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【ショートショート】 郷に入ったおしゃれ

私は、ある国に旅行に来ている。
ここの人々が不満を言うのを見たことがなく、この国が気に入っていた。

――国民が皆、裸であることを除いては。

たまたま裸なのかとも思ったが、毎日、出会う人全てが裸だった。
私も裸になろうかとも思ったが、実行する勇気はなかった。

ある日、街を歩いていると結婚式が行われていた。
全員裸だった。

一世一代の”とびきりのおしゃれ”をするはずの新婦も裸なのだ。
裸は、”郷に入ったおしゃれ”なのだと理解した。

ある日、街を歩いていると葬儀をしていた。
この国では喪服も裸なのだと確信した。

ある日、この国の王様がなくなったという。
私は、この国に敬意を示すため、王様の葬儀に参列することを決意した。

もちろん裸で。

私は裸になり、葬儀に参列しようと、街の大通りに出る。
そこでは、なんとパレードが行われていた。

葬儀だというのに、皆、発狂したように嬉しそうに騒いでいた。
思い思いの服を着て。

裸なのは私だけだったのだ……。



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