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【#noteでBL】ホラーは苦手

なみさんの企画3つのお題でBL創作【#noteでBL】。
11回目の開催、おめでとうございます。
そして、今回も参加させて頂きました。
まずは、お題をみて『書けるのか? 私……』と思いました(ホラー自分が苦手なので書かない)が、がっつりホラーじゃなくてもいいのでは? という結論を勝手に出して←おい! こういう形での参加にさせてもらいました。

企画の詳細は、こちらになります。

毎回3つのお題に一度は目を見開きますが、今回は「夏祭り」「ゾンビ」「水」でした。
ゾンビ作品は、基本自分では観るのも避けることが多いです。
なので、怖くなるわけがなく……ちょこっとだけビビる要素を取り入れながら、可愛く仕上げました。

そして、このお話に登場するのは、前回のお話で登場したあの二人。
できれば、なみさん企画ではこの二人をメインに描いていけたらいいなと思ったりしています。
ただの願望になっちゃいますけど。

それでは、メインのお話へ。


ホラーは苦手だ


 ホラーは苦手だ。
 怖い映画を観たり、お化け屋敷や心霊スポットに行ったって何の特にもならない。僕はそう思って今まで生きてきた。
 小学校の林間学校で先生たちに創作肝試しをさせられたことがあって、それ以来トラウマになったのか、できればこれからも避けて通りたい道ではある。
 そう思っていたのに――。

「では、今年も校内で夏祭りの開催を行います。日程は終業式の日。夜には肝試しをするので、各自参加するように。以上!」

 ちょ、ちょっと待った! どういうこと? そんなのあるって聞いてないんだけど――。
 体育館の端の方で、目立たないように立っているだけだった僕は、みるみるうちに落ち着きがなくなっていく。
 夏祭りっぽいことは毎年恒例でやっているのは知っていたけれど、昨年は肝試しなんてやってなかったのに。まさかこんな形でやってくるとは!!

「おい、翔。なに、キョドってんの?」
「べ、べつに……。キョドってないし」
「もしかして、肝試しにびびってんの?」
「ち、違うって!」

 同じクラスの長谷川莉久が、落ち着かない僕に気づいて声をかけてきた。びびっているなんてバレたらとんでもない。絶対にバレてたまるか! そんな思いで必死に違うアピールをしたにも関わらず、面白いものを見つけたと言わんばかりに楽しそうな顔で笑っている。
 これ以上何を言っても墓穴を掘るとしか思えないから、口をぎゅっと噤む。

「よし、じゃあ終業式は思いっきり楽しむとしよう」

 そう言いながら、肩を組んでぐっと抱え込まれるように体を丸め込まれてしまう。
 こんなの、長谷川の思うツボじゃんか――。


「おい」
「はい……」

 家に帰った僕は、一度キッチンに鞄をおいて手洗いうがいをしに洗面所へ行き、再びキッチンへ戻って鞄を持つと二階にある自分の部屋へ向かう。
 階段を上り終えて部屋のドアを開けたと同時くらいに、先輩のいつもより少し低めの声が聞こえてきた。

「あいつ誰?」
「あいつって……?」
「今日、体育館で仲良さそうにしてた奴だよ」

 突然の質問に体育館での出来事を思い出してみる。どう考えても僕が話していたのは長谷川しかいなくて、あれは仲良さそうっていうか、ただからかわれていただけでいつもの感じっていうか――ただそれだけ。

「長谷川のことかも……」
「同じクラスなの?」
「そうです。一年の時から同じで、何となく一緒にいる感じで……」
「へえ、何か家にいる時より楽しそうじゃん」
「べつに、そんなことは……」

 ないと言いきれなくて、それ以上言葉に出来ない。だって、この家には先輩がいて、常に緊張している状態なわけで、素の自分を出すのはなかなか難しい。

「お前、夏祭りの予定は?」
「特にないですけど……。たぶん長谷川と回るだろうし」
「ふーん……。俺は生徒会のせいでずっと動きっぱなしなわけ。そんな俺に、差し入れを持っていこうって思わない?」
「えっ、僕が……ですか?」
「お前以外に誰がいんだよ」
「先輩だったら、差し入れしてくれる人いっぱいいそうじゃないですか……」
「そんな何が入ってるかわかんないような差し入れなんて受け取れるか。お前だったら、俺に毒を盛ったりできないだろ?」

 あー、なるほど。同じ屋根の下で生活している異母兄弟だし、そのへんは下手なことができないと思っているってわけだ。
 でも、そんな心配するってことは、先輩は過去に何かそういった経験があるってことだろうか?
 そう考えたら、人気者っていうのも案外大変なのかもしれないな。

