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部屋干し臭の正体は「乾かし方」じゃない 〜元家電販売員 × 現役クリーニング師が解説〜

こんにちは、ユースケ04です。

6月に入って、いよいよ梅雨の時期ですね。

洗濯物が外に干せない。仕方なく部屋干しする。すると、あの嫌なニオイ——いわゆる「生乾き臭」が出てくる。

毎年この時期、必ず話題になる悩みです。

私は家電量販店で14年間、洗濯機を売ってきました。今はクリーニング師として働いています。
売る側と、洗う側。両方から洗濯を見てきた人間として、今日は「部屋干し臭」の正体と対策を、できるだけ正確に書いてみます。


部屋干し臭の正体は「乾かし方」じゃない


今回のテーマはこれです。

最近はSNSを見てると、
「ドラム式洗濯機が便利!」
こういった感じの投稿が多く見られます。

しかし、「ドラム式洗濯機がすべての人にとって最適な選択肢ではない」という記事を以前執筆しました。

興味がある方は一読してみてください。

じゃあなぜ洗濯してある衣類が臭うのか?

ここから解説していきます。

「早く乾かせば臭わない」は、半分しか合っていない

部屋干し臭の対策というと、多くの人がこう考えます。

「乾くのが遅いから臭う。だから早く乾かせばいい」

これは、半分正解です。
でも、根っこの原因を分かっていないと、対策がズレてしまいます。

まずは犯人の正体をハッキリさせましょう。

部屋干し臭の犯人は「モラクセラ菌」

2011年、花王の研究で、部屋干し臭の原因がはっきり特定されました。

その正体は、モラクセラ菌という菌です。

聞き慣れない名前だと思います。

菌の名前までは覚える必要は無いと思います。

これは特別な菌ではありません。
自然界のどこにでもいる、ごくありふれた常在菌で、人体に大きな害を与えるものでもありません。

では、なぜこの菌が「臭い」を生むのか。

ポイントは、菌そのものは臭わないということです。

臭いの正体は、この菌が出す「代謝物」——わかりやすく言えば、菌のフンのようなものです。

モラクセラ菌が、衣類に残った汚れや皮脂をエサにする

水分のある環境で、菌が増殖する

増殖するときに出す代謝物(フン)が、あの生乾き臭

つまり、部屋干し臭は「菌が増えて、フンをした結果」なんですね。

だから、対策は「3方向」しかない

犯人と仕組みが分かれば、対策はシンプルになります。

やることは、この3つのどれかです。

  1. 菌のエサを断つ(=しっかりすすぐ)

  2. 菌を増やさない(=早く乾かす)

  3. 菌を殺す(=熱を当てる)

順番に説明します。

対策① 菌のエサを断つ

これが、意外と見落とされている対策です。

モラクセラ菌のエサは、衣類に残った汚れや皮脂です。

逆に言えば、洗濯のときに汚れと皮脂をしっかり落とし切れば、菌はエサがなくて増えにくくなります。

ここで大事になるのが、「すすぎ」です。

すすぎが不十分だと、汚れや皮脂が衣類に残ってしまいます。
やってしまいがちな失敗を挙げておきます。

  • すすぎを「1回」に設定している

  • 洗剤や柔軟剤を、規定量より多く入れている

  • すすぎにお風呂の残り湯を使っている

特に「残り湯」は要注意です。

残り湯には皮脂や雑菌が含まれています。洗いに使うのはまだしも、仕上げのすすぎに残り湯を使うと、せっかくの洗濯物に菌とエサをわざわざ足していることになります。

それと、「洗剤をたくさん入れれば、よく落ちる」というのも誤解です。
洗剤が多すぎると、すすぎで流しきれず、かえって衣類に残ってしまいます。

対策② 菌を増やさない

モラクセラ菌は、濡れている時間が長いほど増えます。

部屋干しが臭いやすいのは、まさにこれが理由です。
外干しに比べて乾くのが遅く、湿った状態が長く続く。その間に、菌がどんどん増えてしまう。

だから「早く乾かす」は、やっぱり有効なんです。

部屋干しで乾燥を早めるコツは、

  • 洗濯物の間隔をあけて干す(風の通り道を作る)

  • 扇風機やサーキュレーターで風を当てる

  • 除湿機やエアコンの除湿を使う

ここで、家電を売ってきた立場から一つ。

「部屋干し用」をうたう高い乾燥機や除湿機を買う前に、まず手持ちのサーキュレーター1台を洗濯物に当ててみてください。

風を当てるだけで、乾く速度はかなり変わります。
モノを買うのは、それを試してからでも遅くありません。

対策③ 菌を殺す

最後は、菌を直接やっつける方法です。

モラクセラ菌は、60〜65℃以上の熱に弱いことが分かっています。

これを使った対策が2つあります。

ひとつは、乾燥機。
衣類乾燥機やドラム式の乾燥機能は、高温で乾かすため、菌を死滅させながら乾かせます。
部屋干し臭に強いのは、この「熱で乾かす」仕組みがあるからです。

もうひとつは、アイロン。
乾いた後の衣類に高温のアイロンをかけると、菌を死滅させられます。

ただし、ここで注意。

スチーム(蒸気)アイロンは、衣類に湿気を足してしまい、逆に菌が好む環境を作ることがあります。
ニオイ対策で使うなら、蒸気を出さない「ドライアイロン」が向いています。

生地によっては高温で傷むものもあるので、洗濯表示は必ず確認してください。

ひとつだけ、別の臭いに注意

ここまでは「干すときに出る生乾き臭」の話でした。

でも、もし「洗濯した直後から、すでに臭う」場合は、原因が別かもしれません。

その場合は、洗濯機の「洗濯槽」そのものにカビや汚れが溜まっている可能性があります。
これは部屋干し臭(モラクセラ菌)とは別の問題です。

月に一度ほど、洗濯槽クリーナーで掃除してみてください。

まとめ

部屋干し臭は、「乾かし方が下手だから」ではありません。

モラクセラ菌という菌が、衣類に残った汚れをエサに増え、その代謝物が臭いを生む。
これが正体です。

だから対策は、

  1. しっかりすすぐ(菌のエサを断つ)

  2. 早く乾かす(菌を増やさない)

  3. 熱を当てる(殺菌する)

この3つ。

高い家電を買う前に、まず「すすぎ」と「乾燥の仕方」を見直してみてください。
それだけで、梅雨の洗濯はだいぶラクになるはずです。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

これから本格的な梅雨です。あなたの生活の質が、少しでも快適になればうれしいです。


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