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楽天カードのデザインプリンシプル道場、始めました。“使う場所”をつくって見えてきたこと


プリンシプルをつくって終わりにしないために

こんにちは、クリエイティブデザイングループのMaoです。
前回の記事では、私たち楽天カードの「デザインプリンシプル」の制作過程についてご紹介しました。

公開後、想像以上に多くの方から反響をいただきました。
「読みました!」と声をかけてくれる人、他部署にも共有してくれる人。
楽天カードのこれまでのnoteの記事の中で最も多くのいいね!をいただき、多くの皆さんが「ガイドラインの定着」という同じ課題を抱えていることを実感しました。

さて、ガイドラインは「作ってからが本番」です。
いかに現場に定着させ、日々の業務で活用してもらうか。
今回は私たちがその実践の場として取り組んでいる「デザインプリンシプル道場」についてご紹介します。

「ガイドラインを作ったものの、現場でうまく活用できていない」
「デザインの相談が制作の終盤に集中してしまう」

もしこのような課題を感じている方がいれば、私たちが現場で試行錯誤している「相談のハードルを下げる仕組み」や、「プリンシプルをビジネスの成果につなげるアプローチ」が何かのヒントになれば幸いです。


デザインプリンシプル道場、始めました。

「デザインプリンシプル道場」とは、デザイナーと一緒に画面の課題を洗い出し、解決策を検討できる場所です。

毎週30分ほど、既存の画面でも、新規のラフ案でも持ち込み歓迎。
プリンシプルを共通言語として、「なぜその配置なのか?」「ユーザーの認知負荷を下げられているか?」といった本質的な議論を、企画者と一緒に深めていく。それが道場のスタイルです。

「アイデアをぶつけ合い、鍛え上げたデザインを世に出す」。そんな実践と改善のサイクルを回す場所にしたいという思いから、この名前をつけました。道場といっても厳しい修行の場ではなく、「失敗を恐れず、何度でも気軽に挑戦できる場所」です。

デザインプリンシプル道場の様子

ちなみに道場のレビューでは、デザインプリンシプルを読み込んだRakuten AIも活用しています。画面やラフ案を読み込ませると、すべてのプリンシプルに沿って判定し、「ここが認知負荷を高めている可能性がある」といった指摘が出力されます。人間とAI、それぞれの視点を掛け合わせることで、議論の質と速度は一段上のレベルへ到達します。

「なんかこの画面、微妙な気がするのだけど…」や「ぼんやりアイデアはあるのだけど、まだラフもない」といった荒い段階の相談も大歓迎。
むしろそういう段階こそ、議論の余地が大きく成果が出やすいタイミングなのです。


見えてきた「相談のタイミング」の重要性

道場を実施する中で見えてきた重要な事実は、「相談のタイミングが早いほど、解決の選択肢が広がる」ということです。

これまでは正式なアサイン依頼からデザイナーが参画するフローが主流でした。もちろん、正式な依頼を受けてから制作物に対して最善を尽くしてきました。今もそのクオリティ追求は私たちの強みです。ただ、どうしても「決まった仕様をいかに美しく、使いやすく仕上げるか」というブラッシュアップに注力する時間が大半を占めていました。

しかし、最近では重要な案件ほど、企画の構想段階からデザイナーが参画するケースが増えています。実際に初期から関わることで、以下のようなポジティブな変化が生まれています。

「企画の初期から相談することで、そもそも『何を解決すべきか』という課題設定の解像度が上がり、より本質的なアプローチを選択できた」
「複数のデザイナーから多角的なフィードバックをもらうことで、自分たちだけでは思いつかなかった新しいアイデアが生まれ、企画の幅が広がった」

早い段階から議論に加わることで、デザイナーは「仕様の最適化」だけでなく、「そもそもこの体験はユーザーの課題を解決し、事業目標にどう寄与するのか?」という、ビジネスの成果を最大化するためのパートナーとして動くことができます。

実際にある案件では、企画初期からデザイナーが参画することで、複雑だったユーザー導線を整理し、コンバージョン率の向上に直結したケースも出ています。また、早期の議論は手戻りを大幅に減らし、開発コストの最適化にも貢献します。このように、デザインは単なる「見た目の調整」ではなく、ビジネスのボトルネックを解消する「戦略的投資」なのです。

制作終盤のクオリティアップという私たちの強みに、「ビジネスの種を蒔く段階からデザインの知見を掛け合わせる」というアプローチを加えることで、より確実で大きな成果を目指す。これこそが、私たちの考える「デザインによるビジネスコミット」の形です。


もっと気軽に相談できる機会をつくる

現状の課題は、道場の存在が一部のメンバーには浸透しているものの、まだまだ「相談していいの?」と迷っている人が多いことです。特に正式なアサイン依頼を出す前段階でデザイナーを巻き込むことに、心理的なハードルを感じる人も少なくないと思います。

「こんな未完成な状態で持ち込んでもいいのだろうか…」

そんな不安を払拭し、「ちょっとした悩みでも、まずは道場に持ち込んでみよう」と思える空気をつくること。それが今の私たちの目標です。「相談が早ければ早いほど、デザイナーはより強力なビジネスパートナーになれる」ということを、もっと多くのメンバーに実感してほしいのです。


これからやりたいこと

私たちはこの道場を、単なる相談窓口ではなく、「デザイン思考が組織の共通言語になるための文化」にしていきたいと考えています。

そのために、「企画初期からの相談」を当たり前にするための仕組みを整えています。

相談しやすい環境づくり:企画の初期段階でも迷わず相談できるよう、エントリーのハードルを下げる。

初期相談のメリットを事例とともに周知:早い段階で相談を持ち込むことへのポジティブな動機付けを行う。

事前情報の共有:相談時に背景情報を整理して共有してもらう仕組みを整え、より深いディスカッションができる準備を整える。

デザインプリンシプルをつくることと、それを現場に根づかせることはまったく別のチャレンジで試行錯誤の最中ですが、こうして対話の場を積み重ねることで、少しずつ確実に、私たちの組織には「デザインで課題を解決する」という土壌が育っていると実感しています。

デザインプリンシプルを共通言語に、ビジネスの成果を一緒に追いかける。

デザインを単なる制作物ではなく、事業を成長させる『戦略的投資』として捉え、これからもこの道場を育てていきます。