「わかりました。じゃあ、差し入れ持っていきますね」
「約束な」
「はい」
「じゃあ、これやる」 

 さっと差し出されたのは、引っ越してきた日にメッセージつきで貰ったあのルマンドだ。  「俺の好物だ、覚えておけ」と言われたことを思い出す。

「ありがとうございます」
「おう。おかえり」
「はい。ただいま」

 バタンと部屋の中へ消えてった先輩を見送り、僕はルマンドの端っこを持ちながら自室へと入る。何だか学校で生徒会役員をしている感じとは違う先輩の一面が日に日に増えていくのがすごく特別な感じがして、思わず一人きりの部屋でにやけてしまう。
 自分でも変だって思うけれど、こうして色んな先輩を知れる楽しさに緊張は消えることはなくても毎日充実してる感じはしていた。


「肝試し、どんなことすんだろうな」
「そんなの僕に聞かれてもわかんないし」
「もちろん、一緒に回るだろ?」
「そだね。けど、うちらのクラスは何するんだろ?」
「そうだな……。浴衣カフェとかは?」

 思い付くままに言葉にしたであろう長谷川の案に、クラスの女子生徒が食いついてきた。

「それ、いいじゃん! やろう、浴衣カフェ」
「えっ、採用?」
「採用! やるじゃん、長谷川」
「おっ、おう。俺、やるじゃん」

 女子に誉められて、鼻の下をぐーんと伸ばしながら、ガッツポーズしている長谷川。
 浴衣カフェって――。浴衣なんてうちにあるのかな?
 考えてみれば、浴衣なんて一度も着たことがない気がする。これは帰ったら母親に聞いてみることにしよう。

「俺ってすごくない?」
「すごい、すごい」
「いやっ、思ってなくない?」
「そんなことないって。浴衣なんて思いつきもしなかったし」
「でも、俺、浴衣なんか持ってないかも」
「それはもう、ある人が持ち寄って何とかすればいいんじゃない? 新しく買う必要もないだろうし」

 同じ心配をしていた長谷川の言葉に、さっきの採用を言い渡した女子生徒の苗木さんが答えた。「良かったぁ」と安堵したように僕の肩に項垂れてくる長谷川の手をそっと叩く。

「翔は持ってんの?」
「わかんない。だから、帰ったら母さんに聞いてみる」
「俺も聞いてみよ。もしかしたら、もしかするかもだしな」
「お互いにね」


 学校が終わり家に帰ると、まずは手洗いうがいをして制服から部屋着に着替えてリビングへと降りていく。

「母さん」
「ん? どうしたの?」
「学校でさ、浴衣を使うことになったんだけど、僕の浴衣なんてないよね?」
「あー、それはないわね。司くんは? 持ってないかしら?」
「いやっ、なければみんなが持ち寄ったもので代用しようってなってるから大丈夫だよ」
「そう?」
「うん。ありがと」

 やっぱりないよな――わかっていただけに特にどうこうってこともないけれど、できれば他人のものを着たくなかったという思いがあったのも事実だ。
 仕方ない、諦めるしかない。潔く切り替えて、部屋に戻ろうとしたところで、帰ってきていたであろう先輩が立っていた。

「あっ、おかえりなさい」
「ただいま。浴衣、俺ので良かったらあるけど……?」
「えっ?」
「貸そうか?」
「で、でも……迷惑じゃ」
「他の誰かのやつ着るよりは、俺のがいいんじゃない?」
「そ、それは……」

 図星なだけにそれ以上の言葉が出てこない。先輩の浴衣なら安心して着られるけれど、逆に緊張しちゃうかもしれない。

「どうする?」
「じゃあ……、借りてもいいですか?」
「もちろん」
「お願いします」
「ちなみに、貸すからには差し入れわかってる?」
「ちゃんとしますよ」
「なら、当日に渡す」
「お願いします」

 次の日に、お菓子屋さんに行ってルマンドを二袋用意すると、自分の部屋の机の引き出しにしまった。
 夏祭りの肝試しは嫌だけれど、先輩の浴衣を着て行事に参加するのは少し楽しみだ。


――夏祭り当日――
 朝部屋を出ると浴衣は袋に入れてドアノブに掛かってあった。お礼を言うこともできないまま、終業式が終わり、夏祭りに向けて準備を開始する。
 浴衣とルマンドは忘れずに鞄にいれてきた。

「なんだよ、浴衣あったの?」
「まあね。長谷川は?」
「俺は、苗木の兄ちゃんのがあったからって借りた」
「そっか。でも、これ必要ある?」
「いいんじゃね。こんなときくらいしか遊べないじゃん。似合ってるし」
「そ、そう?」
「そう、そう。俺もいけてるっしょ?」、「ま、まあ……」

