INDYWORLD 外伝 【真美子編】 5 浅草デート日記
Hamakaze '26 .vol.07
『真美子の浅草タクシー日記』 ―デート編ー
【プロローグ】
タクシー同乗インタビューから、明けて月曜日、
真美子(駆け込んでくる)「編集長!ゲラ見たんですけど、「浅草デート日記」って何なんですか!?」
編集長「来たねー、三橋ちゃん。今さら何言ってんの?これ、どう見てもデートだよ。それに、「デート」の方が、読者も絶対喜ぶって。」
真美子「インデイさんも困ります!」
編集長「そこはオレに任せとけ。何しろ3万円のタクシーチケット使ってんだ。元は取らないと。」
真美子「景品、でしたけど…」
編集長「ドライブデートいけるぞ。何なら次は『編集長と行く大人の湘南ドライブ』なんかどうだ?」
真美子「お断りします!
(机をたたいて)とにかく、これは絶対NGですからね!」
編集長(…最終校上げちゃったんだけど……)

【首都高から浅草】
5月の気持ちの良い朝(私らしく表現するなら、風薫る朝ね)。
その人は、約束の10分前に滑りこんできた。インデイ先生だ。(わたしの方は、昨夜からずっと落ちつかず、30分も前に着いてしまった。メイクや汗じみ大丈夫かしら?
先生は素早く運転席から降りてきて、ドアを開けてくれた。
普通タクシーって、自動でドアが開くのに。
「おはよう、暑くない?デートコース練ってきたよ。」
「!!仕事です!!」
初めからこれだ、でもこのノリ、嫌いじゃない。
「さあ、どうぞ。」
「いえ、今日はお客様ではないので、助手席で良いですか?」
「構わないけど。真美子さんみたいなすてきな人が隣に座ったら、ドキドキしちゃうな(笑)」
出発からこれでは先が思いやられる(笑)
タクシーは浅草を目指し、首都高湾岸線を走る。
ベイブリッジからの眺め。
左側には、ランドマークタワー・みなとみらい、右側には、房総半島の山々が、くっきり見える。
光に反射する波間がまぶしい。
フッと睡魔が襲う。
いけない!取材だった。
「少しお話ししても大丈夫ですか?」
乗ってから、すぐに気づいた足元のマガジンラック。ハンドメイドかしら?
大小10冊以上の絵本や図鑑、地図など。『Hamakaze』はさすがに無いか。『はらぺこあおむし』・『Miki's First Errand 』・『東京豆大福図鑑』?
(こんな図鑑もあるのね)などなど。気になる本ばかりだけど、私のために用意してくれた?……まさか。
「ここにある本は"おもてなしサービス"のためなんですか?」
「yes,」
「絵本が置いてあるタクシーなんて初めてです。私『ちいさいおうち』大好きなんです。」
思わず言ってしまった。
他にも聞いてみたら、コーヒーサービス(夏はアイス!)・ブランケット(冬もだけど、夏のエアコン対策には何気にうれしいかも)・ウエットティッシュ・バンドエイドなどなど。痒いところに手が届くとは、この事だ(さすがに『孫の手』はないですよねって言ったら、検討してくださるとのこと)『おもてなしの神』って感じ(笑)。
都心に近づくとさすがに渋滞もあったけど、ジョーク(英語)も飛び出して退屈させない気遣い。「こういうトークもおもてなしなんですね。」と褒めると、
「真美子さんだけの特別だよ。」だなんて、この先生、プロっ感じで、すごい!(もしかしてアブナイ系?笑)。
【パン頂上対決?浅草vs横浜】
あっという間に浅草。浅草か~。小学生の頃、おじいちゃん達と、一度だけ来たけど、よく覚えてない。でもインデイ先生、手前の田丸町というところに寄り道するんですって。
田丸町?全くアウエーだ。聞いたこともない場所。でも、老舗の人気パン屋さんがあるらしい。
『パンのペンギン』
「老舗のパン屋さん」?
聞いたとたん、私の闘志に火が着いた。
実はパン好きなんてもんじゃない。
何を隠そう私は一昨年、S先輩との、共同企画『一つ上の横浜パン紀行』で会長賞を取った。正にパンの戦国無双なのだ。さすがのインデイ先生もリサーチ不足ね。
普段使いは『デイリー・Y』だけど、勝負パン?は元町の『UCKパン』と決めている。
この勝負、受けて立とうじゃないの。
でも、車から降りると既に長い列。(きっと売場が狭いのよ)
それに、誘惑するこの香り!
(危険!)どんなパンなのかしら?
並んでいるお客さんに聞いてみても角食パンとロールパンだけだって、先生の言った通り。
バリエーションなさすぎ、だけど……。
「さあ、僕たちの番だ」とインデイ先生。
売場も狭くて、イートインなんかもちろん無い。(最近、近くにカフェもオープンしたらしい)
『お支払は現金のみでございます。』の貼り紙。おしゃれ感全く0(ゼロ)なのにすごい強気?
売場の後ろでは、大勢の職人さんが次々とパンを運んでくる。棚には角食がずらり。
目がくらくらしてきた。
それに、この香り!
でも、食べてみなければ勝負は、わからない(ちょっとマズい予感がしてきたかも?)。

「ちょっと味見したくなりました(笑)」
(なんて、ほんとはちょっとどころじゃない)。
「手でちぎって食べるのが、一番の贅沢だよ。ウエットティッシュ使う?とにかく一口、何も付けずにどうぞ。」
一口食べてみた。
「これは…!美味しいパンってこういうのを指すんですね。」
(精いっぱいの負け惜しみ、もう勝負あったじゃん)
その上、インデイ先生手作りのマーマレード!
もう勝負なんてどうでも良い。
「決めた!私、インデイ先生と結婚する!」
なんちゃって(笑)
【仲見世・浅草寺】
フー、ようやく、浅草仲見世。すごい人、半分以上外国人。
「ペンギンよっぽど気に入ったんだね。これじゃ、真美子さんが都市伝説になりそうだ。でも、この後ランチもあるんだよ。」
「しまいます!」
笑われた。穴があったら入りたい。でも止まらない。これじゃ、ほんとにお土産がなくなっちゃう。
外国人ファミリーに話しかけられた。「シャシン、プリーズ」、聞き取れた!って日本語じゃん。でもこんなに簡単な言葉でもOKなのね。インデイ先生もさらりと話してる。ドラマみたい。
イケメンに、"Speak English?"
って、話しかけれたら、
"Oh wonderful! I'll try!"
だって。これなら、私にも言えそう。でもインデイ先生、「僕のようなイケメンに」だなんて、ちょっとドキ💓っとしちゃうかも。
そのまま、浅草寺の本殿近くまで流される。
「あっ、おみくじ!」

ー後編に続くー
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