Photo by
lazy_planet
一期一会の価値 〜ある親子に教えられたこと〜
先日、美術館で、ある親子と出会いました。
子どもたちが、インスタレーションの傍らで、ほんの短い時間、一緒に遊んでいました。
帰り際、その親子が駆け寄ってきて、ミュージアムショップのポストカードを差し出してくれました。
「一緒に遊んでくれて嬉しかったので」
ただ、それだけを添えて。
普通なら、連絡先を交換すべきか、何かお返しをすべきかと、その後の「続き」を考えてしまう場面かもしれません。
けれど、不思議とそうした考えは湧いてきませんでした。
それは、カードのやり取りを求めているのではなく、ただ、この瞬間をそのまま残そうとする行為に感じられたからです。
長く続く関係だけが尊いわけではない。
一度きりの交差の中にこそ、消えない何かが宿る。
手渡された一枚のカード。
その静かな手触りとともに、息子の中にも、確かな記憶が残っていくように思いました。
あの一瞬のあり方に、
一期一会の価値があるのだと思います。
ーある親子に、教えられたこと。
