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飛行機から新幹線へ、静かな乗り換えの決断

ANAのSFCの改悪をきっかけに、飛行機より新幹線を選ぶようになった。以前であれば、出張や遠方への移動となれば、まず飛行機を考えていた。空港へ向かい、ラウンジに入り、搭乗時刻まで少しだけ特別な時間を過ごす。その一連の流れに、どこか旅の高揚感があったのは確かである。

SFCを持っていることにも、少なからず満足感があった。単に早く移動できるというだけではなく、優先搭乗や手荷物、ラウンジ利用といった細かな積み重ねが、移動の疲れを少し軽くしてくれていた。自分にとってSFCは、単なるステータスではなく、移動を快適にするための実用品でもあったのである。

しかし、その前提が崩れた。サービスの条件が変わり、これまで当然のように受けていた価値が薄くなっていくと、気持ちも自然と離れていく。もちろん企業側にも事情はあるのだろう。利用者が増えすぎたのかもしれないし、コスト構造の見直しもあるのかもしれない。だが利用者の立場から見れば、長く使ってきた人ほど損をしたような気分になる変更であった。

そこで改めて考えたのである。自分は本当に飛行機に乗りたいのか。それとも、快適に目的地へ着きたいだけなのか。答えは後者であった。飛行機そのものに執着していたわけではない。空港ラウンジや優先搭乗があるから、飛行機を選ぶ理由が補強されていただけである。その補強が弱くなった以上、冷静に新幹線と比較すればよいだけの話である。

新幹線には、新幹線の強さがある。まず駅が街の中心にある。空港のように郊外まで移動する必要がない。出発のかなり前に到着して保安検査を受ける必要もない。駅に着き、改札を通り、ホームへ上がれば、すぐに移動が始まる。この単純さは思っていた以上に大きい。

さらに、乗ってからの自由度が高い。飛行機では離着陸時に身動きが取りづらく、シートベルト着用の時間もある。テーブルを出すにもタイミングを選ぶ。新幹線であれば、乗車してすぐにiPadを開き、作業を始められる。電源も使える。通信も場所によって波はあるが、仕事を進めるには十分なことが多い。移動時間を単なる待ち時間ではなく、作業時間として使えるのである。

グリーン車を選べば、さらに印象は変わる。座席は広く、静かで、落ち着いている。飛行機の普通席で窮屈な姿勢になるよりも、ずっと身体が楽である。もちろん飛行機のプレミアムクラスなら快適だが、価格とのバランスを考えると、毎回そこまで出す気にはなれない。新幹線のグリーン車は、日常的な贅沢としてちょうどよい位置にある。

飛行機は速い。これは間違いない。ただし、それは空を飛んでいる時間だけを見た場合の話である。家から空港までの移動、空港での待ち時間、到着後に市街地へ出る時間、手荷物の受け取りなどを含めると、総移動時間の差は思ったほど大きくないこともある。むしろ東京から大阪、岡山、名古屋あたりであれば、新幹線の方が精神的には圧倒的に楽である。

今回のSFCの改悪は、ある意味でよいきっかけだったのかもしれない。今まで「SFCがあるから飛行機」という思考になっていた。だが、それは本当に合理的だったのか。自分にとって大事なのは、優先搭乗の列に並ぶことではなく、疲れず、慌てず、快適に移動することである。そこに気づくと、新幹線という選択肢が急に現実味を帯びてきた。

飛行機には飛行機の魅力がある。遠方へ一気に行ける力、空を飛ぶ非日常感、空港独特の雰囲気。それらを完全に否定するつもりはない。北海道や沖縄、九州の奥地へ行くなら、やはり飛行機が有利である。しかし、何でもかんでも飛行機である必要はない。特に本州内の移動であれば、新幹線の安定感は非常に強い。

新幹線に切り替えてみると、移動に対する気持ちも変わった。飛行機のように時間に追われる感じが少ない。少し早めに駅に着き、弁当や飲み物を買い、ホームで列車を待つ。車内に入れば、座ってすぐに自分の時間になる。仕事をしてもよいし、動画を見てもよいし、何もせず景色を眺めてもよい。この自由さが、今の自分には合っている。

結局、サービスの改悪とは、利用者に再考を促す出来事でもある。これまで何となく続けていた習慣を見直し、本当に価値があるものだけを残す機会になる。ANAのSFCが魅力的であり続けるなら、飛行機を選び続けたかもしれない。だが価値が下がったと感じた以上、こちらも移動手段を変えるだけである。

loyalty は一方通行では成り立たない。利用者が航空会社を選ぶ理由があるように、航空会社も利用者に選ばれ続ける理由を提供しなければならない。その理由が弱くなれば、選択は自然と変わる。怒りというより、静かな決別に近い感覚である。

これからは、飛行機に乗ることを目的にしない。目的地、時間、疲労度、作業のしやすさ、費用、そのすべてを見て判断する。そして多くの場合、自分の答えは新幹線になる気がしている。SFCの改悪は残念である。しかし、そのおかげで、新幹線の快適さを見直すことができたのも事実である。

移動は我慢する時間ではなく、自分の時間であるべきだ。そう考えると、新幹線の座席に腰を下ろし、窓の外を流れる街を眺めながら目的地へ向かう時間は、なかなか悪くない。むしろ、これからの自分にはこちらの方が自然である。飛行機への未練は少しあるが、それ以上に、新幹線への納得感がある。そう思えるなら、この切り替えは正解なのである。

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