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解剖学を学ぶほど迷ってしまう理由

「なぜ?」から逆引きしても、答えがない理由

指導の現場で「なぜうまくいかないんだろう」という壁にぶつかる。その背景として、教科書から入って実践が少ない状態では理解が浅いまま進んでしまう——という分析は私も同じです。現場では教科書通りにはいかない、そこはその通りだと思います。

でも、「だから現場の疑問から逆引きして解剖学を学べ」というアドバイスには、少し待って、と思ってしまうんです。

逆引きしても、答えが教科書にない

「なぜうまくいかないのか」という疑問を持ちながら解剖学を学び直す——方向性としては良さそうに聞こえます。でも実際には、その「なぜ」に対する答えが教科書の中にないことが多い。

逆引きしても、たどり着く先に答えがなければ、分からないままです。

むしろ解剖学をしっかり学んだ人ほど、現場でつまずきやすいことがあります。教科書に書かれている身体の見方と、実際の空間での身体の動きにズレがあるのに、そのズレ自体に気づきにくいからです。

前腕の話をちょっとさせてください

少し具体的な話をします。

台の上に肘を置いて、前腕をニュートラルな位置に置いたとします。肘の内側は上を向いていて、親指が上、手のひらは内側を向いている状態です。

この腕を空中に持ち上げたとき、親指が上で手のひらが内側——見た目は変わらないように見えます。でも肘の内側が上ではなく内側を向いていたなら、それは回外していることになります。空中に持ち上げても肘の内側が上を向いていれば、そのままニュートラルです。

親指と手のひらの見た目は同じでも、肘の向きで意味がまったく変わる。多くの人はこの違いを瞬時に判断できません。解剖学をしっかり学んでいる人でも、です。そしてこの話は解剖学の教科書には書かれていません。

なぜかというと、解剖学は検体を解剖した学問だからです。台の上に横たわった状態を観察したもの。台に置いた腕と空中の腕のズレが見えにくいのは、最初から「横たわった状態」を基準にして身体を見ているからです。

教科書をいくら逆引きしても埋まらないもの

つまり、現場の「なぜ」を解剖学で逆引きするとき、私たちは無意識に「横たわった身体を基準にした視点」で考えてしまっています。でも実際の指導の現場にいるクライアントは、重力の中で立ち、動いている。

その状態を正確に見るためには、空間の中で身体をどう見るか——水平基準という視点が必要です。

この視点がないと、教科書をいくら逆引きしても、たどり着く答えがズレ続けます。「なぜうまくいかないのか」の本当の理由が、逆引きの先に用意されていないからです。

現場の経験を積みながら疑問を持って学び直す姿勢は、とても大切だと思います。ただ、学び直す先に「空間で身体を見る視点」がなければ、同じところをぐるぐる回り続けることになりかねない——私はそう思っています。

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