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息子の決意|負の連鎖を止めるという選択

ー親子それぞれの、自分を守るための選択ー


【息子との対話】


「息子に父親を」という情も、それが難しいと分かった時点で、私は彼に過去の夫の事実を話しました。

すると彼は、こう言ったのです。

「自分の代で、父親の血を絶やすことを考えている」

正直、私は動揺しました。

事実を伝えたことで、彼の未来に影を落としてしまったのではないか。
言わなければよかったのではないか、と。

けれど、彼はENTPです。

感情に飲み込まれるのではなく、

自分が見てきた父親の姿と、

渡された「データ」を彼なりに整理し、

一つの結論を出そうとしていたのでしょう。

「負の連鎖を、自分の代で食い止める」

それは彼なりの、自分自身を守るための徹底したリスク管理だったのかもしれません。

もし私が事実を隠し続け、歪んだ理想だけを押し付けていたら、彼はもっと別の形で苦しんでいた気がします。

残酷なようでも、真実という地図を渡したことで、彼は自分の足で、自分の責任で、人生のルートを選び始めた。

私は、そう受け止めることにしました。

「血を絶やす」という言葉の裏にある、彼の静かな決意。

それを尊重することもまた、私にできる最後のリスク管理なのだと思っています。

早く離婚していれば、この考えに至らなかったのではないか——そう思うこともあります。

仮に乳幼児期に離婚していたら、夫の年収は300万円台でした。

増額申請の方法も知らず、離婚後に夫の収入を知る術もなかった私は、ずっと少ない養育費のまま暮らしていたでしょう。

高校生になってやっと500万円を超えた収入も、知らなければ関係ない話。

定時制高校、早期就職——そういう未来は、絵空事ではなかったでしょう。

大学卒業の頃に、夫が税込年収800万を超えていても、進学を断念し就職していたら、それももう関係ないのです。

勉強が苦手でもないのに定時制高校に行けば、中退していたかもしれません。

息子の同級生の話を聞いても思います。

彼は勉強が苦手で定時制高校しか受かりませんでした。

クラスでは小学校から勉強のやり直しだったようです。

クラスの人数も両手にも足らない過疎化の小学校並。

意気投合できる友達ができるかも分かりません。

息子の友人は、高校の楽しさを見つけられず中退しました。

息子の友人は、幸いにも子供のいる家庭を作れましたが。

私に似て真面目で正義感が強いままの息子だったら、
理不尽な慣習が残る肉体労働の職場には向かなかったでしょう。

現実だって、まだ税理士になるという夢の途中です。

私の若い時には、3Kと呼ばれて敬遠された業界に息子は就職しました。

大卒新卒入社で一年で離職。

給料は高くても、昭和の価値観の業界には向きませんでした。


選択肢が少ない環境では、
自分に合わない働き方や価値観に合わせ続けなければならないこともあります。

しかし息子の気質では、自分に嘘をつけず、社会はこんなものと流せずにいたと思います。

自分に合う職場を見つけても、
低収入の給料で苦労していたかもしれません。


そうなれば、また別の理由で、
「家庭を持つ」という選択肢を諦めていた未来もあったのかもしれません。

どのルートを選んでも、それぞれの苦悩があったのかもしれません。

そもそも、人は「望めば必ず子供を持てる」わけでもない。

私の世代でも、
不妊や病気など、さまざまな事情で子供を諦めた夫婦は少なくありませんでした。

だから私は、
「結婚するべき」
「子供を持つべき」
という価値観で、
息子を責めるつもりはない。

DVやモラハラ被害者の回復講座でも、

「結婚しなければならない」
「子供を産まなければならない」

そうした思い込みで、自分を責めなくていい——という話がありました。


息子もまた、被害者の一人だったのだと思っています。

肉体的な暴力はなかった。

けれど、私の知らない場所で受けた精神的圧力や、家庭内の緊張、夫婦喧嘩。

見えない心の傷は、確かに残っていたのだと思います。

夫もまた、元を辿れば、傷を抱えた側の人間だったのかもしれません。

傷ついた人が、回復できないまま大人になると、
別の形で周囲を傷つけてしまうことがあります。


だから私は、
息子が「夫のミニチュア」にならなかったことだけが、救いでした。


離婚が遅かったのか、早かったのか。


どちらが正しかったのかは、今でも分かりません。


だから私は、息子の意思を尊重することにしました。


あとがき

離婚のタイミングに「唯一の正解」はありません。

私の場合は結果的にこの形になりましたが、
DV環境においては、早期に離れることが最善である場合がほとんどです。

私と息子が戦い続け、
精神疾患にならなかったことは奇跡です。

状況は家庭ごとに異なります。

どうかご自身の直感を信じ、必要であれば専門の相談機関を頼ってください。

あなたとお子さんが心穏やかに眠れる日が、一日も早く来ることを願っています。



私と息子はサバイバーだった👇

生き延びただけではなかった。あの場所で、息子と並んで戦い続けていた。



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