 浴衣を着た後、女子たちの手によって髪型とメイクをされ、前髪をあげてピンで止められ、目の下には可愛いカラフルで可愛らしいシールが貼られたりしていた。
 まあ、確かになかなか経験できることじゃない。でも、このまま先輩に会いに行くのには抵抗がある。
 それでも、カフェが始まる前に行っとかなきゃと思い、長谷川に少しだけ抜けると伝え、ルマンドと自販機で飲み物を買って生徒会室へと向かう。
 ドアをノックすると、しばらくして「はい」と聞き覚えのある声がした。

「あの、僕です」
「いいよ。入って」
「失礼します」

 ゆっくりと扉をスライドさせて開けると、椅子に座って背中を向けたままの先輩を見つけた。
 振り向く気配もないので、そっと近づいていく。
 近づくにつれて、いつもと違う雰囲気だということに気づいた。

「あの、先輩……?」
「いつまで待たせんだよ」
「いやっ、だって……」
「まっ、まあ、いいや」
「これ、差し入れです」
「おっ、サンキュ」

 グレーっぽいボロボロの服を着ている先輩は、髪型がワックスでグシャグシャになっていて、小汚ない雰囲気になっていた。
 差し入れを受け取ると、袋のなかに入っているものを確認して嬉しそうに口許が緩んだのが見えて、うれしくなる。

「じゃあ、お互いに楽しみましょうね」
「まあ、楽しみにしとけよ」
「はい。それじゃあ、失礼します」

 肝試しの驚かす人をやるんだろうと思いながら、差し入れだけを渡すとそのままクラスへと戻って、夏祭りのカフェ店員をやり遂げた。


 ここからがメインである肝試しの時間。
 隣の長谷川は楽しそうにしているけれど、内心心が落ち着かない僕は、きょろきょろと辺りを見回してしまう。
 先輩がいるわけもないのに、どこかで探してしまっている。

「よし、じゃあ行くか! 苗木さんと中越さんも行くよー」
「はーい」

 四人一組で真っ暗な校舎を歩いていく。渡されているのは懐中電灯一本だけ。
 先頭に長谷川、間に二人で腕を組み合っている女子二人で、一番後ろが僕という順番で前に進んでいた。
 しばらく歩いていると、後ろから誰かがついてくる気配を感じ始めているのに、怖くて振り返れない。

――トントン――

 ついに肩をつつかれた。
 恐る恐る振り返ると、そこには青白い顔をして皮膚がただれているゾンビがこっちに向かって口を大きく開けた数センチの距離にいる。

「うわぁー、ちょっ、も、むり……」
「きゃーっ、いやっ、長谷川、早く走って」

 僕の声に反応して女子たちもゾンビの存在に気づき、三人は一目散に走っていく。
 腰を抜かす一歩手前で動けなくなっていると、そのゾンビがこちらに向かって手を伸ばしてくるから、間一髪のところで何とか体を動かして走り出した。
 どこに逃げればいい? ゾンビは水が苦手だったよな? ここからプールまで結構距離がある。
 仕方ない。校舎裏にいけば、花壇に水やりをするホースがあるはずだ。そこまでダッシュすれば、なんとかなるはず。
 必死で校舎裏へと向かって走る――。
 ホースの在処までやってきてそれを手に取ると、蛇口を捻ってホースのボタンをプッシュ。
 勢いよく出た水を、そのゾンビに目掛けてぶっぱなした。

「おい、お前! 何すんだよ!」
「えっ、あっ、ちょっ……」

 聞こえてきた声に、慌ててホースのボタンを押して水を止める。

「やりやがったな」
「せ、せんぱい……何してるんですか?」
「肝試しのゾンビ役に決まってんだろ」
「そんなの、わかるわけないじゃないですか?」
「言ったら意味ないだろ」
「意味って……」
「それに、その格好でうろうろされるのは、正直うざい」
「うざいって、意味わかんな……」
「いいから、それ貸せ!」

 僕の持っていたホースを奪うと、今度は先輩がこちらに向かって思いっきり水をかけてきた。
 二人して月明かりの下で水浸し。
 でも、その顔は初めて本気で笑い合っていた。



Fin.


こんな感じで仕上げましたが、どうでしたか?
楽しんでもらえてたらいいな。

最後にちょっとしたお知らせです。
新しく下記のサイトを始めました。
エブリスタはもともと活動拠点として一番使っているのですが、色々と思うこともあり、とにかく色々使ってみて自分にあっているところを探すのが一番だと思い、やってみることに。
もしもお時間があったら遊びに来てくださいね。
よろしくお願いします。

ただし、登録している人限定になっているので、登録していないと見れないです。 

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