建設業・製造業の熱中症の法的責任|安全配慮義務違反と2025年義務化の実態
現場で熱中症が出た。救急車を呼んだ。だから自分たちはやるべきことをやった|そう思っている経営者・現場管理者は少なくないはずです。
しかし法律の目線は違います。
「発症してから何をしたか」だけでなく、「発症を防ぐために何をしていたか」が問われます。
2024年、建設業・製造業での熱中症死傷者は過去最多
厚生労働省が発表した2024年(令和6年)の確定値によると、職場における熱中症による死傷者数は1,257人。統計を取り始めた2005年以降で最多を記録しました。
うち死亡者は31人。建設業と製造業だけで全体の約4割を占めています。
これは「暑い夏だった」という話ではありません。適切な対策が取られていれば防げた事故が、毎年この規模で起きているということです。
安全配慮義務とは何か|規模を問わず問われる企業責任
建設業・製造業の経営者が熱中症対策を怠った場合に問われるのが、安全配慮義務違反です。
労働契約法第5条は「使用者は、労働契約に伴い、労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう、必要な配慮をするものとする」と定めています。
具体的には次のような対応が求められます。
WBGT(暑さ指数)の計測と管理
作業強度に応じた休憩・水分補給の確保
熱中症発症時の初動対応手順の整備と周知
これらを「やっていない」あるいは「不十分だった」と判断されると、民事上の損害賠償責任を負うことになります。会社の規模は関係ありません。
3,600万円の判決|大阪高裁の事例(平成28年1月21日)
2016年、大阪高等裁判所で建設・造園業に関わる注目すべき判決が出ました。
造園会社の従業員が剪定・清掃作業中に熱中症で死亡した事故で、会社側の安全配慮義務違反が認定。裁判所が認定した損害賠償額は約3,600万円に上りました。
この判決で重視されたのは、「上司が従業員の異変に気づいていながら、涼しい場所での休憩や救急要請が遅れた」という点です。
発症そのものではなく、発症後の初動の遅さが企業責任に直結した事例です。
2025年6月から罰則付きで義務化|建設業も対象
2025年6月1日、労働安全衛生法に基づく改正労働安全衛生規則が施行されました。
建設業・製造業を含むすべての事業者に対し、以下の3点が義務付けられています。
熱中症のおそれがある作業者を早期に発見する体制整備
重篤化を防止するための措置手順の作成
体制・手順の作業者への周知
違反した場合、個人には6ヶ月以下の懲役または50万円以下の罰金、法人にも同額の罰金が科されます。
「知らなかった」では済まない段階に入っています。
現場でよくある「やってるつもり」対策の限界
法的リスクを理解したとき、多くの建設・製造現場が直面するのが「対策はしているつもりだった」という現実です。
クーラーボックスに保冷剤と飲料を用意していた
日陰で休憩を取らせていた
熱中症になったら救急車を呼ぶよう伝えていた
しかし発症後に体温を急速に下げる手段が現場になければ、大阪高裁のケースのように「初動が遅かった」と判断される可能性があります。
体温が40℃を超えてから救急車が到着するまでの間、現場で何ができるかが問われます。
安全配慮義務を「形」にするための現場対策
順天堂大学スポーツ医科学 櫻庭研究室の研究知見をもとに設計した「熱中対策キット FAK-S1」は、発症直後の現場冷却に特化しています。
救急車を待つ間に冷却を継続できる体制を整えることが、安全配慮義務を果たす上での具体的な手段になります。「対策をした」という記録と備えが、法的リスクの軽減につながります。
熱中対策キット FAK-S1の詳細:
熱中症の法的責任は、経営リスクの問題です。法改正を機に、自社の初動対応手順と現場装備を見直してください。
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参考:
