INDYWORLD 外伝 【真美子編】 3 取材報告その1
『INDY WORLD 真美子タクシー編 あらすじ』
― 浅草デート日記 ~グランドフィナーレ―
【部内ファイル:INDY TAXI乗車報告】
『浅草(デート)編』・『浅草(告白)編』
横浜の情報誌『Hamakaze』編集部。
若手記者・三橋真美子は、人気タクシードライバー「インデイ先生」の密着取材を任される。
しかし、その取材は、ただの仕事では終わらなかった。
首都高湾岸線からの眺め、『パンのペンギン』、浅草寺のおみくじ、『洋菓子ちいさいおうち』――。
取材が進むにつれ、真美子の中には、"恋心"とは少し違う、なつかしさにも似た、不思議な感覚が募ってくる。
けれども、真美子本人は必死に否定するが、周囲から見れば、どう見ても取材というより、完全にデート。
特に、暴走気味に展開される 「真美子の脳内会話」は必見である。
【Hamakaze掲載原稿 2026 .vol.07】
『浅草デート編』・『浅草告白編』
記事として提出された原稿は、 笑いあり、涙あり、妄想あり。
だが、その行間には、 インデイ先生が真美子へ伝えた “誰かを大切に思うこと” の意味が静かに刻まれていた。
編集長・黒山一郎は、 原稿を読み終えたあと、 こう言った。
「俺は泣いたぞ。」
【横浜山手ガーデンウエディング編】
そして一年後――。
編集長、黒山一郎の暴走気味の情熱(意外な一面にも注目)、 編集部の総力支援、 そしてインデイ先生の“ミラクルパワー”によって、
前代未聞の 『横浜山手ガーデンウエディング』 が実現する。
5月の光。
根岸森林公園。
涙。笑い。祝福。
これは、 “言葉”が人をつなぎ、 人生を少しずつ動かしていった記録である。
【ACT 1 再度の取材申込】
三橋真美子は、読者からの問い合わせに忙殺されている。
Q.1インデイさんは、現役のタクシー運転手なんですか?
Q.2どの辺りを走っているか教えてください。
Q.3インデイさんのタクシーは予約できますか?
Q.4インデイさんは、ビーグル犬に似てるって、本当ですか(笑)?
………Q.387!
そこで、再度取材を申し込むが、繁忙期のようで、なかなかアポが取れない。
【ACT 2 プランニング】
そうこうするうちに、インデイさんの方から提案が入ってきた。
タクシー関連の問い合わせが多いようなら、僕のタクシーに実際に乗りながら、話をするというのはどうでしょう。乗車料金はかかりますが、謝礼は不要とのこと。
さっそく上司に相談すると、タクシーチケット(上限30,000円)なら使っても良いと、取材OKが出た。
日時が決まり、コースを相談すると「コースの希望はありますか?」と早速返信。
真美子「普段横浜が多いので、今回は東京が良いです。」
インデイ「了解、それなら横浜駅西口10:00出発、15:00解散でいいかな?」
真美子「ランチ・おやつ付きでお願いします。」
インデイ「それは経費で落ちるの(笑)?」
真美子「ランチならOKですよ(笑)。」
インデイ「It's so cool !じゃあ、後は任せて。」
【ACT 3 ドライブデート?】
真美子「おはようございます!今日はよろしくお願いします。」
インデイ「おはよう。デートコース練っておいたよ。」
真美子(真っ赤になって)「仕事です!」
インデイ(笑って)「そうでした。」
とこんな感じのスタートになってしまいましたが、以降は仕事として、きっちり取材します。
作者注:これは、あくまでストーリー作成上のキャラで、実際の私ではありません(笑)
インデイ「予算30,000円!それなら延長もOKですね。」
真美子「はい、よろしくお願いします。」
インデイ「東京は、あんまり縁がないって言ってましたよね?」
真美子「そうなんです、大学も横浜山手だったので。」
インデイ(真美子を見て)「足の形状から言って、F女学院ですか?」
真美子(真っ赤になって)「あ、当たりですけど、どこ見てんですか!」
インデイ「ごめん、ごめん。足の形の良さと気品からって言おうとしたんだけど。」
真美子「全然フォローになってません!」
インデイ「職業病かな。接客は、お客様をよく観察し、敬うことから始まるんだ。」
真美子「ていねいな声かけとかではなくて?」
インデイ「うん、それも大切だけど、お客様が何を求めているかを素早く見極める…」
真美子「プロって感じですね。」
インデイ「例えば、重そうな荷物を持っているお客様だったら、」
真美子「なるほど、マニュアル通りの挨拶ではなくて、」
インデイ「そう。大変でしたね、と声をかけ、荷物のケアを先にする、」
真美子「暑そうだったら、エアコンを調整するとか。」
インデイ「おっ、分かりが早い。さすがはF女学院。」
真美子「おだてても、だめですよ。スイーツは、インデイさんのおごりですからね。」
インデイ(既に出発している)
「まず、浅草に行こう。東京と言えば「江戸」、江戸といえば、「浅草」だからね。」

