お仕事をしなさい
今日は、朝からなんとなく腰が痛い
立ち仕事をしていると、ときどき不意にこうして痛みがやってくる
そのことをオットさんに言うと、決まって返ってくる言葉はひとつ
「姿勢が悪いから」
――はいはい、いつものやつ
さらに私が走る時には、なぜか毎回こうだ
「前かがみ走り〜」
妙に楽しそうに、ドヤ顔でからかってくる
そこまでずっと言われ続けると、
じゃあ、その前のめりを逆に“有効活用”してみようじゃないか
という謎の前向きスイッチが入る
そこで考えた
もっと前屈みにして、背中に何か物を置いてみる……?

これでは確実に腰が悪化する。実用性ゼロだ。
🤔🤔うーむ。
じゃあ、これなんてどうかな?
…………
……
…
西暦202X年。
世界は突如崩壊し、格差社会はかつてないほど拡大した
そんな混乱の中で――
一部の人間たちの間で、謎の「デスゲーム」が密かに流行し始めた
* * *
何者かに襲われ、気がついた時には、全身黒づくめの格好のクラT
顔まで覆われ、誰が誰だか判別できない
周りには、同じような背格好の人々が集められている
連れて行かれた先は、陸上競技場
その時、スピーカーから謎の声が響いた
「ようこそ、デスゲームへ。
これから女性陣には、100m走に挑んでもらう」
モニターを見ると、女性の人数と同じだけの男性たちが、
心配そうにこちらを見つめていた。
「ルールは簡単
女性陣には一斉に100mを走ってもらう
男性陣には、その走りを見て――
自分の妻を当ててもらう、実にシンプルなゲームだ」
そこでひとりの女性が叫んだ。
「そんな! 顔も見えないのに分かるわけないじゃない!」
バーン💥。
銃声とともに、その女性は倒れた
「声を出したらこうなる
そして、自分の妻を見分けられなかった場合も――
こうなる」
空気が一瞬で凍りつく
助かる道はひとつ
“この中から自分の妻を当ててもらうこと”
絶望する――クラT
だが、モニター越しのオットさんは、なぜか自信ありげな顔をしていた
――そうか!
いつも言われてる「前かがみ走り」
あれをすれば、オットさんは絶対に分かってくれる!
かすかな希望の光が見えた
「位置について――よーい、ドン!」
一斉に走り出す女性たち
走り出したと同時に「え??」
バーン💥
銃撃に倒れ込むクラT
「オットさん……前かがみ走り……けっこういるよ……ガクッ」
モニターの向こうで、オットさんが叫ぶ
「クラTーーー!!! ごめんよーーー!!」
* * *
……と、そんな妄想を仕事中にしていたら
「クラTー、帰るよー」
あっ
このあいだクラTがしばかれた職場の友人、Oちゃん
(この件に関しては完全に私が悪かったのだが)
時計を見ると、退勤の時間だった
よし
今日は腰に貼る湿布でも買って帰ろう
