンドからもファンからも無かった事にされているのは言うまでもない…!

バンドに黒歴史あり。コミックソングに手を出す位迷走していたという事か…!曲自体は悪くない。

遡る事2016年にHER NAME IN BLOODのドラマーだったUmeboが同様の罪状で逮捕されクビになっている。メタルコア/デスコアバンドマンの素行不良っぷりが国内シーンでも騒がれるようになった要因の一つと言えるかも知れない。さらに同年2016年にはlynch.のベーシスト明徳も同じ理由で逮捕されている(売人の名簿にUmeboと並んで明徳の名前があり、芋づる式に逮捕されたのだろうと当時言われていた)。しかし明徳だけは釈放後再びバンドに迎え入れられファンも特に文句を言わず何事も無かったかのように活動再開しているのが実に不思議である。当時はまだキャンセル・カルチャーなんてものは無かったからだろうか!?明徳が実は滅茶苦茶性格良くて色々な意味で替えの効かない存在だったからかも知れないが…!

そして時代はコロナ禍に突入した2020年に改めて活動再開。コロナ禍真っ只中ではあるがそれでもシングル3作やEPを連続リリースしたり新メンバーとしてValtz(ex-GALEYD)とYu-taro(ex-A Ghost of Flare)のギタリスト2名が加入したりと、黒歴史を払拭したいバンド側の意思を感じさせる精力的な活動を継続。そして2022年には待望の最新アルバムとなる『Argos』をリリース。メタルコア/デスコアでありつつDjentやニューメタルコア、テクニカル/プログレッシヴメタル等の要素を貪欲に吸収した力作でバンドはかつての黒歴史を完全に払拭する事に成功した。

PK(Prompts)とのコラボで更なる高みに到達。シンフォニックかつニューメタルコアやDjent/プログメタル的なヘヴィネス/テクニカルさを導入し完全復活。

それまでのV系ラウド/エクストリームメタル系のバンドはその悉くがDIR EN GREYのフォロワーであり、DIRが『鬼葬』『VULGAR』辺りでやっていたような曲の劣化コピーみたいな音を出すバンドが大半を占めていた(最も個人的にはそういったフォロワーバンドも好物だったが)。そんな流れをストップしたゲームチェンジャーこそがNOCTURNAL BLOODLUSTと言っても過言ではない。彼等は全てが規格外だった。

出自がデスコアという事もありDIR EN GREYは元より、そのフォロワー勢が足元にも及ばないタイト極まりない演奏力、ガチ過ぎるスクリーム/グロウル、そして何より驚かされたのがプロダクションの良さだ。今では考えられないがかつて日本のバンドは音質の悪さがよく取り沙汰されており、「日本は湿気が多いから乾いた音で録れない!」みたいな理由で海外レコーディングを敢行するバンドが普通にいた位だ。そんな中にあって世界レベルのサウンドをデビューアルバムからいきなり叩き付けてきたNOCTURNAL BLOODLUSTは半端ではない。

V系バンドシーンを襲ったその衝撃は相当なものだったと推測できる。その後登場し芽が出たバンドは全てがメタルコア/デスコアやDjent直系のテクニック、サウンドを誇るようになった。ろくにギターソロが無かったのも過去の話、今やポップ路線のV系バンドですら流麗なシュレッドソロを聴かせてくれる。それ等も皆NOCTURNAL BLOODLUST(あとVersaillesもか)の貢献だ。

俺は一応スクリーマーの端くれなんでシンガー尋について語るが、俺如きアマチュアがどうこう言うのもおこがましいレベルの高さを最初期から見せ付けている。国内はおろか世界を見ても高い水準のスクリーム/グロウルを聴かせてくれる大物だ。デビュー当時は「8種類のスクリームを操る」等と言われていたがこれは適当にも程がある。何故なら俺程度でさえ使用可能なスクリーム/グロウルは10種類を超えている。尋がその気になれば20種類以上のスクリームが出来るだろう…!

彼等のデビュー当初から追い掛け続け研究していたが、ハイピッチのスクリームは裏声交じりでひっくり返ったかのような声質なんだがそこに弱さは微塵も無く凄まじいまでの密度を誇っている。ミッドのグロウル、ガテラルも同様の濃さでデスコアを歌うための強靭極まりない歌唱を見せ付けてくれる。ピッグスクィールを最初にV系でやったのも尋だろうか(もしかしたらアンダーグラウンドにはさらに先駆者がいるかも知れんが)。京(DIR EN GREY)の影響からはやはり逃れられないようでホイッスルボイスも使うが恐らくこれだけが吸いによる発声だろう。音源では細めに聴こえるがライヴ等を見れば判る通り声量はかなりある。またライヴにおいても意外と安定して出せているのも流石だ(たまに吸いのピッグスクィールになっちまうが)。

クリーンVoも使いこなせるというのも尋の凄さだ。最も最初期はバンドサウンドや演奏、グロウル等がガチ過ぎて平均的なV系シンガーの歌唱力しかないクリーンだけが弱いと叩かれていたんだが(それでもそこいらのV系シンガーと同等の歌唱力はあった)、それもやがて克服しバンドの方向性が脱V系した辺りでハーシュクリーンにチェンジ。パワフルで説得力ある骨太な歌唱を聴かせてくれるようになった。

尋のポテンシャルの高さが伝わってくるのがこの動画だろうか。ワンテイクで完璧な歌唱を披露している。

楽曲面でもデスコアでありながらV系の耽美で退廃的な素養を感じさせクオリティーは恐ろしく高い。メインコンポーザーだった元メンバーCazquiの高いセンスが滲み出ており、DIR EN GREY要素から完全に脱却したガチデスコアをV系に導入。シンフォニックで壮大なドラマティックデスコアからエレクトロニカ要素を取り入れたパリピ感漂うチャラいパーティーデスコア、さらにはV系界隈で言われる所謂「白系」の風情を感じさせる本格的な叙情バラード等幅広い楽曲が揃っている。黒歴史を経て脱V系した後は前述の通りDjentやニューメタルコアに接近。V系の耽美さは失われたもののイマドキなメタルコア/デスコア/ニューメタルコアとしてやはりクオリティーは高い。

結成当初からシーンの流れを変貌させるレベルで圧倒的な実力、存在感を見せ付けていた最強バンドではあるが、そんな彼等でさえも前述の黒歴史のような絶望や挫折を味わっている。バンドというものが如何に難しいかがよく分かる事例だ。俺等のような趣味でやってるアマチュアが無駄に気負う必要は無いって事だな。

2013年に主催者が未成年買春斡旋で逮捕された悪名高き通称「逮捕コンピ」に参加していたのはマリファナでメンバーがパクられた以上の黒歴史だ!


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