【 ACT 4 インデイ流サービス】
インタビュー開始。どこまでも仕事優先としました(編集部注:完全にデートだろう)。
首都高速を快調に走りながら、
真美子「少しお話ししても大丈夫ですか?」
インデイ「インタビュー開始だね。衝撃の告白とかでなければOKだよ。」
真美子「もうふざけてばっかり。」
インデイ「ハイハイ、ではどうぞ。」
真美子「さっきから、気になっているんですけど、ここにある絵本とか図鑑は、おもてなしサービスのためなんですか?『はらぺこあおむし』とかすごくかわいいんですけど。」

インデイ「良く気がつきました。というかこれだけ目立てば、誰でも気になるよね。」
真美子「タクシーに絵本って、すてきですね。見ても良いですか?
"Miki's First Errand"これって
『はじめてのおつかい』ですね。なつかしい💕
私、絵本大好きで、特に『ちいさいおうち』とか、かわいいだけじゃなく、自然との調和みたいなメッセージにも共感します。こっちは『東京豆大福図鑑』こんな図鑑もあるんですね。」
インデイ「気に入ってくれてありがとう。」
真美子「これ、全部先生の趣味なんですか?」
インデイ「ほとんどが、家にあったものなので、むしろ、子どもたちのお気に入りみたいなものかな。」
真美子「すてきですね。」
(車窓は変わり)
インデイ「おっと、もうすぐトンネルだ。ここのトンネルを通る時に、いつも言うジョークがあるんだけど、聞きたい?」
真美子「はい、教えてください。」
インデイ"The tunnel joke"
This highway has lots bridges and tunnels.
And some tunnels go under water! But don't worry about it.
Cause this car is TOYOTA.
And it's highly waterproof !
わかってくれたかな?」
真美子「ひねりがすごく効いていて、アメリカン・ジョークって感じですね!」
インデイ「ありがとう。」
真美子「私、これでも4 STEPS ENGLISHで、英語やり直してるんですよ。 」
インデイ「それはうれしいね。」
真美子「こういうトークもサービスの一つなんですね。」
インデイ「これは、真美子さんだけの特別。」
真美子「それ、絶対うそです(笑・記録しときます)。」
インデイ「ハハハ、実はリップサービスでした。」
真美子「もう、いいです。」
インデイ「でも真美子さんだけというのは、半分は本当。」
真美子「どういう意味ですか?」
インデイ「多少ふざけたことは、謝ります。でもこのお客様なら受けてくれそう、と判断した時だけだよ。
つまり、お客様を良くお々観察した上で、この内容、あの話題、どの程度の話かを考える。もちろん、安全に目的地にお送りするというのが第一だけどね。」
真美子「深いんですね。」
インデイ「深いだなんて。でも仕事って何でも、相手ありきだよね。相手を思えば必ず、何を求めているか、そこに行き着くと思うんだ。」
真美子「なんだか煙に巻かれたような。」
インデイ「結構良いこと言ったと思うけど、記事の方は大丈夫なの?」
真美子「はい、録音もしてますから」
インデイ「それは、下手なことは言えないな。
……もうそろそろ浅草だね。」
真美子「もうですか?」
インデイ「楽しいとあっという間だね。渋滞している時なんかもこういうトークは、役に立つんだ。」

