前脛骨筋は、緩めてはいけない
前脛骨筋は、緩めてはいけない
スネの前の筋肉(前脛骨筋・長趾伸筋など)が硬くなると、ニーインやニーアウトになりやすくなる、まっすぐ立つことが難しくなる——こういった説明がよくあります。
原因として「猫背による姿勢の崩れ」や「あまり歩かないこと」「足首の可動域が狭い歩き方」が挙げられ、アプローチとしてスネを緩めてカーフレイズで前後のバランスを整えましょう、という流れになります。
私はこの説明に、いくつかの根本的な間違いがあると思っています。
「硬い=緩める」が間違いの入り口
まず「硬さ=悪い」が成り立ちません。
「あまり歩かない」「足首を適切に働かせない」という習慣の問題は、筋肉が上手く使えなくなる原因であって、筋肉が硬くなる原因ではありません。ここは別の話です。
そして前脛骨筋は、緩めてはいけない筋肉です。
この筋肉はずっと張っていていい。むしろ常に使い続けることが必要な筋肉であって、「使いすぎ」という概念がそもそも当てはまりません。
「前脛骨筋と下腿三頭筋の表裏のバランスを整える」という表現についても、整理が必要です。前脛骨筋は常にON、下腿三頭筋は緩んでいる状態が正しい——これをバランスと呼ぶなら理解できます。ただ「どちらも適度に」という意味でのバランスであれば、それは違います。
猫背との関連性についても、私は関係ないと思っています。
前脛骨筋とニーインの関係は、逆
「前脛骨筋が硬いとニーインになりやすい」という説明は、結論が逆です。
前脛骨筋が上手く使えているからこそ、ニーインやニーアウトになりにくくなります。まっすぐ立つためには、前脛骨筋を常に使い続けることが必要です。
「硬いから問題が起きている」ではなく、「上手く使えていないから問題が起きている」という見方が先です。だとすれば、アプローチは緩めることではなく、正しく使えるようにすることになります。
硬さを悪として緩めていくアプローチは、改善したい状態をむしろ作り出していることになります。
