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【せりふ三題噺】本のなかの草原(388文字)
本のなかに草原があった。
迷い込むと、スタバの看板が見えた。近づいてよく見れば、スタバのようでいてスタバではない。マークは似ているけれど、看板やメニューは異国の文字だ。
言葉は通じた。
店員さんはペンネを薦め、サイズを聞いてきた。
「ショート……いや、グランデサイズで」
店の外に出る。
店員さんが桃色のランチョンマットを草原に敷く。二畳ほどの大きさがある、そのマットが、ほとんど影で暗くなるくらいの白いお皿を載せる。
そして、ハシゴのかかった大鍋から大きなお玉でペンネを掬い、どかどかとお皿にいれた。ペンネ一個が、私の顔の大きさくらいある。トマトソースで和えてある。
「こんなに食べきれるかな」
と笑ったら、
「本のなかですから、腐りませんよ」
と言われた。
美味しいペンネを一個だけ食べた。
この本、返却期限いつまでだったかな……と思いながら、あたたかなひだまりの草原に寝転び、風の音に耳を澄ませた。
◆
はらとけいさんの素敵な企画「せりふ三題噺」への参加です。
はらとけいさん、いつもありがとうございます。
お題
◯セリフ
「ショート……いや、グランデサイズで」
◯三題
(草原/返却/ペンネ)
