省みるサイエンスコミュニケーション
省みるサイエンスコミュニケーションには、科学技術のリスクを検討し、科学技術を適切に管理し、時に行き過ぎた科学技術への依存を振り返るための活動が含まれます。科学技術や社会課題への向き合い方を立ち止まって点検し、よりよいコミュニケーションの形を模索することをめざすものです。新しい課題の出現や社会状況の変化に応じて、「ともに振り返り、考える」営みとしてのサイエンスコミュニケーション。そのための心得をまとめました。(2025年8月31日時点の心得です。)
「心得」を整理するための4つの柱
省みるサイエンスコミュニケーション(以下「SC」)に必要な心得を整理するにあたり、頭を整理するためのよすがとして以下の4つの柱を設定しました。が、これらは完全に切り離せるものではありません。整理していくうちに「この分類は使いづらいな」となった場合には柔軟に組み替えたり取りやめたりする前提で、話し合いを進めました。
1 What 何を:省みるSCを行うべき新たな課題とは?
(※AIと社会、感染症と情報公開のあり方、など現行の未解決課題を深めるのもOK)
2 When/Where いつ/どこで:どういった局面で省みるSCが必要になるか?
(ex. 平時orクライシス など)
3 for Whom 誰のために:包摂性。異なる立場の人の声をいれるためのSCとは?
4 and then 社会実装するには:実際の問題解決につなげるためのしくみ、考え方、人材とは?
5 さらに何かあれば5つ目を追加するのもOK
(ex. Who(誰が主体となって))
1 What 何を:
省みるSCを行うべき新たな課題とは?
見逃されている利害関係者や将来的なリスクを考慮しきれていない複雑な課題について、省みるSCを行うべきです。近年、感染症や気候変動、AI技術など、多様なステークホルダーの利害が、複雑に関わる問題が身近になりつつあります。しかし、現在の利害関係者に加えて将来世代をふくんだ対話の機会が不足しており、時間軸を超えた包括的な議論の場が構築されていません。そこで省みるSCでは、現在と未来の利害関係者を意識的に巻き込む場を設計し、共に振り返り、価値観や優先順位の差異を浮かび上がらせる対話が大切です。
背景
想像できていない人々、アクセスできていない人々も含んだ包括的な省みる活動が必要という意識からこの心得をまとめました。
策定会議中に出た意見
もっと短くできませんか?100字以内
とりこぼしのないよう、長めの200字程度で書いていたので、短くします
2 When/Where いつ/どこで:
どういった局面で省みるサイエンスコミュニケーションが必要になるか?
省みるサイエンスコミュニケーションは、平時と危機の後に行います。平時は危機に備えること、危機を引き起こさない方法を考えることの二点を重視します。危機が発生した際はその対処に専念し、危機の後に振り返りをすることで、平時のサイエンスコミュニケーションの質をより高めます。「オンライン」と「対面」の双方で、なるべく多くの人を取り残さず掬うよう、多様な場所と手段で取り組みます。
背景
省みるサイエンスコミュニケーションでは、平時と危機(クライシス)で対応が異なるという観点から定義しました。後の策定会議中にも争点となりましたが、危機の定義については時間内に決着がつきませんでした。ですがSCにおいて非常に本質的な問いのため、削除せずこのまま提示しました。
策定会議中に出た意見
平時と危機は連続的であって、分けられるものではないのではないか?
何が危機かは人によって異なる
オンラインと対面という場の設定が詳細すぎるのでは?
ここには学校という場も入れてほしい
3 for Whom 誰のために:
異なる立場の人の声をいれるためのSCとは?
【正】
目的に忠実に、来るもの拒まず、見えていない人を想像し、楽しい時間を通して今できる最善を目指します。ただし、この場が全てではないことを理解し、参加する人や当事者、立場、価値観は変化し続けることを受け入れます。
※ 手違いにより策定会議では下記の心得案を公開しましたが、正しくは上記の通りです。ご意見は上記の【正】の心得案に対していただけますと幸いです(2025年9月9日)。
【誤】
目的に忠実に、来るもの拒まず、見えていない人を想像し、楽しい時間を通して今できる最善を目指す。(動的・疑い続ける)。
背景
省みる活動を脅すだけの活動にしたくないという気持ちがあります。
策定会議中に出た意見
来るものを拒みたいときもあるし、拒むことで生まれる科学技術コミュニケーションもあるのでは?
4 and then 社会実装するには:
実際の問題解決につなげるしくみ・考え方・人材とは?
SCとは、常に互いが納得できるものではなく、希望と絶望のあいだを行き来する絶え間ないプロセスである。だからこそ、私たちは希望を持ち続けるための仕組みをつくる必要がある。
第一に、継続しやすい共創の場を制度として根付かせることを目指す。たとえば、プロジェクトごとに必ず対話の場を設けたり、年に一度は全員が集まって語り合う機会を設置することが挙げられる。
第二に、これまでの歩みを振り返り、すべての対話者が前を向けるような年表を作成する。そこには希望も絶望も、メリットもデメリットも、ネガティブもポジティブも余すことなく記録し、可視化して共有する。絶望の経験も、振り返ることで共感が生まれ、やがて希望へと変わっていく。
第三に、共有や共感を軸にしたコミュニティを育み、互いを応援し合える環境を整える。そして「絶望しないためのコミュニケーション」や「前を向くための場」を設計できるコミュニケーターを世に送り出していくことが大切である。
背景
省みるためには、共有し、記録する活動も必要であり、そのような活動も盛り込みました。また、SCを主導する者が疲弊しない工夫も重要であると考えました。
策定会議中に出た意見
年に一度というのはルールか?ルールにすると形骸化するのではないか
定期的に集うという表現のほうがいいだろう
ご意見について
ご意見募集期間は終わりました。
