【怪談】人形の中の彼女
ねぇ……聞いてくださいよぉ……。
これねぇ、僕の知り合いの女の子の話なんですけどねぇ……。
その子にはね、仲の良い親友がいたんですよ。
でも……その親友が、一年前に亡くなっちゃったんです……。
交通事故だったかな……突然のことだったそうです。
でね、それからなんですよ。
彼女、もともと人形なんて嫌いだったのに……
ある日から急に、人形を部屋に飾るようになったんですって。
「どうしたの?」って聞くとねぇ、
「ううん、これ……あの子の代わりなの」って言うんですよ。
最初のうちは、まぁ……寂しいから、そうやって心を落ち着けてるのかなと思ってたんですけどねぇ……。
だんだん、様子が変わってきたんです。
彼女ねぇ、その人形に毎日話しかけてるんですよ。
「おはよう」とか「今日も一緒だね」とか……まるで生きてるみたいに。
でねぇ、ある時こう言ったんです。
「この子ね……○○ちゃん(亡くなった親友)が入ってるの。
いつでも一緒にいられるの」って……。
……いやぁ、背筋がゾッとしましたよ。
でもねぇ、その人形を飾り始めてからなんですよ。
彼女の表情が暗くなって、体調崩したり、家族がケガしたり……。
なんか、妙なことばかり起きるようになったんですって。
それでも彼女は言うんです。
「最近ね、あの子怒ってるみたいなの。私が家に帰らないから……」って。
……いやぁ、怖いですねぇ。
ある日、彼女が言ったんですよ。
「部屋からね……声が聞こえるの」って。
「親友の声か?」って聞いたら、
「ううん……聞いたことない声……」って、怯えてたそうです。
それを聞いた友達が言いました。
「お寺に持っていって見てもらいなよ!」って。
で、彼女は人形を抱えてお寺に行ったんです。
お坊さんがねぇ、静かに人形を見てたんですけど……
そのうちに表情がスッと変わった。
そしてこう言ったんですよ。
「……この人形に、何かしましたか?」
「え? 何もしてませんけど……どういう意味ですか?」
お坊さんは、少し息を整えて言いました。
「この人形には……非常に危険な霊が、何体も取り憑いています」
彼女、驚いてねぇ、
「でもこの人形、親友の子が入ってる気がするんです」って言ったら、
お坊さんが首を横に振って……こう言ったんですよ。
「親友? まさか……。
あなたのご友人はもう、すっかり成仏されていますよ。
むしろ、あなたのことを心配しておられます」
「じゃあ……この人形には誰が?」
お坊さん、目を伏せて言ったそうです。
「わかりません……。
ただ……その霊は、あなたの親友を呪い、あの世へ連れていった者です。
そして今度は――あなたを連れて行こうとしている……」
……それを聞いた瞬間、彼女、青ざめた顔で人形を置いて逃げたそうです。
その後、人形はお寺で供養されたそうですが……
誰がその霊なのか……今でも、わからないんですよねぇ……。
いやぁ……怖いですねぇ……。
