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ときめきおばあちゃん(#毎週ショートショートnote)

小春日和の11月。おばあちゃんの団地に遊びに行くと、ベランダの洗濯物にまじって赤いトゥシューズが干してあった。
「もしかして、あのシューズ……」
「私ね、シニアバレエを始めたの!」

祖父は私が生まれる前に亡くなっていて、祖母は都内の団地に一人で住んでいる。長く工務店の事務をしていたが、先月定年退職したのだ。

「一歳でも若いうちにやりたいことをやりたかったの」

ウキウキ話すおばあちゃんの部屋は家具が少なく、とても質素だ。わずかな給料から老後に備え、貯金していたと言う。

「今まで習い事なんてする余裕なかったの。やっと夢が叶ったわ」

「おばあちゃん、なんだかときめいてる」

「そうよ。人生には”ときめき”が大事ね」

柔らかい光の中で赤いトゥシューズがふわりと風に揺れているのを、おばあちゃんは眩しそうに見つめていた。

「私もおばあちゃんみたいになる」

「バレエするの?」

「ううん。まずは貯金と、今は投資も必要かな。……ねぇ、あのトゥシューズ、触ってもいい?」

(418字)




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お題は #ときめきトゥシューズ
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