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フォトウェディング この幸せ、続きますように〔後編〕

〔後編〕目次 続きのお話
4.何もしない時間に話せたこと
5.大勢が集まる日の献立
6.古い振り子時計




これは続きのお話の後編、フォトウェディングの翌日、静かに過ごした日のお話など。

4.何もしない時間に話せたこと


私が全力ではしゃいだフォトウェディングの翌日、
長男家族は自宅へと帰っていった。

末っ子のお嫁ちゃんは自分の実家へ。
今日はそれぞれの実家で過ごす、セパレートの日。

末っ子と夫と私、3人で抜け殻のようにソファに寝転ぶ。
大きな行事を終えたあとの、ぽっかりとした余白のような時間。

テレビではオリンピックの競技が流れ、
雪や氷の中で選手たちが信じられないような演技を見せている。

「仕事、どんな感じ?」
何となく聞いてみた。
「あー、忙しいよ。けど、上司がいい人。俺、人に恵まれてるし。」
そっか、よかった。

「体調は? よくお腹痛くなったりしてたよね。」
彼はアレルギー体質で小さい頃からけっこう手がかかった。
「そういえば、あっちに行ってから一度もない。」
そうなんだ。気候が体に合ってるのかもね。

何気ないやり取りの中に、彼の今が見える。
知らないうちに、ちゃんと自分の居場所を見つけているんだ。
体も丈夫になったらしい。

リビングには清らかなヒヤシンスの香りが満ちている。花もそろそろ終わりだ。

こんなふうに何もせず、ただ一緒にいる時間は、本当に久しぶりだ。
末っ子の彼は、小さい頃から兄たちの用事に付き合うのが当たり前で、慌ただしい子ども時代を過ごしてきた。

大人になり、家を離れ、たまの帰省も盛り沢山の予定を済ませあっという間に帰って行く。

3人でただテレビを眺め、言葉を交わし、ときどき笑う。
静かにゆったりと過ごしたこの時間は、私にとってかけがえのないひとときだった。

5.大勢の日の献立

・すぐに食べられる作り置き
切って並べるだけ、温めるだけでメイン料理になるものを数品と副菜、これらを作り置きし、その時々で組み合わせ食卓を整える。

仲よきことは美しき哉、気に入ってる器

・焼き豚
・郷土料理 水炊き
・肉団子 中華風
・おでん
・肉豆腐
・炒り豆腐
・鶏ハム

これに、蒸し野菜や出来合いのものを織りまぜたり、時には気分を変えて外食へ。
いつ予定が変わってもいいように、すぐに食べられる安心を準備する。

果物は重要な脇役、一気に食卓が華やぐ

みんな一緒でも、家族ごとでも、いつでも食卓を整えられる。滞在中は、それぞれのペースで生活できるようにしている。

・忙しい子どもたち世代に、伝えたい料理

私は発作のように、凝った料理が作りたくなることがある。
1日で出来上がらないものや、複雑な調理法のもの・・・
でもそれは趣味の領域。

日々の食卓は、気負わず、簡単に、美味しく、安価に作れる料理がいい。

過去に、疲れ果てて最後の力を振り絞るように料理をしたこともある。
何事もこだわり過ぎると本来の目的から外れていくものだ。

炒り豆腐は、具と豆腐を炒め、玉子でまとめたもの。
味付けは、しょうゆ、みりん、好みのだしの素。

具は、ミックスベジタブルだけでも、ツナ缶や挽肉、小エビやイカなどの海鮮をいれてもいい。最後にネギを加えるのと、玉子を多めに使うのがコツ。

鶏ハムは作り置きができ、サラダにも麺にも展開できる。

お金をかけず、簡単で、お腹いっぱいになるもの。
子育て期には、こんな料理にずいぶん助けられた。


「これ、美味しい。作り方教えて!」
そう聞かれたら成功だ。

レシピ、作り方のコツなんかを語る私の話を前のめりに聞いているのは、お嫁ちゃんだけではない。息子たちもなのだ。

作る気満々、今どきだな、などと思うのだった。

料理は、余裕のないときには重たい家事になることもある。
だからこそ、気負わず、簡単に、美味しく、安価に作れる術を知っていることは、生きる力になる。

私が遠廻りしながら身につけたことが、この子たちの生活の助けになるかもしれない。

そっと手渡すために、
心と体とお財布に優しい料理を、献立にさりげなく忍ばせるのだ。

5.古い振り子時計

カチコチ、カチコチと響く振り子時計の音。
ああ、長男がネジを巻いたんだ。

いつも5分は遅れている。日付と曜日もズレている。

時計のネジ巻きは、もともと父の役目。
高齢の父が、椅子に乗りネジを巻く姿を見る度に、バランスを崩して椅子から落ちるのではないか、と私は気が気でなかった。

父が施設で暮らすようになってから、時計は止まったままだ。
何かコツがあるらしく、私にはうまく巻けない。

けれど長男は、いつの間にかその加減を身につけ、帰省するたび黙ってネジを巻いていく。

時計の裏には、夫の名前と誕生の日付が記してある。
そうだね、止まっていたら気になるよね。

少し癖のある時計、長男は上手に扱う。

〜〜〜 〜〜〜

フォトウェディングの日の午前中、父を訪問した。
一歳のチビちゃんを父に会わせたかった。

ひい孫を抱き、ほくほくの笑顔の父と大泣きするチビちゃん。 
「恥ずかしいんだね〜」 
独自の見解を述べる父。 

初対面の上にしわくちゃの笑顔、恥ずかしいのではなく怖いんだよね。

このチビちゃんの泣き顔、長男の子どものころにそっくり。
目元はお嫁ちゃん、輪郭や口元は長男、うまく融合されたものだ。

そして、父、夫、長男、並んで座った彼らの額の生え際は、同じMのカーブを描いている。
Mの深さはそれぞれだけど・・・

脈々と続くわが家の物語。

4世代が元気に笑い合い、穏やかなひとときを過ごすことができた。

次に父に会ったとき、ネジ巻きのコツを聞いてみようか。

〜〜〜 〜〜〜

帰る日の朝、玄関で長男が言った。
「行ってきます」

「いってらっしゃい」
私は思わず返していた。

また、ジーコジーコとネジを巻きに、遠くない日に帰ってくるつもりなのだろう。

続きのお話はまた、別の機会に。

続きのお話前編はこちら。

* そして、みーこはこの2つの記事で、きのころさんの「続きを考えませんかコンテスト」 きのころネクスト枠に参加しています。
みーこでも参加してみようと思えた、ゆるくて優しいコンテストです。
noteの海の中でここを見つけてくださり、ありがとうございました。 *


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