学園潜入捜査編|エピソード倫 Vol.4 ~ 消えた封筒~
「…最後あったの、どこだったかな…?」
倫は記憶を辿る。

彩から託された、あの封筒—
弥から受け取り、確かに制服のポケットに入れたはずだった。
あれは重要な任務資料だろう。
そう思い込んでいる、あの封筒—
「え、ちょっと待って。……ない」
ポケットを叩く。
カバンを探る。
制服の内側も確認する。
—ない。
倫の顔が、ほんのわずかに曇る。
でもまだ焦らない。
「落ち着け、私。絶対どこかにある」

「この辺りで…弥と別れて…」
倫は歩いたルートを再び思い返す。
校門前、渡り廊下、中庭のベンチ、この水路沿い—
「まさか、落とした…?」
水路に目を落とす。
水路に手を入れて探る。
冷たい水が指先を撫でる。
「うわ、最悪…
まさか流されたとかないよね…」
でも、何処かまだ完全に絶望していない。
なぜなら、彼女は根拠は無いけど自分は大丈夫だと思っているから。
でもこの時、倫はまだ知らない。
封筒は、もともと水路には落ちていない。

珍しく焦りが表に出る倫—
「ない、ない、ない!」
いくら探しても、見つからない。
「…これはヤバいかも!」
小さく呟く。

放課後の校舎脇—
一人の女性が地面に落ちていた封筒を拾い上げる。
梛だ。
梛の目が僅かに細まる。
風が吹く。
封筒を静かに持ち直す梛。
倫は、まだ何も知らない…
つづく—
