【BGM集】冷えない夜
01|窓を開けても暑い
午前一時。
窓を開ける。
網戸の向こうから、
夜の空気が入ってくる。
少しは涼しいかと思った。
けれど入ってきたのは、
風ではなく湿度だった。
カーテンだけが揺れている。
部屋は何も変わらない。
数分後、
エアコンのリモコンに手を伸ばす。
今年もまた、
人類は夏に敗北する。
この曲は、
深夜の熱帯夜における小さな降伏記録です。
02|冷蔵庫まで遠い
午前二時。
喉が渇いた。
冷蔵庫には麦茶がある。
知っている。
距離にして数メートル。
けれど夏の夜は、
その数メートルが妙に遠い。
扇風機の前を離れる理由を、
身体が拒否している。
数分後。
意を決して立ち上がる。
冷蔵庫の光は、
深夜の探検隊を歓迎していた。
この曲は、
麦茶までの長い旅路を記録した環境音です。
03|風鈴の勤務時間
昼間は静かだった。
風鈴は、
ただ軒先に吊るされているだけだった。
夕方になり、
少しだけ風が通る。
その瞬間だけ、
仕事を思い出したように鳴る。
一回。
また沈黙。
そしてもう一回。
夏の風は気まぐれだ。
風鈴も、
ずっと働いているわけじゃない。
この曲は、
短時間勤務の風鈴たちへ捧げる記録です。
