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食品商談会は「商品力」だけで勝てない時代〜アテンション・エコノミーの現実 【料理王国100選】通信 1月15日号


食品商談会は「商品力」だけで勝てない時代〜アテンション・エコノミーの現実

<アテンション・エコノミーとは何か?>

料理王国100選の審査や展示会の現場に行くと、毎回感じることがあります。
『良い商品なのに、バイヤーに伝わらない』製品がとても多いのです。
商談会時期を迎え今回はその対応を少し違う切り口で整理してみます。
アテンション・エコノミーとは、商品や情報が溢れた結果、“注意(Attention)”そのものが希少資源になり、価値を生むという考え方です。(参考:総務省ICT活用リテラシー向上プロジェクト総務省令和5年度白書

一番わかりやすいのがSNSやショート動画の世界です。

タイムラインには無数の投稿が流れ、私たちは「気になる」と思ったものにだけ一瞬注意を向け、合わなければ即スワイプ。
ここでは情報の中身以前に、注意を取れなければ存在しないのと同じになります。
しかもSNSは、ただ情報が多いだけではありません。
プラットフォーム側の設計で「見える情報」が制約され、行動が誘導されます。(フィルターバブル
・表示されるのはフォローしている人の投稿だけではなく、アルゴリズムが「あなたが見そうなもの」を優先
(Facebookなども流れてくる投稿は必ずしも「友達」だけではないです)
・長い説明は読まれにくく、短い言い切りや強い見出しが残りやすい
・次の動画が自動で出てきて、思考より反射が先に動く。(意識しないまま視聴が続く→集中力散漫)

つまり、現代は良い製品を作るだけでなく注意を獲得し〜理解させ〜行動に接続するところまでが販促(販路開拓)に必要になっているのです。
これは食品の売り方にも、そのまま当てはまるだろうと思います。
AIDMAの法則とかAISASとか聞いたことあるかもしれませんが、とにかく現代ではA(Attention=注意=興味を持たす)事の比重が高まっています。

<食品商談会は「商品力」だけで勝てない>

食品商談会は、アテンション・エコノミーの縮図です。

会場には商品、名刺交換、試食、POP、説明、山ほどのカタログ、出来の悪いFCPシート、よくわからない試食サンプルなど情報が過密に詰まっているのに、多くの来場者でごった返してバイヤーの集中力と体力と時間は有限。
個別マッチング商談会でも、15分〜25分しか時間はありませんし、バイヤーは連続商談です。

そうした商談会場で起きているのは「商品力(味・製品・卸価格・製品への想いなど)」ではなく、まず注意の奪い合いです。
ここで大事なのは、品質を否定する話ではありません。
問題は、品質が高いことを伝える順番と形式が、商談会の環境に合っていないことです。

バイヤーは会場で、頭の中でこんな選別を高速で回しています。
・立ち止まるか(遠目で必要な事業者であるか、商談する意味があるか)
・話すか(とりあえず名刺交換したいか、今聞く価値があるか:用途・価格帯・導入難易度)
・情報を持ち帰るか(社内で説明できる材料が揃うか:供給量・仕入条件・取引帳合・同種製品扱い・棚割りなど)

ここで大変多いのが、『説明した』『FCPシートや企画提案書も渡した』けれど、案件にならないケースです。
製品資料や見積もり等はもちろん重要ですが、今後の【記憶と行動】に繋げる設計がないと、商談会では出展しただけになります。現場体験を踏まえ個人的に考えると商談成約率は名刺交換数の1〜2%程度ではないでしょうか?
・会場で良かったのに、会社に戻ったら思い出せない(ヘタすると帰るまでに忘れる)
・社内で説明できず稟議に乗らない
・次アクションが決まらず、名刺だけが増えていく
1〜3月に食品商談会が集中的に各地で行われていますが、食品バイヤーの多くの実際の検討時期ではありません。(小売の場合:春は決まっている、夏も大体決まり、秋〜冬はもう少し先)

<具体策:アテンションを勝ち取る「商談会の設計図」5つ>

ではどうするか。ここからは実務の話です。
ポイントは、商談会を説明の場ではなく、注意と記憶の場所と割り切り、その後のフォローアップで製品理解→深い記憶→行動に変えること。
展示会事業者がよく言う『会期中受注達成度の設計(→即決まりっこない)』『会期後の早急なフォロー(→1〜2月は商談会時期なので効果的でない)』は少しずれているのかな?と個人的には思っています。
1. 企業や製品を3秒で説明できる言葉を作る:あなたは何屋さんで何が得意なのかを明確に。
2. 試食は「味見」ではなく「用途提案」にする:試食の目的は、味の証明よりも導入イメージ。
3. 質問の入口を設計(バイヤーが話しやすい導線):例(惣菜ですか?外食ですか?通販ですか?)
4. 保存でき社内検討できる製品資料を準備(記憶の設計):紙資料ではなく、後日pdfメールで資料送付。
5. 次のアクションをその場で決定(アテンションの延命):例 サンプル送付約束、次回商談日

<アテンション(注意)だけでは終わらない>

品質は大前提として、ますます重要ですが、告知力不足で消えてしまう製品はあまりに勿体無い。
商談会では、品質は【伝わって初めて価値になる】。そのために必要なのが、注意の設計です。
会場での立ち止まり率と、会期後の商談化率を変えるためには、自社製品をどのようにバイヤーに訴求するか、深く考える事が重要です。

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