ドルフィーを聴く: At The Five Spot Vol.2
Eric Dolphyのアルバムで最も好きなのは”At The Five Spot”だが、黒ジャケットの"Vol.1"ではなく赤ジャケットの"Vol.2"が一推しだ。伝説のファイブスポットでの61年ライブだが、当初はライブの一部が「黒ジャケット」盤でリリースされた。その後、(なぜ遅れたのか分からないが)63年に未発表の音源を"Vol.2"として赤ジャケットでリリース、65年には”Memorial Album”として残りの未発表音源をCDでリリースした(その後に、”Memorial”を「赤ジャケット」に統合したCDも出た)。
しかし、専門家を始め一般的に評価が高いのは黒ジャケット"Vol.1"なのだ。そうかなぁ…🤔と思うが、CodalもModalもよく分からず譜面も読めない音楽素人には反論できない😅
【At The Five Spot Vol.2】
"Vol.2"のどこが良いかと言えば、"Aggression"に尽きる。メンバーの誰かがイントロを口ずさみ和気藹々とした会話の後に、Malが力強く鍵盤を叩きBooker LittleとEric Dolphyが絡むワクワクするようなイントロが始まる。Booker Littleが絶好調でガンガン攻めるソロから、音が時々とっ散らかるようなEric Dolphyのバスクラ・ソロに、とライブの緊張感が堪らない。もし、その場にいたら間違いなく鳥肌が立っていただろう。
加えて、Mal Waldronの力強いバッキングとねちっこいソロがまた良いのだ。”Left Alone”のような暗めのMalしか知らなかったので、初めて聴いた時はグイグイ迫るMalに驚いたものだ(と、長嶋さん的オノマトペでしか表現できないのが悲しいが…🤪)。

【Last Date】
もう1枚と言えば"Last Date"だ。64年にベルリンで客死する直前に録音した遺作でアルトとフルートを駆使した傑作。録音状態が良く、フルートの音色が澄んでいて聴き惚れる。Booker Littleは”At The Five Spot”の直後に事故で亡くなったが、自由奔放な生きざまの結果なのだろうか、あまりにも惜しい逸材が若くして亡くなってしまう。
他の作品でのフルートは余り好きではなかったが、5曲目「You Don't Know What Love Is」の澄んだフルートは絶品。そして、最後の肉声が何とも意味深だ。
「When you hear music, afiter it's over, it's gone in the air. You can never capture it again」

サイド参加のアルバムも良い
【Where?】
気が合うのだろうか、Malと一緒にサイドを務めたRon Carterのアルバム。マイルスバンドでウッドベースを弾いていたが、エレクトリック・マイルスバンドには参加せず、ウッドベースに拘ったロンカーターのベースは👍
Dolphyはバスクラ、アルト、フルートと曲に応じて使い分けているが、1曲目"Rally"の出だしのバスクラからゾクゾクする。それに、Ron Carterの弓弾きベースの絡みがまた妙にDolphyに合っている。Malのソロは、Five Spot Liveでのソロに似たフレーズもあり、この頃はお気に入りのフレーズだったのだろうか。3人それぞれの個性が楽しめるアルバムだ。

【Ezz-thetics】
George Russellは「リディアン・クロマチック・コンセプト」(Lydian Chromatic Concept)という和声の音楽理論を提唱したピアニストだそうだが、そんな小難しいことはさっぱり分からない。また、”Ezz-thetics”はestheticsの造語らしいが、これも…🤔、ま、良いか。
61年のスタジオアルバムで、Dolphyはアルトサックスとバスクラで参加。Milesと共演したGil Evansには個人的に面白みを感じないが、George Russellの書いたスコア通りの演奏はスリリングで、違った意味でCool!だ。特に、Dolphyのアルトによる"Round Midnight"はまた別物だ。

【The Blues and the Abstract Truth】
話は逸れるが、ジャケット写真が実に良い。LPの時代には、ジャケットを見ただけで買ってしまうようなシャレたカットが多くて、音だけでなくジャケットを眺めて楽しめた。
Bill Evansの参加は意外な気がするが、ソロではPortrait in Jazzで聴けるフレーズが偶に出るのが面白い。しかし、よくもまぁこれだけのメンバーを揃えたものだが、DolphyもHubbardも気持ちよく絡んでいて楽しい。2曲目の"Hoe-down"では、Blood Sweat & Tearsを思い出した。

【The Complete 1961 Village Vanguard Recordings】
このアルバムは5日間のライヴを完全収録したボックスセットだが、Coltraneは正直なところ、それほど好きではないのだ。タモリもそんなことを言っていたが、とにかく圧倒的なパワーで吹きまくり10分以上単調とも思えるソロを聴くのは少々疲れる。
このライブでも、アルトとバスクラで参加しているDolphyの演奏はところどころで音が飛ぶような意外性のある演奏で、(ファンには失礼ながら)Coltraneのやや単調に聴こえるところを補っているような気がする。
ところで、Coltraneのサックスは"Sheets of Sound"と評されるようだが、Dolphyも負けていないどころか、Dolphyこそ"Sheets of Sound"の権化と言っても良いのではないかと思う。

【Charles Mingus Presents Charles Mingus】
Mingusとは相性が良いのか、亡くなる64年までバンドメンバーとして何度もヨーロッパツアーに参加している。Mingusと言えば、Monkと並ぶジャズ界の異端児、奇才ともっぱらの評判だが、1曲目から危ない雰囲気が漂う。Mingusが力強くベースを弾き、DolphyのアルトにTedのトランペットが絶妙に絡む。
2曲目はお馴染みの”Original Faubus Fables”だが、Mingusとメンバーの気怠い掛け声(コーラス?)の後に緊張感のあるDolphyとTedの絡みが続く。この辺がMingus好きにはクセになるところだ😅

【The Great Concert Of Charles Mingus】
“So Long Eric”...、なんて暗示的な曲だろう。この時のツアーを最後にミンガスの元を去る予定だったDolphyは、6月に西ベルリンで亡くなる。
1曲目はシャレで”Art Tatum”風なJaki Byardのピアノソロから始まり、2曲目が”So Long Eric”だ。Mingusのベースが響きDolphyのアルトが続くが、出だしが心なしか元気がないように感じるのは気のせいか(すぐ全開になるが)。この曲は、後々までMingusのライブでの定番になるが、それにしてもなぜ天才は人生を生き急ぐのだろうか。So Long Eric…🫡

