森の光
朝の森に入ると、霧がまだ残っていた。
木々のあいだから、
細い光が斜めに差し込んでいる。
風はなく、音も少ない。
ただ光だけが、ゆっくりと動いていた。
その光は、まっすぐではなく、葉に遮られ、幹に触れ、いくつかに分かれて森の床に落ちていた。
足元のコケが、淡くそれを受け止めている。
明るいわけではない。
むしろ、暗さの中にある光だった。
森が美しいのは、明るいからではなく、
光が完全には届かないからなのかもしれない。
すべてが見えてしまう場所よりも、
少し隠れている場所のほうが、長く立ち止まってしまう。
今日の森は、そんな光だった。
ただ、ただ、きれいだった。