【ACT5 田丸町『パンのペンギン』】
真美子「まず、どこへ行くんですか?」
インデイ「もうすぐ11時か。浅草に入る手前の田丸町というところに行こう。」
真美子「聞いたことのない町。何があるんですか?」
インデイ「『パンのペンギン』という老舗のパン屋さんがあるんだ。そこは、午前中に行かないとなかなか買えないんだ。」
真美子「先生の押しなら、絶対美味しいですよね。お薦めは何ですか?」
インデイ「『パンのペンギン』は、開業以来、食パンとロールパンの2種類だけなんだ。それから、まだ行ったことはないけど、近くにカフェも始めたらしい。」
真美子「食パンとロールパンだけで勝負するなんて、よほど自信があるんですね。横浜のパンと、どっちが美味しいかしら?」
インデイ「それは、着いてからのお楽しみ。」
国際通り、田丸町交差点近く『パンのペンギン』到着。
真美子「もう、お客様が並んでるんですね。」
二人、タクシーを降りて、列に並ぶ。
真美子「いい香り!」
買い物客1「ペンギン初めてかい?」
真美子「はい、横浜から来ました。何がお薦めですか?」
客2「そりゃ、食パンとロールパンでしょう。」
客3「ゴールデンコンビよ(笑)」
インデイ「味は保証する。売切れないうちにお土産用に、買っておこう。」
二人買い物を済ませる。車に戻る前から、
真美子「ほんとに良い香りですね。」
インデイ「香りだけじゃなくて、味も食感もね。余計なものが、一切入ってなくて、僕的には、日本一だと思ってる。」
真美子「ちょっと味見したくなりました(笑)」
インデイ「そう来なくちゃ!焼き立てを、手でちぎって食べるのが一番の贅沢だよ。ウエットティッシュ使う?」
真美子「ありがとうございます。お借りします。」
インデイ「どうぞ。
まず、一口、何も付けずに食べてごらん。」
真美子(一口食べて)「これは…!美味しいパンってこういうのを指すんですね。これ、止められないですね」
インデイ「うん、それからこれは、都市伝説なんだけど、ある人が味見を始めたら、あまりの美味しさに2斤分の食パンが、家に帰る前になくなってしまって、また買いに戻ったんだそうだ。
インデイ(マーマレードの瓶も持っている)「次にこの自家製マーマレードも塗ってみて。」
真美子「奥様が作られたのですか?」
インデイ「いや、うちは、スイーツやジャム類は僕の担当なんだ」
真美子「決めた!私、インデイ先生と結婚する!」
インデイ「ちょっと待った!でもそれ、どこかで聞いたセリフだなあ。」
真美子「冗談です(笑)。確か本編のミキの爆弾発言でしたね。」

【ACT6 浅草】
(車を駐車場に入れ、歩き出す)
真美子、パンの袋をしっかり抱えている。
インデイ「よっぽど気に入ったんだね。でも、この後ランチもあるからね。」
真美子「なんだか……止まらなくて。」
インデイ「これじゃ、真美子さんが都市伝説になりそうだ(笑)」
真美子「もう、しまいます!」
(慌ててバッグに入れる)
「それにしても……すごい人ですね。」
インデイ「半分以上、外国人だよ。」
「仲見世はもう、歩けないレベルだね。」
(外国人家族が近づく)
「シャシン、プリーズ」
インデイ「Sure.」
(スマホを構える)
「Smile…… one more. Get close!」
(撮影)
外国人「アリガトゴザイマス!」
インデイ「Sure thing!」
外国人「Your English is so good!」
インデイ「You too!」
外国人(笑顔で)
「Hahaha, Have a great day!」
真美子「……なんだか、ドラマを見てるみたいです。」
インデイ「でも、難しいことは一つも言ってないよ。」
真美子「そうですよね。」
インデイ「シンプルな言葉を、テンポ良く。」
「あと、ユーモアも少し。」
真美子「私には、ちょっとハードル高いです……」
インデイ「そういう時のために——」
(少しもったいぶる)
「the magic word があるんだよ。」
真美子「それ、先に教えてください(笑)」
インデイ「例えば、
“Speak English?”って聞かれたら、どう答える?」
真美子「No, I can’t. では失礼ですよね……」
「だから、Yes, a little.とか?」
インデイ「正解。」
(少し間)
「——英語としてはね。」
真美子「英語としては?」
インデイ
「“situation”によって言葉も変わる。」
真美子「ドラマ・メソッドですね。」
インデイ「その通り。」
「例えば……婚活パーティーで…」
(真顔で)
「僕みたいなイケメンに話しかけられたら?」
真美子(咳き込んで)「“僕みたいな”はナシですが(笑)……」
(少し考えて)
「Yes! I want to talk. とか?」
インデイ「いいね。」
「ちょっと圧が強すぎだけど(笑)」
「スマートに言うなら——」
「Oh wonderful! I’ll try.」
真美子「……すごく、自然ですね。」
インデイ「そうすると相手も話しやすいし、レベルも自然に合わせてくれる。」
真美子「なんだか、得した気分です。」
インデイ「真美子さんだけじゃなくて——」(少し笑う)
「読者の皆さんにも得してもらってね。」
真美子「Roger!」
(人混みに押されながら進む)
(ふと立ち止まる)
「……あっ、おみくじ!」

最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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